自動車木版画家、牧田哲明氏の紹介【日本自動車アーティスト協会(JAAA)会員】
1935年 愛知県豊橋市に生まれる
1983−84年 三菱自動車の海外向けモータースポーツ・カレンダーを木版画(83)と油彩(84)で制作
1986−88年 瀬戸大橋ヒストリック・カーフェスティヴァル・ポスター木版画で制作(倉敷)
1987年 牧田哲明自動車画展(岡山・ビブレ)
1988年 倉敷オート・アート展(倉敷市立美術館)木版画、油彩出品
1989年 三菱オート・アートギャラリー(アメリカ、ヨーロッパ他)に出品
1992年 ミッレミリアの風景展(東京:M2)木版画とモデル
1993年〜 モントレー・ヒストリック・オートモービル・レースの記念木版画を毎年制作(米国)
1995年 アルファロメオ・アート&モデル展(倉敷・古典車館)
1997年 ミッレミリア・アート&モデル展(東京・クレトピア原宿)
1999年 川上澄生美術館版画大賞展出品(栃木・鹿沼)
2000年 アルファロメオとミッレミリア展(町田・ガレリアマリー)
2001年 アルファロメオ木版画展(パシフィコ横浜)
同年 イタリア車の木版画展(横浜・京急百貨店)*モデル、切手も展示
現在は東京都町田市でアルファロメオを中心にイタリアでの歴史的なレースを木版画にし、又そ
れらの資料、ミニカー、切手等を収集している。
しかも、ウェス・モンゴメリの熱狂的なファンで40年近くレコードとCDのコレクションも続けて
いる。
徳井 もともと版画を始められた動機はなんですか?
牧田 大学の頃からアマチュア・レースが好きで、当時私はラリー・ドライバの免許まで取得し参
加しましたが、他にも自転車、ヨットなども経験しましたね。
それで在学中、美術にも旺盛で暇を見つけてはレースに関する絵画に取り組んでいたんです
が、美術部に大島って車好きがいたんです。
その彼が、卒業後三菱自動車のデザイナーとして入社したんですが、メキメキと頭角を表し
とうとうミラージュをデザインし、さらにはあのF3まで手がけたんです。
それで83年、海外向けモーター・スポーツ・カレンダーの制作に当たり、今までありきたり
のデザインに飽きて、同級生の私に制作依頼してきたと言うのがきっかけでしたね。
徳井 それで、どのようなものを制作されたのですか?
牧田 今、言ったように海外向けモーター・スポーツ・カレンダーなんですが、このとき好きな木
版画が浮かび、日本のよき文化を海外のひとに理解してもらえれば一石二鳥だと直感しまし
た。
徳井 牧田さんの経歴を拝見しましたが、その後美術館や、デパートなどにも出展されていますが
その話をもう少し具体的におっしゃってください。
牧田 三菱のカレンダー出展が記事になり、それを見た方々が「是非、私ども○○デーパート主催
のイヴェントに出展願います」とか「あなたの作品は倉敷のイメージに叶っています」など
と熱い要望が各地から舞い込みました。
徳井 それが素晴らしいですね。いえ、売れない画家や作家は必死で頑張っておられるんですが、
いわば口コミ風にあなたの作品を認めていただける・・もちろんそれだけの技術が携わって
いるからなんですが、海外での話はどうなんでしょう?
牧田 版画制作にあたってのプロセスなんですが、本当に版画のよさを理解している人、またその
題材が依頼者に深く関係してるものを念頭にしていますから、いくら大手デパートや美術館
それに企業から金銭的に依頼を受けたとしてもお断りしています。
三菱の出展が機会となったのも事実なんですが、アメリカやヨーロッパのカー・レース主催
者からも噂を聞きつけ熱い要望が寄せられました。
海外からは日本の版画技術がなく、その斬新かつ素朴な配色に魅せられたと言うのですが、
確かに海外の版画技術というのはエッチングといい、ようは油絵の具を絵画用紙に刷り込む
のですが、紙質に吸収性がないためベタっと塗り込んだ感じなんですね。
和紙を使った日本古来の技術は【紙、水、水彩絵の具】この三要素がその紙質の吸収性を利
用し、その吸水した感じが独特の世界を描いていると言えるんですよ。
本筋に戻しますが、それで93年アメリカのモントレー・ヒストリック・オートモービル・レ
ースの記念木版画を手がけることにしました。
主催者のスティーヴン・アールには今年8月で10年にもなりますが、毎年作品を出展してい
ますが、原画五点のうち一点はレース優勝者に一点はスティーヴンの家に、そう彼の部屋に
はすでに九作品が飾られ、訪問者への自慢話となっていると聞きました。
徳井 げすの勘ぐりなんですが、では残りの作品は?
牧田 一点はその年のレースに一番貢献したというか、話題になった車種、たとえばBMW、アル
ファロメなどが所有する博物館へ寄贈され、展示されています。
残りはニューヨークでは自動車に関係する美術品コレクターが大勢いると聞きましたが、そ
んなことで私の知名度はどちらかというと海外にあるらしく、取引されているとうかがいま
した。
徳井 プレミア必死というところですね。そんな偉大なイヴェントにしか制作しない牧田さんが今
回ウェス・ファンの為に限定20部を摺って頂きました。
牧田 もともと私もカー・レース・ファンですが、ウェスについても同様、彼のレコードをコレク
ションしています。
ですから徳井さんから版画の依頼をうけたというより、私自身いちど挑戦してみたかったと
いうのが本音なんです。
でも、ファンに頒布するにあたって先ほども言いましたが本当に版画のよさが解って、しか
もウェス・ファンのかたのみという条件にしたいと思います。
徳井 もちろんそれ以外の人は買わないでしょうが、貴重な作品ですから慎重に事前審査致します
よ。(笑い)
しかし、モノクロでありながらどうしてこう魅きつけるものを感じるのでしょう?
牧田 具体的に使用している絵の具は黒一色の濃淡だけではありません。
茶、紺、灰を寄せ混ぜ黒っぽく仕上げると柔らかみや暖かみのある作品になります。
ま、カラーはカラーの良さもありますが、私はこの配色が気にいってますね。
徳井 過去色んな作品を勉強され取り組まれた中には当然カラーも制作されたかと思いますが、釣
り師が川ブナに始まって川ブナに戻るの例えですね。
いや、ほんとうに素晴らしい出来映えですね。素人の私にはこれ以上の例えが見つかりませ
ん。(笑い)
それで、頒布の方法なんですが・・・。
牧田 事実上、頒布という形は初めてなんですが、すべて徳井さんに一任します。
ただ、あまり高くしないように多くのファンが求めやすい価格にしてください。
徳井 ありがとうございます。お任せ願います。20部限定、再版致しません。
牧田 そう、今回の版画を制作していて思いついたのですが、ウェスの65年というのは彼の一生の
中で一番いい時代、中でも欧州ツアーは最大の事件ですよね。
それで、徳井さんがホームページの表紙に使っている絵画に変えて1から12月までの【ウェ
スの65年】といタイトルで摺ってみたいのですが?
徳井 え゛〜本当ですか、では今からネタを探しますので是非お願いします。
牧田 それに将来冊子を作りましょう。ディスコグラフィをお作りになったように版画や珍しいジ
ャケットなど掲載したものを、夢がありますよ。
徳井 えエ゛それは楽しい、私もまた改めて目標ができました。
どうもありがとうございました。今後のご活躍お祈り申し上げます。
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