Wes' Tune(Transcribed by GIBSON BOY)
今回のWes演奏のトランスクリプションは、《Montgomeryland/Pacific Jazz PJ-5》からWes
オリジナルの〈Wes' Tune〉をおおくりします。この曲はJazzの演奏様式においてBluesにつ
いで多く用いられる、所謂 Rhythm Change(I Got Rhythm)といわれ、T-Y7-Um7-X7や
T-T7-Y-(Ym7)のケーデンスを含む様式です。
それでは、テーマ譜とアドリブの採譜譜面を分析していきます。その肝所のフレーズではい
つもながらWesのすばらしさに感心しきりです。とても参考になると思います!


【テーマ】
〈Wes' Tune〉はA,A,B,A形式の32小節で、Key in A♭です。
Wesは通常のRhythm Changeのコード進行にひとひねり加え作曲しています。
その箇所を見ていきましょう。テーマのコード進行において7小節目をBMaj7にしています。
本来ならA♭Maj7で終止させるところ、6小節目の3,4拍目にG♭7をおいてBMaj7で解決してい
ます。何か開放感のあるサウンドを感じます。
アドリブの進行ではここの箇所は、1.カッコ(7,8小節目)はBMaj7|B♭m7ーE♭7|で
2.カッコ(15,16小節目)はA♭Maj7|A♭Maj7|です。(ソロのコードチェンジ参照)
次にサビもX7の4度進行ではなく、X7の半音下降進行でさらにWes得意のX7をUm7-X7に
分解しています。ここでのテーマメロディは各コードのアルペジオを基にアルペジオとは思
わせぬ、とてもリズミックにメロディックにつくられています。


【Ad-libの分析】 その前に所謂Rhythm Change様式のad-libについていくつかの方法論が考えられます。 @T-Y7-Um7-X7|Vm7-Y7-Um7-X7やT-T7-Y-Ym7のように多くが二拍づつコード進 行が変わり(ケーデンスと考えますが)コードチェンジごとに進行感を出してアドリブソロ を取る。 A例えば前半の4小節または8小節をA♭のブルーノートスケール一発で、ブルースフレーズ でソロを取る。 B例えばトリッキーにユニットフレーズを増4度でメカニカルに動きを取り入れたりもっと自 由にソロを取る。 等々考えられます。多くはこれらを組み合わせ、時にはコード進行どうり律儀に(Joe Pass のように)、又ブルージーなフレーズ一本で歌わせたり、トリッキーなフレーズだったり変化 をつけてます。 それではWesのad-lib soloの分析 [A]1小節前〜3小節目まで ソロパート1小節前からアドリブフレーズをひっかけて3小節目までA♭のブルーノートペ ンタトニックフレーズで弾いています。 [A]9小節〜12小節目まで ここはT-(Y7)-Um7-X7|Vm7-(Y7)-Um7-X7的に大まかなコード進行で乗ったきれい に歌ったフレーズです。 [A]サビ17小節〜24小節目まで サビは、基本的にはC7から始まるX7の半音下降進行ですが、Wesは得意のX7をUm7-X7に 分けて弾いてます。Wes得意のm7のアルペジオフレーズなどでてきます。 [A]の32小節2拍目のひっかけから〜[B]36小節目まで(2コーラス目頭) ここもA♭のブルーノートペンタトニックフレーズでチョーキングを交えブルースフィーリ ングで弾いています。 [B]37小節目〜39小節目 T-T7-Y-♭Z7|のコード進行どうりの模範的フレーズです。 [B]41小節目〜48小節目 ここのフレーズは、個人的にはこのテイクの中では一番好きなフレーズで、丸覚えして使え るフレーズです。なんともよく歌った模範的フレーズです。 [B]の48小節4拍目のひっかけから〜52小節目まで([B]のサビの部分) ここは一つのユニットフレーズをコール&レスポンスを交えて半音進行で下降していくフレ ーズ、ここもハッと気を惹くフレーズです。 [B]56小節目3,4拍目〜60小節目 ここのフレーズも最高にイカしてます。チャーリークリスチャンが弾く様な、Be-Bopそのも のを感じさせるフレーズです。 GIBSON BOY