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■はじめに
今回はSWITCH BOXに引き続き、その応用である、ループプログラマについてちょっと書きます。
■プログラマブル化
スイッチボックスはそれ単体でも力を発揮しますが、やはり究極の欲求としてはプログラマブルにする事ではないでしょうか?
そこでプログラマブル化する場合のアイディアをちょっと。
■何故リレーなのか?
FET、フォトモスリレー等半導体を使う手も有るのですが、ビギナーが組み立てて問題になる音質劣化、ダイナミックレンジの話を簡単にするために、さらには電源OFF時の挙動の面で有利になるメカニカルリレーを使用します。
(その分、半導体と比較すると、振動面では弱くなります。)
■リレーの選び方
電気的な要求
信号を切り分けるトランスファー接点のリレーにははb接点、ブレーク接点、NC接点(Normally Closed)と呼ばれる接点と
a接点、メイク接点、NO接点(Normally Open)と呼ばれる接点の2種類が有るのですが、
電源部、リレーのドライバー等が故障したときを考えて、なるべく通常で信号が通って欲しい方をデフォルト側=NC接点側に割り付けておけば、不慮の事故が起きたときにも最低限音を出すことが可能です。
以上のことより、シングルステーブルリレーでDPDTスイッチ相当=2c接点の物を使用します。
ちなみにラッチングリレーといって駆動回路に工夫が必要なのですが、磁石の力を利用して低消費電流化をいとも簡単に実現する部品があります。今回は、電源オフ時の極性を規定しない物が多いため今回は見送りました。
ケース
次に構造的な話ですがリレーはスイッチと同様に接点の劣化=故障です。
そのため、リレーには使用方法によって様々な物が用意されています。
まずは埃及び有害ガスによる接点の劣化をさけるために、ハーメチックシールもしくは通称プラスチックシールと呼ばれる、プラスチックにモールドされている物を選びます。
仕様 | 要求諸元 |
回路構造 | 2c接点 |
コイル | シングルステーブル |
ケース | プラスチックシール |
接点構造 | AgPb+Auクラッド Ag+Auクラッド |
■ダイオードの選び方
ダイオードはリレーの誘導起電力がドライバーを壊さないために使用する物で、リレーの通常流れる電流で定格電圧がリレー駆動電圧の5倍くらいの物を用意します。
リレーの種類によっては整流用ダイオードが必要なときも有りますので注意します。
■リレー駆動回路の選び方
2回路程度だったら汎用トランジスタで組めば充分ですが、4回路以上になった場合(かつ初心者の場合)は回路が簡単になるためトランジスタアレイ等の利用を考えましょう。
リレー用のドライバーICは各社でているので使用する電圧と駆動電流で選択します。
またフリーホイールダイオード入りのICを選ぶと上記ダイオードが不要になります。
■電源の選び方
制御用にしか使用していないため、スイッチング電源で充分です。また消費電流はバカにならないので乾電池なんて考えは捨てた方がよいです。
ただ、信号レベルと比較して馬鹿でかい直流をON/OFFするので、他のアナログ回りにノイズが混入しないように電源ラインはなるべくACインレット近傍で分離します。
■デザイン
■ループプログラマの使い方
たぶん一番使用頻度が高いと思われるパターン(左側)
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2つのエフェクタを切り替えるパターン(右側)
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普通はこんな風に使うと思います。ある時しか使用しないエフェクタはa接点(N.O)側にエフェクト状態にして接続しておきます。 後はフットスイッチ版でやった手法を駆使すれば、大概の機能は満足すると思われます。 |
順序入れ替えのテクニック
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さらに、プログラム化で一度に2個のリレーを同時に動作出来ると、こんな意表をついたつなぎ方もできます。 楽器からのケーブル及びアンプからのケーブルはYケーブルやパラボックス等を使用して並列につなげておきます。(このループプログラマのパラボックスの機能を使用しても良いですね。) そこで、2つのリレーが同時にb(N.C)接点側ではエフェクトA-エフェクトBの順番に接続されているが、2つのリレーが同時にa(N.O)接点側になった場合はエフェクトB-エフェクトAの順に接続されます。 ワウ等のフィルター系のエフェクトとディストーション等の非線形なエフェクトを接続すると面白いと思います。 |
■雑音対策
SWITCH BOXと同様に中間管理職的な疑いの目を向けられるため、気をつけましょう。
それでなくてもスイッチング電源使用していて且つリレーを動かす為に一気に直流をバッチンバッチン切っている回路ですから容疑をかけられる可能性が非常に高いです。
悪人面をしているから逮捕みたいなノリですね。(^◇^;)
エフェクタを何も繋がない状態でスイッチをバチバチやって雑音がでる場合は本体自体がが明らかに雑音を発生させているので、リレーを試しに交換してみるのが手だと思います。
またリレーを一方の接点が離れる前に、他方に接続される(両方が同時に接続される瞬間がある)MBB(Make Before Break)タイプに変更して見るのも手だと思います。
最悪共通接点とトランスファー接点間を高抵抗で接続するという手もありますが、なるべくならやりたくない方法です。(クロストークが悪くなるから...)
またループプログラマ等を使用するような大規模なシステムになってくると、シールド線が延びハムを拾いやすくなる可能性があります。そのような場合もまず、ノイズを出しているエフェクタを特定し、対策を行うようにしましょう。
スイッチボックスの時と同様にエコー、リバーブ等の制御入力をこのループプログラマから制御する時は、同様にケースから浮かせる為の仕掛けを入れておいた方がよいかも知れません。
■最後に
感想としては、かなり大規模になるのでトラブルシュートまで考えると、初心者には難しいでしょうね。
基本的にはスイッチボックスと全く一緒なので不可能では無いと思います。むしろ使いやすさのために接点構造犠牲にしているスイッチボックスの方が金接点使っているリレーよりトラブルにあう回数が多くなったりする不思議な?(^^;)現象が発生したりして....
この回路は全く試験していません。ご利用なさる場合はご注意お願いします。
またこの回路をご利用になって、発生したいかなる不利益も私は一切責任を負いませんのでご了承願います。
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Last Up Date '01/02/05