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はじめに
実は最後に示した例を数10秒で考えたのですが(^^;)
コンテンツとしてまとめるのにいろんな図を付け加えたりしたら大作になってしまいました。(^^;)

今回はLoop Selecter、RouterとかLoop Boxと呼ばれるスイッチボックスの類の例を示して、アイディアを回路に仕上げるまでの過程を示してみたいと思います。
今回は自分専用のカスタムなスイッチボックスの設計を目指すため、汎用的な作例についてはSW BOXを参考にして下さい。


仕様

まず、どんな物を作るか考えます。

以上を明確化し表にまとめます。(SWの機能配置については下の「うちあけ話」を参照して下さい。)

A/B SW BOXの仕様(表1)
SW2SW1MODE名動作
OFFOFFAAチャネルを選択
OFFONBBチャネルを選択
ONOFFThroughバイパス
ONONA-BA、Bチャネルを直列接続

この表を頼りに設計をはじめます。


詳細設計

内部動作をどうするか仕様の詳細を検討します。

Block Diagram

まだ、中身のわかっていない回路は”謎のSW回路”としてそのまま書きます。 また、”未使用時のチャネルはGNDに接続する”事を明示するためにブロック図の入力部分にGNDを明示しました。

こんな簡単な図ですが、以下の事がわかります。

です。
エフェクターのLoop Selecterの機能は「どの出力を選択するか?」ですから、
”全体の出力”、”Aの入力”と”Bの入力”の3本から、どうやって”全体の入力”、”GND”、”Aの出力”と”Bの出力”から選択するか?と言うのが検討する課題です。

まずはMODE A時の動作について考えてみましょう。 以上を表でまとめるとこんな感じです。

MODE Aの動作(表2)
SW2SW1MODE名動作Achの入力Bchの入力全体の出力
OFFOFFAAチャネルを選択全体の入力GNDAの出力

これを各MODEで検討して表にまとめると以下のようになります。

各MODEの動作(Version 1)(表3)
SW2SW1MODE名動作Achの入力Bchの入力全体の出力
OFFOFFAAチャネルを選択全体の入力GNDAの出力
OFFONBBチャネルを選択GND全体の入力Bの出力
ONOFFThroughバイパスGNDGND全体の入力
ONONA-BA、Bチャネルを直列接続全体の入力Aの出力Bの出力


回路設計

表3が出来た所で勘のいい人は直接回路が出来てしまうと思いますが、順を追って回路の設計の仕方を説明します。

表3を今度は縦に眺めていきます。

Achの入力選択動作(表4)
SW2SW1MODE名Achの入力
OFFOFFA全体の入力
OFFONBGND
ONOFFThroughGND
ONONA-B全体の入力

これを回路で実現すればAchの入力回路が出来る事がわかります。
今度はBchでも同様に考えてみましょう。

Bchの入力選択動作(表5)
SW2SW1MODE名Bchの入力
OFFOFFAGND
OFFONB全体の入力
ONOFFThroughGND
ONONA-BAの出力
これを回路で実現すればBchの入力回路が出来ますが、
事に注目するともう少し回路が簡単になります。

ちょっと難しくなるのですがSW数を削減するためには、表を論理関数として表した場合、積和形式(クワイン・マクラスキー法等で得られる)の論理積数が少ない物を出力側に持ってくると少ないSW数で実現出来ます。

以上をまとめるとこんな感じになります。
図を見やすくするためにSWがOFFの時を上側
SWがONの時に下側になるように書いてあります。

Inside of a riddle block

これらを1枚の回路に落とすと完成です。

Loop Box(Version 1)

トゥルーバイパス
Fazz FaceやCry Babyが新製品だった頃なら意味のある言葉だったんでしょうが…(^^;)
何で今更こんな言葉がセールストークになるのかと問いたい。問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。お前、トゥルーバイパスって言いたいだけちゃうんかと。…(^O^;)

