RIVERSIDE Records
1952年 夏頃、ビル・グロウアーとオリン・キープニューズによってトラジショナル(RCAやパラマウント)     の復刻専門レーベルとしてニューヨーク市に創設。社名の由来はこの地域を代表する電話局の名 前をもじった。 1953年 新録音を手掛けることでランディ・ウェストンを初の専属契約としてモダン・ジャズに着手する。 1955年 セロニアス・モンクと契約したのを機にコンテンポラリー・シリーズ、12インチLPレコードの制 作活動を始める。 1960年 子会社ジャズランド・レコードを発足。 1963年 ビル・グロウアーの死去により、活動を停止。 1964年 7月20日倒産。レーベルはオルフェウム・プロダクションが買収。 1967年 ABCレコードに権利移行。 1972年 9月、オリン・キープニューズがファンタジー・レコードから招へいされ入社することでリヴァー     サイド原盤の一部は買い戻された。その前の66年にキープニューズ自身が設立したマイルストーン     と言うレーベル名でリイシューされる。日本での発売権はビクター音楽産業となる。 1983年 ファンタジーがオリジナル・ジャズ・クラシックスを発足した事により系列下に入る。 2004年 親元のファンタジー・レコードがコンコード・レコードに買収され、リヴァーサイドはコンコー ド・ミュージック・グループの一部となる。 ウェスがリヴァーサイドに関係したものは、1956年に12インチコンテンポラリ・シリーズとされたレコー ド番号RLP12-201(Bill Grauer Productions)から、1964年倒産後継承したRM499/RS9499(Orpheum Produc- tions)までにリリースされた中の(Compilation等は除く)11作品である。 1st.プレスとしてのレコード番号は頭記号に "RLP12"(Riversude Long Playing 12inch) が付与された以 下のMONO盤3作品である。 1959年 RLP12-310 The Wes Montgomery Trio/A Dynamic New Sound 1960年 RLP12-318 Work Song/Nat Adderley 1960年 RLP12-320 The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery そして"STEREO 1100"シリーズとして1957-1960年の間に68作品がリリースされた中の上記作品のSTEREO盤 が存在する。 RLP1156 The Wes Montgomery Trio/A Dynamic New Sound RLP1167 Work Song/Nat Adderley RLP1169 The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery これらのラベルは「ラベル小」と言われるMONO盤/STEREO盤共に直径約90oのものとされる。 これ以降の6作品は「ラベル大」と言われる直径約100oのものとなり、MONO盤は12インチという頭記号の "12"がなくなり、STEREO盤の頭には"9"が付与されている。 1960年 RLP-342 RLP-9342 Movin' Along/Wes Montgomery 1960年 RLP-355 RLP-9335 Cannonball Adderley And The Poll-Winners 1961年 RLP-362 RLP-9362 Groove Yard/The Montgomery Brothers 1961年 RLP-382 RLP-9382 So Much Guitar!/Wes Montgomery 1961年 RLP-407 RLP-9407 Bags Meets Wes!/Milt Jackson And Wes Montgomery 1962年 RLP-434 RLP-9434 Full House/Wes Montgomery そして恐らく1962年の後半以降になってからから付与された頭記号が再リリース盤も含めMONO盤は "RM" (Riverside Monaural)、STEREO盤は "RS"(Riverside Stereo) に変更されている。 1963年 RM-459 RS-9459 Boss Guitar/Wes Montgomery 1963年 RM-472 RS-9472 Fusion!/Wes Montgomery With Strings ここまでがリヴァーサイド(Bill Grauer Productions)がオリジナルとされ、MONO盤は青地、STEREO盤は 黒地、銀色のマイクとリールのロゴが大きな特徴といえる。 (注:ラベル下部に書かれた"Bill Grauer Productions"は頭記号 "RLP12"とその"STEREO 1100"シリーズで "RLP" 及び "RM/RS" になると "Bill Grauer Productions Inc." となる) ところが、ウェスに関しては最後となる《RM-472/RS-9472/Fusion!/Wes Montgomery With Strings》でジ ャケット、ラベル共に変化している。 1st.プレスにおいては上記の通りであるがビル・グロウアー死去前後に2nd.プレスされたラベルがある。 例えば《RS-9472 Fusion!/Wes Montgomery With Strings》はリヴァーサイド・カラーの青地ながらSTE- REO盤で、銀色のマイクとリールのロゴが無くなり上部はやや小さめの "Riversude" の文字と下部には "Bill Grauer Productions Inc." と書かれたラベルが存在する。