第W期、ヴァーヴ時代


    W期、ヴァーヴ時代は1964年10月、      そんな余裕のできた1965年3月一世一代の話

  リヴァーサイドでの数々の素晴らしいレコー      が持ち上がった。何とヨーロッパへの巡演話

  ディングに以前より眼をつけていたプロデュ      である。実はこの話1962年にもあったがウェ

  ーサのクリード・テイラーは、ウェスをヴァ      スはだいの飛行機嫌い、「車で行けるならど

  ーヴ・レコードに迎えいれた。彼にはウェス      こえでも行くさ」と一度は断ったがあまりに

  をもっと商業的な設定で使う目算があり、ギ      も熱い要望にとうとう折れてしまった。

  ンギンの4ビートではなくポップ路線に乗せ      イギリス、フランス、ドイツ、スイス、イタ

  一般受けするようなレコーディングを考えて      リア、ベルギー、そしてオランダの各国を5

  いた。                    月上旬まで巡演したが久々の4ビートと異国
                                          
  ヴァーヴのレコードを聴いていただければ分      の雰囲気を結構満喫したようである。

  かると思うが、ウェスのバックにオーケスト      考えてみるにこの第W期こそウェスにとって

  ラを配し選曲もジャズのスタンダードではな      絶頂期といっても過言てはあるまい。プレイ

  く流行のポップスを採り入れている。            は円熟を増しレコードは売れる、クラブでは

  当初ウェスは抵抗を示したが、レコードが売      引っ張りだこの超売れっ子ぶりであった。

  れることにより生活は安定した。