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Wes Montgomery interviewed by Jim Gosa 11/1966, JAZZ このインタヴューは1966年5月29日、カリフォルニア州ロス・アンジェルスのKBIG-FM局でスペシ ャル・ゲストとしてウェス・モンゴメリを迎えて行われた。 SJ誌1967年2月号にも抄訳で掲載されていたが、全訳で紹介する。 Jim: 今夜のゲストは、現在一流のジャズ・プレイアーとなった人物です。    このインタヴューはロス・アンジェルスの "シェリー・マン・ホール" でのウェスの公演の 合間をぬって録音しています。    公演もほぼ終えて、今日土曜の午後はこうして座談しています。    公演はどうでした、ウェス? ロス・アンジェルスでの出演は初めてですよね? Wes: いや3年振りの出演なんだ。以前 "モンゴメリ・ブラザーズ" で "ブラック・オーキッド"    に出たことがある。 Jim: そして、解散しましたね。ソロとして。 Wes: そう、でも今回の公演以前に2〜3のグループと一緒に演ってたんだけど、ロスには来なか った。 "ウィントン・ケリィ・トリオ" とは8〜9ヶ月前に演ったよ。   Jim: ウィントンは素晴らしいピアノですよね。 Wes: ああ、本当に素晴らしいグループだ。 Jim: 彼は志向 (音楽) を変えましたよね? アプローチが少し変わったとは思いませんか? Wes: まぁ彼は今ではトリオのフロント・メンだから自分を変えざるを得なかったんだと思うよ。 Jim: あなた自身のプレイはどうです、ウェス? この2〜3年はっきりと自己を表現してきたと    思いますか? 自分のプレイが良くなったと思いますか? Wes: うーん、どうかな、ジム。僕は2通りの見解をしている。人に言わせれば、一般的に受け入 られやすいものへと進み始めているらしいんだ。 けど僕は自分のプレイに対してそうは思っていないけど。 Jim: ということは、未だに自分のプレイを懸念しているんですか? レコードでは素晴らしい成 功を収めているじゃないですか。 Wes: そうだと思うが、それだけじゃないんだ。まだやらなければならないことを多分、自分自身 分かっている筈なんだ。 Jim: 全てのアーティストは自分の仕事に満足していると思いますか? Wes: 個人差はあるが、それぞれに満足していると思うよ。僕の場合満足のいく日っていうのは少 ないが、けどその時は何も考えずおもいっきり演れるよ。まさに僕が主役って感じでね。    バックの連中にその満足感を潰されないよう--黙ってろ--というような気持ちになるが、お かしな話しだ。 Jim: その気持ちを納得できるレベルまでに達するのに何か意識してできることや、していること ってあります? Wes: それは精神的なこと以上に肉体的なこともある。例えば僕は親指を演りたいように動かせな くてね。    というのは、気持ちが親指の動きを左右するが、左手はそれに連携しているものなんだ。    だから僕の左手は問題ないが、親指は時折連携したがらないんだ。 Jim: あなたは親指で弾いていますね。ピックではなく。かなりのコントロールが要求されますが 親指でプレイしているという事実が我々を驚かせる事のひとつでもある訳です。    確かにギター・プレイではあまりみかけないスタイルですね。 Wes: そう、僕だけだと思うよ。知ってる限りはね。例えばメロディクなラインから別のアプロー チであるオクターヴを親指で弾き、またメロディ・ラインに戻すことができるが、時々最初 の展開を見失うこともあるんだ。つまりオクターヴの後メロディクなラインに戻るには全く 違ったコントロールが必要なんだけど、あまり巧く演れなくてね。 Jim: あなたは独学のミュージシャンですね。音楽理論を習ったミュージシャンとのレコーディン    グやステージなどで当惑を感じる事がありますか? 仲間うちで【迷い】といったものや、    彼等の演っていることに自分も演らなければって感じますか? Wes: あまり感じないが、それにはふたつのタイプがあると思う。ひとつは技術的に初見でプレイ    できる奴は凄いと思うが、自分を上手く表現できなければ何の意味もないね。    一般の人には理論的なことは解らないから、全くどうでもいいことなんだ。それより僕の演    っていることに価値があり、これこそ観せなければならないものだよ。----譜面を見ずに演    ることがね。 Jim: 楽譜が読めないのですか? Wes: あぁ、でも時々読めればと思うよ。誰かに弾いてもらわなくても好きな曲が覚えられるし、    素晴らしい曲を独り占めで先に演られることも無くなるしね。 Jim: 楽譜を勉強することは困難なことですか? Wes: たいていの人が、そんな事は無いと言ってくれるよ。だけど既にプレイしているとなると倍    以上大変だと聞いた事がある。だから読むのはやめたんだ。 Jim: あなたのように独創的な表現ができるアーティストにはなお更驚かされます。同じ楽譜を読    めないエロル・ガーナーもしかり、楽譜が読めてプレイできるよりその方が凄い才能だと思    いますよ。信じられない。    専門的な音楽理論もなくプレイてきるなんて、私には七不思議のひとなんです! Wes: 思うにどのように始めたかによるね。他のプレイアーは僕のギター奏法を想像することがで    きないんだ。独特の演り方だから。    似た事は出来るだろうがきっと滅茶苦茶になるだろうね。    まぁ、こういうことは最初にどうやったかに左右されるんだ。    僕は最初から耳を頼りにしていたが、長い経験から正確に鍛えることができたのも常に聴く    ということに心がけたからなんだ。    ある夜、クラブで楽譜についてバーニィ・ケッセルと話していて彼がいうには「君が耳に頼    っていれば、読む方の才能は進歩しなくなるから、よけい音に頼らざるを得なくなるんだ。    だから君の考え方や方向性も変えてしまうかも知れないよ。」ってね。    勿論そんなことは起こらないだろうが、考えておく必要はあるだろうね。