字源的アプローチによる 新解釈

 

はじめにお読みください


 


 

                 『老子』 第三十三章


知人者智
自知者明

人を知る者は智があり、
自らを知る者は、明るさがある。





知とは「矢+口」の会意文字で、矢のようにずばりとあてていうこと。智は「曰(いう)+音符知」で、知と同系。ずばりといいあてて、さといこと。




勝人者有力
自勝者強

人に勝つ者には、力があり、
自らに勝つ者には、強さがある。





朕チンは「舟+両手で持ち上げる姿」の会意文字で、舟を水上に持ちあげる浮力。上にあげる意を含む。勝は「力+朕(持ちあげる)」で、力を入れて重さにたえ、物を持ちあげること。「たえる」意と「上に出る」意とを含む。たえ抜いて他のものの上に出るのが勝つことである。



彊キョウは、がっちりとかたくじょうぶな弓。○印はまるい虫の姿。強は「○印の下に虫+音符彊の略体」で、もと、がっちりしたからをかぶった甲虫のこと。強は彊に通じて、かたくじょうぶな意に用いる。



 

知人者智 自知者明
勝人者有力 自勝者強


*
人を知る者は智があり、 自らを知る者は、明るさがある。人に勝つ者には、力があり、 自らに勝つ者には、強さがある。



 


知足者富
強行者有志

足るを知る者は、富んでいて、
力強く行く者は、志をもっている。





下部の字(音フク)は、中にいっぱい酒を詰めたとっくりの形を描いた象形文字。富はそれを音符とし、宀(いえ)を加えた字で、家の中がいっぱいに満ちること。



 


不失其所者久
死而不亡者寿

その居場所を失わない者は、久遠である。死んでも、しかし、亡くならない者は長寿である。





背の曲がった老人と、その背の所に、引っぱるしるしを加えたもので、曲がって長いの意を含む。


寿
下部は、長く曲がって続く田畑の中のあぜ道をあらわし、長い意を含む(音トウ・チュン)。壽はそれを音符とし、老人を示す 印を加えた字で、老人の長命を意味する。



知足者富 強行者有志
不失其所者久 死而不亡者寿


*
足るを知る者は、富んでいて、 力強く行く者は、志をもっている。その居場所を失わない者は、久遠である。死んでも、しかし、亡くならない者は長寿である。



 

 

 

 

▽ ちょっとシンプルな解釈!? ▽

知人者智 自知者明
勝人者有力 自勝者強
知足者富 強行者有志
不失其所者久 死而不亡者寿


人を知る者は智があり、 自らを知る者は、明るさがある。人に勝つ者には、力があり、 自らに勝つ者には、強さがある。足るを知る者は、富んでいて、 力強く行く者は、志をもっている。その居場所を失わない者は、久遠である。死んでも、しかし、亡くならない者は長寿である。




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