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第9次(1991)新疆ウイグル自治区(カシュガル〜アクス)
[遠い国・砂漠の道」

  中国は近くて遠い国だと思った。上海までは2時間あまりで着くのに、上海から新彊ウイグル自治区のウルムチまでは4時間半、そしてさらにカシュガルまでは1時間45分もかかりました。中国の中でも最西の地です。日の出が8時ごろ、日の入りが23時ごろです。中国と日本では時差が1時間ですが、この地では時差がおよそ3時間あります。また、この地に住む人々は中国人の顔ではなく、目が大きくて、鼻がすっと高いイスラム系の顔をしています。ここも中国なのかと疑問に思うようなところです。 日本を出発してから3日目にしてスタートの地に到着して、4日目に自転車を組み立て、5日目にやっとサイクリングがスタートしました。

 今回のコースは、シルクロード最西端のタクラマカン砂漠のサイクリングということで、オアシスもあまりなく、水の確保が極めて難しい地域であり、厳しいサイクリングが予想されていました。国内の事前研修でも特に試走に力を入れ、6〜7月に行われた3回の合同トレーニングにも、ほとんどの団員が参加し、個人的にも練習が例年になく多く取り組まれていました。

1つ目のハプニングはサイクリングの初日のことです。この日は、なんと162キロを走ります。この間、都市はなく、小さな集落さえない。水の確保のためには、どうしても走り抜かなければならない距離であります。左手に延々と続く天山山脈以外に家一軒、木一本もありません。見渡すかぎり砂漠が続く中を走るのです。暑くて道路のアスファルトが溶けて、ピチャピチャとタイヤが音をたてて走ります。休憩をしても影がないので、バスの下に少し潜って休みながら走るのです。しかし、120キロ地点で、水やスイカがきれてしまったのです。バスに乗る人、脱水症状で倒れる人もいました。現地の人に水を分けてもらって、なんとかこの日の宿泊地のテントまで到着しました。次の日、宿泊地の招待所では洗面器1杯の水を大切に使いました。3日目にオアシスを発見して、そこはホースから地下水があふれ出ていました。もうみんな夢中で水を頭からかぶりました。日頃は蛇口をひねれば水が出る生活です。でもここへ来て、水の大切さと痛感しました。

2つ目のハプニングはサイクリング終了後です。アクスからウルムチへ向かう飛行機が欠航したのです。欠航になった原因は、ソビエトの崩壊と関係があったようです。その時は不満でいっぱいでしたが、帰国が遅れたおかげで、ウルムチでは予定外の天池の観光、おまけに北京経由で帰国することになり、北京観光も付いてきました。これで、今までの不満はどこかに飛んでしまいました。しかし、最後にまた、不満が再発です。北京からはパキスタン航空で成田に向かいました。そのパキスタン航空がすごいのです。飛行機の中は汚く、独特のにおいがして、忘れたころに機内食が来ました。でもようやく3日遅れで日本に着いて、ほっとしました。 この2つのハプニングで、とても貴重でおもしろい体験をした旅でした。


(R.N  9〜17,19,20次訪中)

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