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はじめに
ここ数年、あんまり使っていないので注意したいこと等、忘れつつあるのであまり書くことがないのですが、最近2、3可変抵抗の話をしたので、ちょっとまとめてみました。


直流を流さないこと

詳細な理由は失念してしまったのですが、可変抵抗に直流を流すと、通称ガリ(つまみを回すとガリガリ、ザラザラ音がする雑音)と呼ばれる不良が発生し易くなります。そこで可変抵抗にはなるべく直流を流さないようにする心がけが必要です。

2端子での使い方

BadGood可変抵抗を二端子で使用する場合、左のようにローテータは必ず空き端子に接続するようにします。
理由は振動およびガリ等によりローテータが瞬間抵抗体から離れた場合に二端子間の抵抗が無限大になる事を防止するためです。
(分圧回路等に使用していると法外な出力電圧が発生したりするからですね。)

可変範囲を狭める

狭帯化エフェクタやシンセサイザを自作した場合に良くあることなのですが、可変範囲を大きくしてしまったばっかりに、実際に使用するときに設定が難しくなる場合があります。
そんな時は左の様に可変範囲を狭くした可変抵抗に変更すると使いやすくなります。

カーブ

Linear Exponential Logarithm 左の図は線形、指数カーブ、対数カーブを並べた物ですが可変抵抗の回転角に対する抵抗値の変化にも
  • 指数カーブに近い:Aカーブ
  • 線形の物をBカーブ
  • 対数カーブに近い:Cカーブ
と主に3種類あります。
他にも色々あるのですが、特注でもしない限りは手には入らないと思います。
これらのカーブを人の感覚が指数的に反応することを利用して、音量にはAカーブの可変抵抗を適用したりするのですが、このコンテンツを作成するのに資料を探してみたのですが、どれくらい”指数に近いか”とか”対数の底は何か”と言う規定は無いようです。(D型とかE型ではありそうですが...)
もっともそんな規定があったらかなり高価な部品になってしまうし、回しきっても0Ωにならない可変抵抗になってしまって使いにくいでしょうが....
JISを探せばあると思うのですが、資料が手元にないためm(__)m
私の記憶からすると”A型カーブで回転角が60%位のところで全体の抵抗が20%から40%”のような曖昧な仕様の切り方をしていたと思います。
また過去回転角50%の時全体の抵抗の18%位だった記憶もあります。
だいたい実用性からしたら
と覚えて置いた方が良さそうです。

インチキAカーブ

回転角に対する抵抗値の変化は主にA、B、Cの3種類あると先ほど申しましたが、実際の所一番入手しやすいBカーブの可変抵抗です。
特に半固定抵抗ではA型も入手できる物は限られますし、C型に至ってはほとんど不可能です。
そこで、しょうがないのでBカーブの可変抵抗を音量調節に使用すると適音量を得られる所が回転角の非常に低いところで且つ音量が急変して非常に使い辛かったりします。

そこで手軽に入手可能なBカーブの抵抗を使用してA及びC風にする、インチキAカーブ、インチキCカーブについて述べてみたいと思います。
Normalized Psuedo A Curve Circuit左の様に全体の抵抗が1Ωで回転角により比例して1-2間の抵抗がXΩ(2-3間の抵抗は(1-X)Ωですね。)のB型の抵抗にaΩの抵抗が1-2間に接続された場合を考えます。
この回路の1-3に電圧をかけた場合1-2間出力される電圧を考えます。
作戦としては、1-2間で得られる電圧に注目し、回転角が小さいうちは(1-xと比較して大きいときは)抵抗aが効いてきて抵抗aがついていないただの可変抵抗と比較して低い電圧を出力させます。
  計算すると以下のようになります。

1-3間の抵抗 分圧比
Exp1:Total Resister (1-3) Exp2:Output Voltage (1-2)/(1-3)

ここでAカーブに似せるために分圧比の式とxからaを求めます。
仕様計算式求まるaの値
回転角が50%の時、1-2間の抵抗が全体の抵抗の15% 0.15=0.5a/(a+0.5*0.5) a=0.1
回転角が60%の時、1-2間の抵抗が全体の抵抗の30% 0.3=0.6a/(a+0.6*0.4) a=0.25
Psuedo A Curve


どうでしょう?けっこうAカーブ風だと思いませんか?
ただし、全体の抵抗は抵抗aの為にグッと小さくなっているので求めてみましょう。
ついでに回転角に比例する抵抗Xと全体の割合も数値的に記述しておきます。 (あった方が何かと便利そうですから)


