第X期、A&M時代
1966年クリード・テイラーはヴァーヴを と努力している。もちろんコピーなんかしな
辞めA&Mレコードに移籍した。しかしウェ いさ。」と熱っぽくインタビューに答えてい
スとの成功が忘れられず1967年に彼を引き抜 る。そんなウェスにクリード・テイラーはヴ
いた。これが終局の「第X期、A&M時代」 ァーヴ時代とはまた違ったスタイルで取り組
である。 んだ。
この時期、商業的に徹しているウェスに対し ギターのバックにバロック風の洒落たストリ
古い4ビート・ファンは非難の声を浴びせた ングスを配し、流行のポップスやビートルズ
が、ウェスとて生活も大事である。「世間か のナンバーを採り入れた<ア・デイ・イン・
らなんといわれようとかまわないさ。みんな ザ・ライフ>これが大当たり20万枚以上の大
プレスリーやビートルズの音楽を鼻先であし ヒットとなった。
らっているようだが、俺は彼らの音楽のよさ
を見つけ出し、自分自身の中に採り入れよう
今やイージー・リスニング・ジャズの先駆者 ンルで多くのギタリストに引き継がれており
でもあるウェス・モンゴメリは押しも押され コルトレーンやマイルスとはまた違った意味
ぬ<44歳のスター>となった。 での<ジャズの巨星>といえる。
休日の我が家で、これから楽に過ごせると感 どうです、だいたい解かっていただけました
じたはずの1968年6月15日の朝、ウェスは気 か。なにもっと詳しく教えろって、じぁ、こ
分が悪いといってダイニング・ルームの椅子 こまでの話で更に詳しく書かれた本を紹介し
に座ったとたん、以前より悪くしていた心臓 ます。エイドリアン・イングラム著小泉清人
発作に襲われ帰らぬ人となった。若い頃の無 訳、「ウェス・モンゴメリ」、JICC出版
理な仕事と最近の多忙がたたった享年45歳、 より1992年3月に発行されている。
あまりにも若すぎる死であった。 そして、ジャズ批評90「ウェス・モンゴメ
「虎は死っして皮のこす」。ウェスは死んで リ」、ジャズ批評社より1997年1月発行、堪
もそのオクターヴ奏法は、現在あらゆるジャ 能できる記事が満載、是非読んで下さい。
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