(写真 1) しかしりリリースにあたっての裏ジャケットには "Bill Grauer Productions" ではなく "Produced By Riverside Records" との記載になる。(写真 2) これは1st.プレスも同じ "Produced By Riverside Records" ですが、同時に "Distributed in Europe by Interdisc." と記載された、インターディスク盤といってヨーロッパへ流通させたものもある。 (インターディスク盤にはどうやら2種類存在していて、上記のものはリヴァーサイドからヨーロッパ   代理店へ輸出したもの、それとヨーロッパ代理店にプレス・販売を委託したもの(写真 3)がある。) このロゴ無しラベルが、単なるイメージチェンジなのかインターディスク盤を意識してのことなのか、お 粗末さが倒産に、より拍車をかけていたように思える。 1964年リヴァーサイド倒産以後、版権を継承したオルフェウムになってラベルは大きく変化した。 倒産以前にレコーディングされていた2作品は1966年にリリースされた。 1966年 RM-492 RS-9492 Portrait Of Wes/Wes Montgomery Trio 1966年 RM-494 RS-9494 Guitar On The Go/Wes Montgomery オルフェウムの継承初期はごく短期間ではあるが上記(写真 1)のラベルを変更せず・・というか在庫プレ スをそのままリリースしたと思われるものもあるが、ただ(写真 2)に見られる "Produced By Riverside Records" は当然 "Orpheum Productions" に変更されてあり(写真 2)、インターディスクの有無は確認で きていない。 間もなくラベルの色は一般的に知られているMONO盤/STEREO盤共に青緑(Turquoise)を独自カラーとし、 裏ジャケットもラベル下部にも "Orpheum Productions" と記載され、頭記号はMONOが "RM" STEREO盤は "RS" を継承している。 同時にリイシューに関しては"RLP 12-310"とか"RLP 1156"等の旧番号も復活させている。 1966年1月に《Portrait Of Wes/Wes Montgomery Trio》、続いて10月には《Guitar On The Go/Wes Mon- tgomery》を新録(注:Guitar On The Goは旧録交じりの問題レコード)としてリリースして以降、リイシュ ーが主体では経営も続かずこの頃からジャケットの造りも荒くお粗末になり、STEREO盤には青地(写真 4) や浅めの黒地(写真 5)が用いられた。 リヴァーサイド・オリジナル・プレスの見極めは番号順にリリースされていない事などからたいへん複雑 ですが、ウェスに関しては上記の事項を基本的にしていただきたい。 特にラベルに関しては溝あり、溝なし、深い、浅いなどの違いがあるようですが、溝ありが1st.プレスと 断言できる根拠はありません。その例をウェスの代表作《フルハウス》で検証してみた。 頭記号"RLP"が1st.プレスの《RLP-434/RLP-9434 / Full House》には溝なしが一般的で、2nd.プレスの "RM/RS" 《RM-434/RS-9434/Full House》には溝あり、が確認できる。 ただ1st.プレスのMONO盤《RLP-434/ Full House》の極まれに溝ありがあるという話と、オークションに 出品されていたものを確認したが何故・・極まれ・・なのかという疑問がある。 ちなみにマイ・コレクションの《RLP-434/Full House》は発売当時輸入レコード専門店で未開封購入した もの(手書スタンパーRLP-434A-1)、それに後年入手したSTEREO盤《RLP-9434/ Full House》(手書スタンパ ーRLP-9434A-1)やプロモーション盤(手書スタンパーRLP-434A-1)、ともに溝なしである。 これら1st.プレスとされるものは、62年6月にレコーデイングされ同年秋頃リリースされたと思う。 アメリカ最大の音楽雑誌ダウンビートを見ると、62年11月まではリヴァーサイドの広告掲載はジャズラン ドやオフビートも含め頻繁に見られるが、63年になると全く掲載されていない。 つまり62年の12月にビル・グロウアーが亡くなって、急速に経営の悪化を辿り64年7月に倒産したことか ら、63年2月14日号のダウンビートの"Record Reviews"で★★★★1/2の評価も甲斐無く全く広告宣伝さ れなかったことになる。 事実前作の《RLP-407/RLP-9407/Bags Meets Wes!/Milt Jackson And Wes Montgomery》までは広告掲載さ れていたが、倒産後オルフェウムに代替わりしても全作品の広告掲載はなかった。 頭記号"RLP"も2作品あとの《RLP-436/RLP-9436/Boosa Nova Pelos Passaros/Charlie Byrd》あたりまで で、以後のリリースには頭記号MONO盤には "RM" STEREO盤には "RS" で統一された。 当然《RM-434/RS-9434/Full House》 "Bill Grauer Productions Inc." として2nd.プレス(手書スタンパ ーRLP-434A-2)されたが、ラベルの違いだけでなく表ジャケットにも大きな違いが確認された。 2nd.プレスの頭記号 "RM" になってから下部左下に"434"のMONO番号が書かれている。