Four On Six(Transcribed by GIBSON BOY)
今、Wesファンの間では“動くWes”の第三弾にあたる《Wes Montgomery Live In’65/Jazz 
Icons》(*詳しくは当サイトニュース速報No87をご覧ください。)が話題をまい
ています。未発表映像が2編もリリースされたからです。
所謂、Wesの65年欧州ロードにおける成果は、これまでもレコードや映像でJAZZファン、Wes
ファンにセンセーショナルな話題をもって紹介されてきました。今回の《Wes Montgomery 
Live In’65》もまさしくそうであります。
その映像の中には興味をそそる映像が多々ありますが、その中でも〈Four On Six〉の演奏映
像におけるギター演奏時の特殊なアングルは、ギター奏者にとって特別な興味を覚えるもので
す。又Wesの名曲、十八番でもある〈Four On Six〉の演奏映像はこれが初めての映像になりま
す。
そんなことから今回は《Wes Montgomery Live In’65》“Tempo”の中からWesの代表的名作
〈FourOn Six〉におけるWesのアドリブコピーの採譜と分析解説を掲載します。
余談ですが、〈Four On Six〉のタイトルの由来にあっては諸説面白い話があります。その辺
も当サイトのニュース速報No35に掲載されています。併せてお読みください。

【分析】
〈Four On Six〉の曲構成は、ABAC形式で4bar.×4=16bar.がワンコーラスです。
コード進行は〈Summertime〉と同じで、これに基づいて作曲されました。テーマの冒頭の独特
なギター&ベースフレーズは、60年レコーディングの《Montgomeryland/PJ-5》で〈Summerti-
me〉を演奏していますが、この時Monk Montgomeryがこのフレーズを演奏しており、これが元に
なっとされています。
大雑把なコード進行のつかみ方を言えば、key in Gmで"A"の部分はGm一発4小節で、"B"の部
分は1小節毎にCm7−F7/B♭m7−E♭7/Am7−D7/E♭m7−A♭7とU-Xパターンの繰り返しです。
(このコードチェンジの流れはかっこよいですよ!細かくチェンジするU-Xのよい練習になり
ます。)
"C"の部分は平行調のB♭Maj7からAm7-5−D7alt/Gm/Gm//とマイナーのU-Xケーデンスです。


【Ad-libの分析】 それではWesのSoloをアドリブ譜にて細かく分析します。 冒頭のブレイクのピックアップソロですが、映像では右手親指の使い方がよく見て取れます。 親指でアップダウンで弾いているところなどです。 "A"(リハーサルマークA)の4brs.;すでにここで次の小節のCm9のアルペジオを弾いて先取りし5brs.へ。 5brs.の4拍裏のD♭音; D♭音を経過音として6brs.のB♭m7のアルペジオへと移っています。 実に音の使い方が見事です。 ここの4brs.目の2拍裏から5,6,7,8brs.のCm7−F7/Bm7−E♭7/Am7−D7/E♭m7−A♭7のU-Xのコー ドチェンジにおける分散和音を使ったフレーズは見事です。 9,10brs.;Gm7でのCホールトーンを使ったフレーズです。Wesはこのフレーズを比較的よく使いま す。なぜここでCホールトーンスケール(Cw.T.)が使えるか、少し詳しく解説します。 Gm7をGm△7と考えて、その構成音はG, B♭, D, F♯です。Cw.T.を弾くことでフレーズパター ンの最初のB♭, D, F♯は、Gm7サウンドのインサイドの音となります。 次のC, E, A♭はアウトサイドの音と捕らえます。 つまりこのフレーズはバックでGm7が鳴っていて、Cw.T.を弾くことによってインサイドとアウ トサイドが交互に出てきて、その意外感(アウト感)が感じられるわけです。 Wesのトニックマイナーに対する思考の一片が読んで取れます。 故にまとめるとホールトーンスケールは、トニックマイナーの時や又ストレートにX7に使えま す。 Wesは〈If You Could See〜〉では、D♭7でD♭ホールトーンスケールを同様なパターンで使 っています。一度聞いてみてください。 "B"(リハーサルマークB)の17〜20brs. と25〜28;ここはいずれもGm7の箇所ですが、インパクトのあ る面白い音使いです。トップノートをC音において、2ndの音をGmのスケール音で下降させていっ ています。 29〜31brs. 曲構成で行くとCの部分に当たる♭V△7−Um7-5−X7−Tm7のフレーズですが、 このケーデンスにピッタリとあったお手本のようなフレーズです。 "C"(リハーサルマークC)からは、オクターブ奏法でパーカッシブなフレーズでインパクトを与えています。 33〜36brs. と41〜43;いずれもGm7の箇所ですが、ナチュラルE(Y)の音をオクターブで、パー カッシブに使っています。 おそらくDorianを意識した音使い(E音は特性音)かMelodicMinorの発想だと思います。 しかしちょっと違和感のある音使いと感じるのですが、見事サウンドしています。 44〜49brs.;44bar.の2拍目から次のB♭Maj7を先取りしたフレーズで、最後の49bar.迄、 ♭V△7−Um7-5−X7−Tm7のケーデンスを見事に歌いあげています。 GIBSON BOY