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多くのファンに受けいられるには商業的要素を使ってクリード・テイラーは【純粋なジャズ】を
よりポピュラー化させ成功させる代わりに、巧みに作られたジャズまがいの【ソウル&ディスコ音
楽】を次々にプロデュースすることで、【純粋なジャズ】というものを消滅させたという批判にさ
らされた。
テイラーはこれに対して、こういった現象は正真正銘【純粋なジャズ】のファンがこのアメリカで
着実に増えてきている兆候だと意義を唱えた。
「私は今、よりストレートなジャズ・レコードをプロデュースする計画を持っている。
というのはファンという者は常に向かいにいて、信頼できるよい即興音楽を受け入れる準備が出来
ていると思う。
だからこそディスコ界には巻き込まれまいと誓った。・・そういう世界はフォードやゼネラル・モ
ータースに任せておき、私が思うに全てのエリアは非常に不快なものだ。・・例えどんなに私がエ
スサー・フィリップスを日々めまぐるしく変わるそんな世界に引きずり込むことに夢中になったと
しても、一時的なことである。 (ただ、偶然にもその事がより心地よい高額所得者層に彼を招いて
しまったが。)
常に私が固く信じていることで、取っ付きやすい音楽を作るプロセスはより多くの人をジャズに夢
中にさせることだと。・・しかしそれは私自身クロスオーヴァーしなかったことが間違いだったと
いう事ではなく、エスサー・フィリップスのヒットのあと多くの時間を費やしたことで・・約1年
半だったと思う。・・ディスコのレコードを作ったが、ディスコ音楽は新しい促進的な販路であり
CTIに対する私の責務は売れるレコードをプロデュースすることだったからである。
これは、会社のオーナーであるクリード・テイラーと、プロデューサとしてのクリード・テイラー
とは別の考え方があり、正直いってここに落とし穴があるんだ」。
私はテイラーに彼のCTIプロダクションに対する批判的な意見について尋ねた。
アルバムの批評について呼ばれたJJI誌の投稿者の多くは片寄り気味で彼等はジャズとは何の関
係もなく、憤然として不平を述べているということについて。
「私が思うに」と続けた。「大抵の評論家はポイント見逃している・・つまりNYのある偉い映画
評論家がかなりの映画を観に行くのは、あれこれと悪評を言うためであるが良いポイントを見落と
しているのと同じである。
クリス・アルバートソンはたいへん聡明で広い見聞の博識ある評論家であるが、色眼鏡でプロデュ
ーサを眺める傾向もあり、つい最近彼が以前に書いた批評を読む事ができた。
また全てを切り捨ててしまう傾向にあるナット・ヘントフは、チャーリー・ミンガスを無視し【純
粋なジャズ】をも毛嫌いする。事実ナットと私は全く見解が合わない。
しかし私はジャズが常に自分の仕事における展開エリアであり、1970年代にさかのぼる全てのサイ
クルを体験してきたことに感謝している。
と言うのは、莫大な数のクロスオーヴァーのレコードがその年代にあったからで・・勿論他にもあ
ったが・・そこには長い経験を積んだ見識の高いプレイアー、スタン・ゲッツ、ジム・ホール、デ
クスター・ゴードン達がいた。
私がレコード業界に入った当初は、ジャズの5千枚というのは驚くべきセールス数だったが、今で
は5万枚が当り前となっている・・全く変われば変わるものだ。
過去においてジャズ・アルバムがミリオン・セラーになるということは無かったが、ジョージ・ベ
ンソンは2枚のプラチナ・アルバムを持っている」。
テイラーはジョージ・ベンソンが華々しく成功したが、格別に感銘を受けなかった。
というのは彼はジャズを捨てポップ・アーティストになったからで、「その通りだが、違う分野の
ベンソンが活躍しているんだ」と言う。
しかしながら、ジャズはアメリカにおいて急激なビッグ・ビジネスへと成長したが、その可能性に
おいて様々な試みが展開された。
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