■はじめに
自作界隈のblogを見ていると、
「ある程度汎用だけど自分専用のLoop Selector、Switcher」の製作、と言うのを
結構見かけます。
そこで、今のLoop Selectorの流れを作ったと思われる、PMPのBUFなんかは、
トポロジー的に面白く、参考になる場合が多いのじゃないかと思って
コンテンツにまとめてみました。
最初に白状しておきますが、私はPMPを使ったことがありません。
(バッファーアンプが流行った頃、既にバッファーもSW BOXも自作の
範疇だったので、あの価格では魅力を感じませんでした。今だったら、
「形に風情があって良いね」とか言って買っちゃうんだろうけど、
試し弾き位しかしていません。そんなわけで、昔、カタログなんか見て作ったメモをネタに
今回の内容を書いています。)
■Rivera
80年代のバッファーアンプブームを作り、時代を象徴する名器PMP BUFシリーズは、
一時Fenderに在籍し後にRiveraのアンプで有名になる、Paul Riveraが設計したと言われています。
私の記憶では当初から
- 頑丈な筐体を使用し踏みつけ動作で壊れないようになっていました。(当初は厚い鉄板折り曲げた筐体からダイキャストに変わりました。)
- 踏みつけやすいようにパネルを斜めに配置していました。
- 誤操作で設定が変わらない様に、つまみ類を凹んだ所に配置していました。
- 当時の技術水準でダイナミックレンジを確保する為にAC電源仕様でOP-AMPを24Vで動作させていました。
と言う、プロを意識した作りになっていました。
メーカ名の流れは以下の通りです。
- 最初Rivera(カリフォルニアあたりの楽器屋ブランド?)って名前で有名だったと思います。
- PMP(Professional Music Products)ブランドで国内で結構見る様になります。
その当時はBUFシリーズとSPアッテネータが主力で、他にもアンプ用のフットスイッチが有りました。
この頃はBUFシリーズは左側にPMPのロゴがありますが、右側にも謎のロゴが入っています。
このロゴの横に文字が書いてあり、なにか意味があったように思うので気になっていたのですが、
実機、カタログが手元になく、web画像も不明瞭で判読不明でお手上げの状態でした。
そこで、未確定のまま公開したら、このコンテンツを読んで頂けた方から、
右側ロゴ横の文字はRivera Research & Development(現在、Riveraのアンプを作っている会社名。)だと教えて頂きました。
- BUFシリーズ右側のロゴが無くなり、Professional Music Productsと書かれる様になります。
この頃からエキサイター、ノイズゲート、プリアンプとか、なんとなく日本市場を意識した製品ラインナップが充実してくるので、国内メーカがライセンス購入とかで絡んでいたような気がします。
- 長い空白の後、似た様なラインナップで、今度はPMG(Professional Music Gear)というブランドでBUFシリーズは作られていきます。(金型は一緒だと思うので商標とかの関係でPMPの名前を使えなかったんでしょうね。(^◇^;))
なんつーか、Orange Squeezerに通じる、この時代のヒット商品の流れですね。(^◇^;)
■名器 BUFシリーズ
E945があまりにも有名なので他のシリーズを憶えている人は少ないと思いますが、
一時はバッファーアンプとスイッチシステムの組み合わせだけで5種類有りました。
↑に機能ブロックの構成を示します。
- BUF I(E915)
まず、BUF Iでシリーズのバッファー部分を説明します。あんまり記憶に無いので、たぶん、この時代の常道としてOP-AMPを非反転アンプでつかって高入力インピーダンス、低出力インピーダンスを実現し、Boostを機能させない(Unity Gain)時は、ボルテージフォロア類似の動作をさせて、Boost動作を禁止していたんだと思います。
フットスイッチは、Gain Boost一個で、アクティブYとかパラボックスと呼ばれる仕様でOUT A、OUT Bの2系統出力でした。
- BUF II(E920)
ダイレクト出力のチャンネルとSEND RETURNを持ったLOOPチャンネルの2チャンネル構成で、
LOOPチャネルの方はLOOP BYPASSのフットスイッチでバイパス出来ます。
図の点線部分は私だったらこうすると思って書きましたが、なんかこうなっているか調べた記憶も
あるので、もしかすると付いていなかったのかも知れません。正直言って、もう定かではありません。
- BUF III(E940)
2チャンネルあって、A/Bのフットスイッチで切り替える構造です。
古典的な多入力のマルチアンプに外付けでつないでチャンネルを切り替える様な使い方を
想定したんだと思います。
- BUF IV(E945)
BUFシリーズの中で最後まで作られた機種で、SEND RETURNと2チャンネルの出力切り替えを
持っていて、LOOP BYPASSでバイパス、A/Bで出力チャネルの切り替えが可能です。
アンプのチャンネル切り替えとエフェクターループの切り替えが使えて、アンプの機能が
進化した今でもやっぱり便利な構成だと思います。
BUF IIと同様に点線部分については不明です。
- BUF V(E950)
たぶん、チャンネルセレクターとパラボックスのどっちにも使えるようにしようって
アイディアだと思います(BUF IとBUF IIIの組み合わせですね。)が、
お店で見たことがあまりないので、仕方がないから、意味不明の
解説してあるカタログ読んでA+Bの部分はこうだろうと過去に推測しました。
■拡張アイディア
ネットを眺めていたら、チューナーアウトとミュートポジションの組み合わせで使う使い方が、
当時と比較して圧倒的に増えているのが判明したので、
チューナーアウト用の応用を考えてみました。
↑の回路の点線部分の仕掛けです。
SEND側に切り替えスイッチ付きのジャックを使って、プラグを差さない状態でSENDと同出力を
次段に送り出しておいて、プラグを差した状態ではRを経由してGND出力を次段に出力します。
SEND RETURNのSW部分の仕様
SEND側 | RECEIVE側 | 使い方 |
無し | 無し | 誤操作による無音を防ぐためにBYPASSと同等 |
無し | 有り | RETURNに別の楽器の出力をつっこんで楽器の切り替え |
有り | 無し | SENDはTUNERの入力へ。アンプには無音出力 |
有り | 有り | 普通のSEND RETURNの使い方 |
ってのが便利かなと思いました。
ここで、Rは0Ωが一番ノイズが少ないのですが、後段に開放入力コンデンサを使った、
前近代的エフェクターをつなげてパッチンノイズが発生する場合は、
1MΩ位まで増やせば良いと思います。
■最後に
度重なる引っ越し等で、いっぱい保管していた古いカタログ類を紛失してしまいました。
個人的には非常に印象深かった物でも、今となっては古くてニッチな話になってしまい、
頑張ってwebで検索しても、必要な情報がさっぱり引っ掛かりません。
今回、苦労したのは、「昔、メモ書きした情報の裏」を取ろうとしてもさっぱり取れないことです。
そんなこんなで、曖昧な情報ですが、それなりに意味があることだろうと思いコンテンツにまとめてみました。
必要な情報ってのは自分で「情報は整理して保管しておかなければいけない」と改めて後悔したコンテンツでした。
右側ロゴの文字について追加 Last Up Date '10/12/18
Original '10/12/12