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はじめに
今回の話はもっとも自作が簡単と思われるセレクターとかA-B ボックスとか呼ばれる スイッチボックスとその使い方についてちょっと書きます。
最近ではループボックス、ループセレクター、ラインセレクターとも呼ばれているみたいですね。


スイッチボックス
Switch Box Schematics 今回は簡単なのでいきなり回路図から、特に注意することは無いと思いますがスイッチはフットスイッチなどでよく使うDPDTタイプの使用します。
Design of Switch Box で例えば、こんなデザインで仕上げます。
Switch Box usage 1 普通はこんな使い方をします。
エフェクタを接続しない場合はジャックの部分の細工が生きてノーマル音をスルーします。
JACKDESTINATION
A楽器の出力から
BエフェクタAの入力へ
CエフェクタBの入力へ
Dアンプの入力へ
EエフェクタAの出力から
FエフェクタBの出力から
■2入力1出力セレクタ
Switch Box usage 2
パッシブなのでこのように逆に接続しても全然問題有りません。
2本の楽器入力を選択することが出来ます。
D、E、F側に接続しても同じような効果を得る事が出来ます。
JACKDESTINATION
AorDアンプの入力へ
BorE楽器Aの出力から
CorF楽器Bの出力から
■1入力2出力セレクタ
Switch Box usage 3
またこのように2本のアンプを選択するのに利用することもできます。
JACKDESTINATION
AorD楽器の出力から
BorEアンプAの入力へ
CorFアンプBの入力へ
MOD Switch Box 上記のように1入力2出力をスイッチで選択するような場合、一方を選択した時、選択された方は問題ないのですが、選択されていない方は、片端が開放されたシールド線のみが接続された状態になり、空中の電波を拾い雑音を発生する場合があります。
そのような場合、左図のように選択されていない方も開放にならないように、大きめの抵抗(たぶん1M位)でグランドに落としておきます。
■ステレオ2入力セレクタ
Switch Box usage 4
同じ回路が2個入っていることからステレオのエフェクトの出力をセレクトすることもできます。
JACKDESTINATION
AアンプAの入力へ
BエフェクタAのL出力から
CエフェクタBのL出力から
DアンプBの入力へ
EエフェクタAのR出力から
FエフェクタBのR出力から

■ギター、アンプセット交換
Switch Box usage 5
たぶんこんな使い方をする人は滅多にいないと思いますが...
ギターとアンプをセットアップにより同時に切り替えるような場合に使用できます。
JACKDESTINATION
Aエフェクタの入力へ
B楽器Aの出力から
C楽器Bの出力から
Dエフェクタの出力から
EアンプAの入力へ
FアンプBの入力へ
■ミュートポジション
Switch Box usage 6
チューニング等の目的で無音の状態を作りたい場合、1Mohm〜10kohm位の抵抗でチップとグランド間を接続しただけのミュートプラグを作って左のように接続すると実現できます。
JACKDESTINATION
Aエフェクタの入力へ
B何も接続せず
Cチューナへ
Dアンプの入力へ
E何も接続せず
Fミュートプラグ接続

たった1個のスイッチで色々なことが出来る事がわかったと思います。(パッシブならではですね。)
このスイッチボックスを2個つなげた場合の可能性がすごいことはなんとなくわかると思います。

■マスター&エフェクトセレクト
Switch Box usage 7

複数のスイッチボックスを接続した場合の音質劣化を気にする人も多いと思います。 そこで、
  • 右側のスイッチボックス
    エフェクトをオールパスするか、エフェクト群を通すか?の選択
  • 左側のスイッチボックス
    エフェクトAとエフェクトBの切り替え
とすると、ビビッドなギターのトーンを右側のスイッチボックスの踏み替えで即座に得ることが出来ます。
ちなみに右側のスイッチボックスのつなぎ方を応用すれば、左側にスイッチボックスをいくつつないでも、即座にノーマル音を得ることができるのは自明だと思います。

Left SW.BOXRight SW.BOXComments.
StompBox SelectorMaster ON/OFF意味合い
UPPERUPPERThrough
LOWERUPPERThrough
UPPERLOWEREFFECT A
LOWERLOWEREFFECT B

■4入力1出力セレクタ
Switch Box usage 8

そこでスイッチボックスを2個使用した、ちょっと意表をついたした使い方を示してみました。
楽器4個のうちひとつの信号を選び出す方法です。

Left SW.BOXRight SW.BOXComments.
Effector SelectorMaster ON/OFF意味合い
UPPERUPPERINSTRUMENT A
LOWERUPPERINSTRUMENT B
UPPERLOWERINSTRUMENT C
LOWERLOWERINSTRUMENT D