Psuedo A Curve(a=0.1)
X 0 0.10.20.30.40.5 0.60.70.80.91.0
RATIO 0 0.05 0.08 0.10 0.12 0.14 0.18 0.23 0.31 0.47 1
TOTAL 1.00 0.95 0.87 0.78 0.68 0.58 0.49 0.39 0.29 0.19 0.09


Psuedo A Curve(a=0.25)
X 0 0.10.20.30.40.5 0.60.70.80.91.0
RATIO 0 0.07 0.12 0.16 0.20 0.25 0.31 0.38 0.49 0.66 1
TOTAL 1.00 0.97 0.91 0.84 0.75 0.67 0.58 0.48 0.39 0.30 0.20


では例えば500kΩの可変抵抗を使ってa=0.1の時のカーブを描くインチキAカーブを作る場合について、使い方を述べてみようと思います。
まずはa=0.1ですから500kΩ×0.1=50kΩの抵抗を用意し可変抵抗の1-2間に接続します。(同様にa=0.25の場合は500kΩ×0.25で125kΩの抵抗ですね。)
これで終わりです。
個々で注意しなければいけないのは回路全体の抵抗値で抵抗をつけてないときと比較して抵抗値はグッと小さくなります。(小さい抵抗を並列接続しているので当たり前ですが...)
例えば先ほどの場合は500kΩ×0.09=45kΩまで小さくなるので注意が必要です。
同様の理由で、この回路は接続される機器の出力インピーダンスの影響をモロ受けますから、出来れば45kΩの十分の一で5kΩ以下の出力インピーダンスでつないでやる必要があります。

インチキCカーブ

同様にCカーブについて記述します。
Normalized Psuedo C Curve Circuit先ほどと同様に、全体の抵抗が1Ωで回転角により比例して1-2間の抵抗がXΩ(2-3間の抵抗は(1-X)Ωですね。)のB型の抵抗にaΩの抵抗が2-3間に接続された場合を考えます。
この回路の1-3に電圧をかけた場合1-2間出力される電圧を考えます。
作戦としては、1-2間で得られる電圧に注目し、回転角が小さいうちは抵抗aを使用して出力電圧を引き上げるイメージです。
  計算すると以下のようになります。

1-3間の抵抗 分圧比
Exp3:Total Resister (1-3) Exp4:Output Voltage (1-2)/(1-3)

先ほどと同様に、Cカーブに似せるために分圧比の式とxからaを求めます。

仕様計算式求まるaの値
回転角が50%の時、1-2間の抵抗が全体の抵抗の85% 0.85=(0.5*0.5+0.5a)/(a+0.5*0.5) a=0.1
回転角が30%の時、1-2間の抵抗が全体の抵抗の60% 0.6=(0.3*0.7+0.3a)/(a+0.3*0.7) a=0.28
回転角が50%の時、1-2間の抵抗が全体の抵抗の70%(-3dB) 0.7=(0.5*0.5+0.5a)/(a+0.5*0.5) a=0.38
後との絡みでSineカーブを同時に記述しています。
Psuedo C Curve



Psuedo C Curve
a X 0 0.10.20.30.40.5 0.60.70.80.91.0
0.1 RATIO 0 0.53 0.69 0.77 0.82 0.86 0.88 0.90 0.92 0.95 1
TOTAL 0.09 0.19 0.29 0.39 0.49 0.58 0.68 0.78 0.87 0.95 1.00
0.28 RATIO 0 0.32 0.49 0.6 0.68 0.74 0.78 0.83 0.87 0.92 1
TOTAL 0.22 0.31 0.41 0.50 0.59 0.68 0.76 0.84 0.92 0.97 1.00
0.38 RATIO 0 0.27 0.44 0.55 0.63 0.70 0.75 0.81 0.86 0.92 1
TOTAL 0.28 0.37 0.46 0.55 0.63 0.72 0.79 0.87 0.93 0.98 1.00