(写真 6) さらに・・極まれ・・に見られるという《RLP-434/ Full House》の溝ありにもこの"434"のMONO番号が書 き込まれているという確認を得た。(このジャケットはオルフェウムにも引き継がれている。) 結局は高い評価をされながらにも1st.プレスはそう売れなかったのかと感じさせられるが、頭記号が変更さ れる直前に【追加プレス】されたとして考えるのが妥当だと思う。 それはプレス時期の違いによる【プレス工場の違い?】ということで溝ありが存在すると決着させるが、そ れにしてもワンプレス最低1000枚以上ですからガタガタの盤でももっと溝ありが見られてもいいはずです が、確かに見かけません。 が、ここは《MONO盤溝あり/1st.追加プレス》として扱うことにいたしましょう。 いつ頃だったか、リヴァーサイドの海賊プレスが(日本で???)でまわっていて、これがジャケット・ラベル ともに良くできていて、ラベル下部の "Bill Grauer Productions" が塗り消されているという以外は見極 めが付かないという、今でもふてぶてしくオークションに出品されているのを見かける。 だからといって、溝ありと関係がある訳ではないが、もし《RLP-434/RLP-9434 / Full House》の溝なし、 溝ありに出会ってもこの手の粗悪レコードには見極めをつけて頂きたい。 2つ目の疑問は専門雑誌等の掲載として "Orpheum Productions" での最後のリリースとなった《RM-499 RS- 9499/Cannonball Adderley-Cannonball In Europe!》が通常ながら、ほかに《RLP12-320 The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery》のリイシュー《RM 499/RS 9499/Vibratin'/Wes Montgomery Quartet》が タイトルもジャケットも無惨に替えられリリースされている。(写真 7) 当然ながら私は先にウェスの存在を確認していたが、キャノンボールの存在も間違いないであろうし、何故 番号がダブっているのか? 1967年、思うままにかき回したオルフェウムもABCレコードに権利が移行するが、確かこの年コルトレーン が亡くなりその経営も下降を辿る運命にありながらも、3枚のベストものと3枚のリイシューをリリース している。 リイシューを記載するがタイトルもジャケットも一新されている。  1.《Fusion!》は《RS-3002/In The Wee Small Hours/Wes Montgomery》  2.《Boss Guitar》は《RS-3012/This Is Wes Montgomery》(写真 8)  3.《The Wes Montgomery Trio》は《RS-3014/Wes Montgomery Trio/'Round Midnight》 ここまでジャケットやラベルは変化してきたが "RIVERSIDE" と言えるのはこのあたりまでです。 【コンテンポラリ・シリーズでのウェスに関する追記】 1.頭記号"RLP12"は「ラベル小」と言われるMONO盤/STEREO盤共に直径約90o "Bill Grauer Productions" のものが 1st.プレスであるが、2nd.プレスではMONO盤/STEREO盤共に直径約100o "Bill Grauer Pro- ductions Inc." となる。 2.頭記号 "RLP12-***" は320番後半から330前半に "RLP-***" と入り乱れて存在している。 3.その後の頭記号 "RLP-***" は436番まで確認しており、頭記号 "RM/RS-***" は483-484番までです。 4.オルフェウム独自のラベルは485番以降499番までです。 5.住所はRLP12-314までが、553WEST 51 STREET、RLP12-315からオルフェウムのRS9499まで 235WEST 46  STREETです。
(写真 1)

《RS-9472 / Fusion!/Wes Montgomery With Strings》
ジャケットは Produced By Riverside Records
ラベルは   Bill Grauer Productions Inc.
Distributed in Europe by Interdisc.と裏ジャケットに書かれ
輸出されたものもある。
(写真 2)

上:Riverside Productions
下:Orpheum Productions
(写真 3)

オランダ、Fontana Recordsにプレス・販売を委託した
インターディスク・ラベル
(写真 4)

RS 9494
Guitar On The Go
Orpheum Productions
(写真 5)

RS 9499
Vibratin'
Orpheum Productions
(写真 6)

《RLP-434 RM-434 /Full House》
左 :1st.Cover(溝なしラベル)
右 :2nd.Cover(溝ありラベル)
2nd.Coverはオルフェウムでも使われた
(写真 7)

《RM-499 /Vibratin'/Wes Montgomery Quartet》
オルフェウム最後のリリースとなった
《The Incredible Jazz Guitar》のリイシュー盤
ジャケット写真 : MONO
ラベル写真   : STEREO
(写真 8)

《RS-3012/This Is Wes Montgomery》
ABCよりリリースされた《Boss Guitar》のリイシュー盤
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