上のアンプを選択するつなぎ方を逆に繋ぐと4個のアンプを選択することも可能ですが、ちょっとそういう贅沢な使い方は想像できないので(^◇^;)省略しました。
このつなぎ方を応用すれば、2のn乗の入力から選択出来ますが、選択回路をn個通るため音質劣化とのトレードオフだと思います。
パラボックススイッチ
Switch Box Schematics 2
上の回路にDPDTスイッチを2個追加して(こちらは小さなトグルスイッチとかスライドスイッチが望ましい。)このような回路にすると、入出力が3端子のパラボックスとして動作させることもできます。
あいたジャックを有効に使えて便利だと思います。

ただ通常エフェクトの出力がつながれるD,E,F側までこの機能を付けてしまうと、間違ってエフェクトの出力をショートするおそれがあるのでパラボックススイッチを使用するときには注意が必要です。


雑音対策
この手の真ん中に入るエフェクタの悲しさとして、「単体で使っていた時は問題なかった」「このスイッチボックスを使ったらスイッチ切り替え時にノイズが出る」なんて責任をなすりつけられるおそれが多分にあります。
この回路は単なるスイッチなのでSWTCH TIPS(スイッチの使い方)で当てはまるシチュエーションはすべて当てはまります。
ということはエフェクタから直流が漏れていれば、雑音が発生します。

こういう場合はまず、エフェクタを何も接続しない状態でスイッチをバチバチやって雑音がでるか確認して、でなかった場合はエフェクタを順番に増やしていってどのエフェクタを接続したとき雑音が発生するか?
とかスイッチボックスにエフェクタを全て実装した状態から順々にはずしていって、雑音を発生させているエフェクタを特定することから始めるます。
選択する両方に電子スイッチ式のエフェクタを接続している場合は、入力側のパラボックススイッチをONにして入力側の切り替えに伴う雑音を押さえて変化を見るのも手だと思います。
この場合は本来はエフェクタを修理するのが本筋であると思われますが、どうしてもスイッチボックス側で対策する必要がある場合は各ジャック-グランド間を抵抗で落として直流電位の変化がなるべく出ないようにします。


外部制御(超絶技法か(^^;)?)
ハッキリ言って初心者には勧められませんが、電気に自身のある方だったら、こんな事も可能です。
エコーやアンプ等には外部にフットスイッチがつけられて且つフットスイッチを制御する事によりエコーやトレモロ、リバーブ等を制御できる物があります。
その中で制御用の信号をグランドと開放-短絡することにより、制御できる物があります。(そうでない物もたくさんありますので制御する対象のマニュアルを良く読んで、可能であることを確認しておく必要があります。)

また制御信号にのったノイズ等が他の信号に迷走するのを避けるため、ケースから浮かした絶縁型のジャックを使用し、ジャックA、ジャックB、ジャックCのそれぞれのチップ、グランドの線は接続はしますが、スイッチボックスのグランドとは接触しないようにする必要があります。
以上の条件を満足していれば、下の接続を行うことによりこれらの制御を行うこともできます。
Switch Box usage 8
  • チップとグランド間に何も配線していない(オープンな状態)オープンプラグ
  • チップとグランド間をショートさせたショートプラグ
の2本を用意して左のように接続します。
JACKDESTINATION
AorD制御入力へ
BorEオープンプラグ
CorFショートプラグ

最後に
簡単な割には色々なことが出来るスイッチボックスはエフェクタを沢山持っている場合、1つくらいあっても良いのではないでしょうか?
使い方によっては良くもなるし、悪くもなる。道具を使う人間の感性が素直にでてくる。エフェクタを使うときの心がけをもっとも素直に表しているような気がしてならないのですが....(^^;)

また4回路2接点のフットスイッチが手に入る場合はLoop Programmerで示している”入れ替え”も出来るようになります。
さらに上の外部制御(超絶技法か(^^;)?)の手法により、全てのフットスイッチで同じ踏み心地を得ることが出来るようになります。
こんな調子で発想を盛り込んでどんどん自分だけのオリジナルなスイッチボックスを作ってみたらどうでしょうか?
(なんか昔のピートコーニッシュのエフェクトシステムみたいな感じになっちゃうかも知れませんけど....)

この回路は全く試験していません。ご利用なさる場合は各位の責任で実施お願いします。
またこの回路をご利用になって、発生したいかなる不利益も私は一切責任を負いませんのでご了承願います。


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Last Up Date '01/07/28 マスター&エフェクトセレクト追加
Last Up Date '01/02/05