使い方はインチキAカーブの時と全く同じです。

バランス・パンポット

可変抵抗には2連の物があり、ステレオ等ではR.ch.とL.ch.の音量を同時に制御するために使用されています。
ここでバランス、パンポット、クロスフェーダー等に使われる2連ボリュームについて考えてみましょう。
ステレオ等の音響装置の場合、音圧は電力に比例、電力は電圧の2乗に比例します。
以上の事からステレオ装置から得られる音圧は以下の通りになります。
左のスピーカに供給される電圧:Vl
右のスピーカに供給される電圧:Vr
スピーカに供給される電力と音圧の比例係数Kとすると
中央で得られる音圧をSPLとすると
SPL=K(Vl)^2+K(Vr)^2
の式が成り立ちます。
ここでSPLを一定とするには
Constant=K(Vl)^2+K(Vr)^2
の式が常に成立すれば、パンポット等で音を移動させた場合、仮想的に得られる音が一定平面上を動きます。
ところでこの式に見覚えないですか?
そう円の方程式ですね。
つまりVlおよびVrをSin関数、Cos関数で振ってやれば良いわけです。
そんなわけで、インチキCカーブの表にSine関数も載せておきました。
B-B Curve B-B 比較的簡単に手に入る2連のB-B型ボリュームです。単調増加のB-Bカーブの可変抵抗をクロスにして使用します。
この方法だと左右でMAXレベルでもセンター位置にすると音圧が-3dB下がるため、センターにすると遠くに行く感じがすると思います。
M-N Curve M-N ステレオのバランスコントロールで良く使用されているカーブです。この方法だと左右でMAXレベルの場合、センター位置にすると音圧が3dB上がり近くに寄ってくる感じになると思います。

もっともバランスコントロールは様々な部品の誤差によるばらつきによる音圧差を許容するためについている物なので、一方のレベルを調節するとき他方のレベルが変わらない方が使いやすいため、こちらの方が使い勝手が良いとおもいます。
Reverse A-C Curve Rev.A-Cジャンクでない限りあんまり見ることはありません。どちらの可変抵抗もCカーブの感じがする物です。
ちなみにわたしは何でこのカーブを逆Aと言うのかよく分かっていません。(^^;)
センターでそれぞれが全体の70%(-3dB)抵抗値を示す物です。上記の二つと比較するとSin-Cosカーブに近いため、パンポットに使ったとき一番スムーズに音が移動する筈です。
昔、4ChパンポットやったときにB-B2連可変抵抗をインチキCカーブを使ってスムーズな回転を得ようと思ったこともあるのですが、B-Bの方が良いと言うことで結局使いませんでした。

パンポットペダル

パンポットはステレオでもモノラルでも使用できます。モノラル楽器に使用すると左のアンプでバッキング、右のアンプでリードを取るなんて事もできます。
Panpot Pedal for B-B Pot 一番入手しやすいB-Bカーブ可変抵抗を使用したステレオ-モノラルどちらでも利用出来るパンポットペダルの回路例
Panpot Pedal for Psuedo C Curve インチキCカーブを利用してスムーズにとおもったら、左の回路のように互いのインピーダンスの影響を出さないためにバッファー2個が必須になります。
Panpot Pedal for Guitar ギター等に使用する場合、入力ジャックのスイッチを利用してステレオ/モノ切り替えスイッチを不要にする場合はこんな回路を組みます。


可変抵抗のシャフト

シャフトにもいくつか種類があって、ギザギザの付いたタイプ、ただの丸棒、丸棒を半分削った物があります。それぞれ可変抵抗に取り付けるデザインの要「つまみ」と相性がありますのでちょっと書きます。

多回転式可変抵抗

半固定抵抗を使用して調整しようと思っても、バックラッシュや調整時の圧力の為に気に入った位置で固定できなくて腹が立った事ありませんか?
そんな場合は20回転や10回転で全抵抗値をカバーする多回転式の半固定抵抗をためしてみましょう。多回転式の半固定抵抗は回転をギア等で減速し抵抗体上を滑らす為に圧力やバックラッシュに対して随分と強くなります。ただし、モノによっては円盤形の半固定抵抗より随分と大きな面積が必要なので注意が必要です。


まとめ

こう考えてみると可変抵抗はトランスと同様に気に入った部品を入手するのが困難な部品のひとつのような気がします。また一方で、抵抗体を削って変なカーブ作ったり(昔B-Bカーブを削ってRev.A-Cカーブにする記事を読んだような記憶が...)
抵抗体切ってスイッチ入りにしてみたり等の、やっぱりトランスと同様な真空管時代のアマチュアニズムと言うかカスタム度の高い仕掛けが入れられるパーツであるとも言えます。

と言うわけで、試して良いと思ったものは使ってみてください。
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Last Up Date '00/07/08