地図 日程

第6次(1988)呼和浩特周回
「モンゴル大草原・道なき道をゆく」

 第6次サイクリングは中国北部の内モンゴル自治区の草原地帯を周回するコース。省都フフホト郊外の武川をスタート・ゴールとし、草原地帯を6日間で430kmを走行した。

<1日目>武川→昭河39km

 朝バスにてフフホトを出発、1時間で武川に到着、昼食後自転車組立て。午後3時過ぎにサイクリング開始。スタート直後は舗装路であったが15kmほど走ると土道に。ハンドルをとられて下を向き路面ばかり見ていたが、ふと周りの景色をみると建物がだんだん少なくなり、なだらかな丘が続いていく。石だらけの長い坂を登りきると眼下には緑の草原が広がり、モンゴル式住居、包(パオ・モンゴルではゲル)が見える。「モンゴルだ!」「夢みたいな景色!」皆歓声を上げて坂を下っていった。午後5時前に宿泊地昭河に到着。観光客向けの包に宿泊。夕食後馬頭琴演奏やモンゴル舞踊を鑑賞し、夜はメンバー持参の花火を草原で楽しんだ。

<2日目>昭河→オルドンオボー69km

 朝9時半サイクリング出発。最初のモンゴルの民族衣装をまとった男性が馬で先導してくれた。1日目から土道が続いているが、この頃はまだ土が固まっていた。ラクダか馬の糞らしき緑色の物体が多く、すべるので注意してよけなければならない。石子路の中国サイクリングといえば先頭から「石!」「ガラス!」と叫んで後方へと伝達するのが常であるが、今回は「運子!」もしばしば登場していた。地元の方が「明水村」と呼ぶ集落で昼食。大きなホウロウの器にトマトと卵をのせた温麺が小さなテーブルに置かれてあり、セルフサービス形式で食べた。午後のサイクリングも土を砂のたたかい。だんだんと砂が多くなり、タイヤが埋まりハンドルがとられやすい。景色はだんだんと丘がゆるやかになって、丘のある「小草原」から360度地平線の「大草原」へと移ってゆく。サイクリング列の後方から見ると緑の草原に石子路メンバーの黄色いユニホームが点となって走っている。前にいた人が丘を越えると誰も見えなくなり、周りに何の建物もない。地球にたった一人でいるような、そんな感覚を楽しみながら走った。午後4時目的地オルドンオボーに到着。この日はテント泊。旅行社の方がテントを設営しかけたが「ちょっと先にいいところがある」ということで再出発。が、「ちょっと」が16kmになってしまった。さらに夕食は近くの村へバス移動して夕食まで2時間近く待つことになった。疲れることもあったが、夜は街の明かりがひとつもない草原で満天の星を楽しんだ。「天の川」は文字通り、地平線から地平線まで星が密集して白く幅広い川であった。この日はテント近くでキャンプファイヤー。さらにモンゴル式の羊の屠殺(羊をあお向けにして心臓近くの数センチ切ったところから腕を入れ、動脈を爪で切る。内臓を取り出し、腹部にたまった血をすくい出してから皮をはぎ、解体。血は全く流れ出さない。)を見学してバーベキュー。馬頭琴の演奏もあり、深夜まで盛り上がった。

<3日目>オルドンオボー→百音花82km

 朝食が近くの村から届く予定が2時間も遅れ、午前10時スタート。大草原が近づき、さらに悪路となり、砂利道も多く、パンクや転倒が続出した。突然橋のない川が私たちの行く手を阻む。各自靴を脱ぎ自転車を担いで川を渡る。伴走のマイクロバスはトラックが牽引したり、トラックを男性メンバー達が力を合わせて押したりして乗り切った。昼食時に訪れた村でモンゴル族のおじいさんに「1945年にこの村に日本人の先生がきた。カミヤマといい、私達の日本語の先生だったのだが知らないか?」と聞かれた。草原の中の小さなこの村に初めて来た日本人のつもりでいたが戦争中は日本軍がこの地を支配していたのだった。この日もテント泊。360度地平線のまさに見渡す限りの大草原である。夕食は近くの村から運んでもらい、草原に円座して沈む夕日を見ながら食べた。この日も夕食後にキャンプファイヤーと羊のバーベキューを楽しんだ。

<4日目>百音花→王府一隊138km

 この日も朝食の届くのが遅れて8時50分スタート。草原の草が少なくなってきて、砂漠地帯に近い感じさえした。砂に車輪をとられてふらつくのがつらい。樹木がないので休憩時にも木陰がない。大都市ならよくみる青地に白文字の標識も全く見られず次の目的地までの距離もわからない。予定では午前は70kmのランが82kmでようやく昼食にありついた時には午後4時になっていた。午後からも予定では40kmのはずがなかなか到着しない。旅行社のガイドさんに「あとどれくらいですか?」と何度聞いても「あと7kmですよ」と答えられた。そして日が暮れ始めた。街灯など全くない草原である。石を避けようにも暗くて見えない。前を走る人の姿さえ見えなくなってくる。最後はメンバー全員一丸となり、伴走のトラックが草原に乗り上げて走り、そのライトで私達の行く先を照らしファイトコールで走った。この日宿泊地に到着したのは午後9時20分であった。観光客向け包に宿泊。

<5日目>王府一隊→四子王旗37km

 この日は朝食後、モンゴル族の家庭を訪問したり、乗馬やラクダに乗ったりして観光を楽しんだ。またモンゴル相撲が披露され、挑戦する男性メンバーの姿もあった。午後からサイクリング開始。道はまだ土道であるが砂が少なくなり、樹木も見えてきた。麦やそばなどの畑も見えるようになった。そして通りすぎる集落も増えてきて、都会に近づいているのを実感した。午後5時25分四子王旗人民政府招待所に到着。テントや包にはなかったシャワーを久しぶりに浴びることができた。乾燥した空気の中ではさほど不愉快に感じなかったが、やはりシャワーで汗を流すのは気持ち良かった。夕食は刷羊肉(しゃぶしゃぶ)のごちそう。

<6日目>四子王旗→武川64km

 サイクリング最終日。久しぶりの舗装路で快適なサイクリングである。7時45分にスタートし、フリーランも2本。もうすでに草原は見えず、畑がひろがっていた。爆竹の音や鼓笛隊音楽が近づき、メンバー全員整列して武川県招待所に12時10分ゴール。歓声の中、団長を胴上げ、三本締めで全員健闘を称え合った。27人が430kmを走り抜いたゴールであった。

(モンゴル姉ちゃん(みやい) 6,11〜14,18次訪中)

地図 日程