閑話休題(^^;)
当時は入力インピーダンスが低いにもかかわらず、入力を出力信号から切断しない物がたくさんありました。(その辺のくだりはTips SWを参考にして下さい。)
そういうわけで、上の図のA、BにFazz FaceやCry Baby等の骨董エフェクターを適用する場合、入力からA、Bを切断する必要があります。(上図の様に未使用側をGNDに落としても良いのですが、入力を切断するだけの方が回路が簡単になります。)

まずは今までと同様に表を考えます。今度はGNDの代わりに”何もつなげない(No Connect)”と接続するように設計します。

各MODEの動作(Version 2)(表6)
SW2SW1MODE名Achの入力Bchの入力全体の出力
OFFOFFA全体の入力N.C.Aの出力
OFFONBN.C.全体の入力Bの出力
ONOFFThroughN.C.N.C.全体の入力
ONONA-B全体の入力Aの出力Bの出力


以上をまとめるとこんな感じになります。

Inside of a riddle block(Version 2)

これらを1枚の回路に落とすと完成です。
ここで注目して欲しいのは、Aの回路の入力部です。

各MODEの動作 Achの入力のみ抜粋(表7)
SW2SW1MODE名Achの入力
OFFOFFA全体の入力
OFFONBN.C.
ONOFFThroughN.C.
ONONA-B全体の入力


このように一方がN.C.で排他的論理和(Exclusive OR)になる組み合わせでは下図の下側ような回路にするとSW数を少なくする事が出来ます。
この理由は、N.C.とのExorをSWで実現する場合、積和形式で表現するより回路規模が小さくなるからなのでしょうがうまく説明出来ません。

Loop Box(Version 2)

高入力インピーダンスエフェクター用
MXR以降の良くできた(ある意味普通の)エフェクターは入力インピーダンスが高く作られている為 もっと簡単に回路が構成出来ます。

まずは今までと同様に表を考えます。今回は入力を信号線から切断する必要がない為、入力の種類は 全体の入力Aの出力Bの出力の3種類だけになります。

各MODEの動作(Version 3-1)(表8)
SW2SW1MODE名Achの入力Bchの入力全体の出力
OFFOFFA全体の入力-Aの出力
OFFONB-全体の入力Bの出力
ONOFFThrough--全体の入力
ONONA-B全体の入力Aの出力Bの出力


ここで”-”は何がつながっても良い事を示します。

何をつなげても良いのですから、SW数を削減するように、次のように割り当てても問題ありません。

各MODEの動作(Version 3-2)(表9)
SW2SW1MODE名Achの入力Bchの入力全体の出力
OFFOFFA全体の入力全体の入力Aの出力
OFFONB全体の入力全体の入力Bの出力
ONOFFThrough全体の入力Aの出力全体の入力
ONONA-B全体の入力Aの出力Bの出力


Inside of a riddle block(Version 3)

これらを1枚の回路に落とすと完成です。

Loop Box(Version 3)

どうでしょう。
すっごくすっきりしていると思いませんか?ヽ(^o^)丿


うちあけ話

状態遷移図 この回路は最初プリアンプ用に左の様な状態遷移で動作させる事を考えました。
自前のプリアンプ用ですから、入力インピーダンスは高く設定出来るので、一番最後に示した例を最初に考えました。その後、エフェクターのLoop Box用にトゥルーバイパス版を考え、さらには商業的には成功していても設計は素人以下のエフェクター用に最初の例を考えました。

状態遷移図 この機能配置の面白い点は

と言った二つの使い方が考えられる所です。

元の発想が1つのSWでプリセットトーンを切り替える発想なので、独立のSWを割り振った場合の方が良い場合も多々あると思いますが…(^^;)


最後に
これらのスイッチ設計はディジタル回路の基礎のカルノー図、クワイン・マクラスキー法やBDD(Binary Decision Diagram)等が理論的背景にあります。

電気回路の設計は大先生の”ひらめき”で出来上がっていると思いこんでいる人も沢山いるようです。
大概の電気回路は今回のような理詰めでぎゅうぎゅう設計していきます。
時に重要なひらめきは、そんな設計の上で初めて活きる物です。

この回路をご利用になって、発生したいかなる不利益も私は一切責任を負いませんのでご了承願います。


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Last Up Date '06/04/19