上海オールナイト(後編)
『浦江飯店』の5階にある、ドミトリールームの小さなパイプベッドに腰を下ろし、ama君、wan君と雑談をしながら、15分ほど部屋で待っていると、南京路の地下鉄で別れたnob君が帰って来た。
さらに、しばらくすると日本へ一時帰国していた上海留学中のshan君も、浦江飯店に到着。
これで俺が蘇州号で出会った日本人全員が集合。
そして俺達、日本人に付き合ってくれる地元、上海人が3名の予定である。
蘇州号で出会った上海人に電話をして、時間などを決めてくれたのは、俺達5人の中で、1番のナイスガイのnob君だ。
うぅんー。旅の初日で日本人数人と現地人で夜遊びするなんて、俺の旅始まって以来の出来事だ。
もし、俺が上海へ飛行機で行っていたならば、あり得ない事である。
上海人達との待ち合わせ時間が夜遅くということになり、俺達、日本人組は晩飯を食べに行くことにした。
人数が多いということもあり、入国祝いということで、俺達は、これから先、あまり行くことはないであろうレストランへ向かった。
俺達の中で唯一、地理が分かるshan君に道案内をたのみ、僕達は彼に着いていった。
このあたりはレストラン街なのだろう。通りの両側には、飲食店が建ち並び、呼び込みの人達なのだろうか、チャイナドレスを着た従業員が、メニューを持って、店の前に立っている。
僕達が通ると「いらっしゃいませ!」なのだろうか、少し大きな声で、僕達通行人に声をかけている。
そんな通りにある一軒の店へ僕達は入っていった。
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夜の南京路
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「こんな店、一人じゃ来ないよね。」なんて、一人旅同士の集団と言葉を交わしている間に、飲み物やおかず数品を注文してくれたのは、やはり中国語が話せるshan君だった。
おかずとご飯というスタイルでお腹いっぱいご飯を食べた後、地下鉄に乗り、そしてブラブラと歩き、俺達が向かった先は、待ち合わせの場所、『PARK97』というディスコです。
nob君が連絡を取り合っていた男女3人は、すでに到着していた。
俺は日本ではとても、つつましく質素に生活しているので、このような場所に来ることは、まずない。
俺をこんな所へと向かわせてしまう海外旅行とは恐ろしい。
大音量が鳴り響くホールへゾロゾロと俺達は入っていった。
隙間がないくらい若者でいっぱいです。テクノ音楽が鳴り響くホールはお洒落な上海人でいっぱいです。
カップルで来たり、友達と来たり、ナンパを目的に来たりと。
さすが中国一の大都会上海だ。共産主義を全く感じさせないほど、みんなお洒落であか抜けている。
そして俺達日本人旅行者は、みんな服装が場違いにおもえるほど、ラフすぎる。
そんなことよりも、俺はどうもディスコは苦手だ。
なんとなく体を揺らしているが、とても違和感がある。
みんなはどうしているのだろう?
nob君は女の子と楽しくDancing!wan君も一人でDancing!shan君は疲れたのだろうか椅子に座っている。
ama君に目をやると、なんと!上海人の女の子にナンパされてます。
昼間、俺とama君の二人で、行動したこともあってか、ama君が俺の所へやって来て、彼がナンパされた女の子の友達を俺は紹介され、何故か?一緒に踊ってる。
そして何故か?明後日の夜に4人で会うことも決まっていた。
俺達は、特に際だった容姿でもないし、特に俺はディスコに不相応なやつだ。
ama君は、気持ちが高まっているように伺えたが、俺には彼女たちの大きいか小さいかは分からないが、思惑があるように感じた。そしてそれは、イヤな思惑だということも。
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外灘の夜景
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ディスコを出た俺達5人と待ち合わせをしていた上海人女性2人とその同級生1人の計8人で、今度は朝までカラオケだ。
PARKSONのビッグエコーへ。ここには日本語の歌がたくさんありました。
俺は日本では、めったにカラオケに行きません。
俺をこんな所へと向かわせてしまう海外旅行とは恐ろしい。
5、6時間はここにいたのだろうか?
カラオケを出た時はすでに、日付は変わっていて、しかも太陽まで昇っていた。
他の中国人のグループも明日も休みなので、まだまだガンバッテいるところもチラホラ。
「なんか日本と一緒やな。ここは、ほんまに上海やんな?」と疑ってしまうくらい、日本と同じ様な感じだった。
タクシーに乗って俺達が浦江飯店に帰ってきたのが、AM7:00。
シャワーを3階のシャワー室で浴びた俺は、ama君、wan君と同室の自転車トラベラーの岩崎さんを見送った。
浦江飯店で出会った岩崎さんは、韓国から船で中国へと渡り、青島から自転車で南下中であり、とりあえずは香港を目指すと、折り目がすでに破れてしまっている中国全土の地図を見ながら言っていたが、最終目的地は、なんとインドだそうだ。
「じゃぁ、行きます。」と言って、自転車をこぎ出し、外灘大橋にさしかかった岩崎さんは、もう中国の一部となって、完全に同化していた。
まさか彼が、今回の旅の運命の人になるとは、このときは想像すらしていなかった。
こうして俺の長い長い一日が終わった。
昼過ぎまで寝ようっと。
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