先達の知恵


よく、「自分自身を知れ」といわれる。
これがいったいどれだけの意味のあることかは、なかなかわかりにくい。

そのため、何人かの先達は、次のことを勧めている。
自己観察」をすることだ。
これは「日記」とは少し違う。

アダムスキー氏の『宇宙哲学』の最後に、「自己訓練法」として次のようなことが書かれている。

日常生活を通じてあなたの想念を抑制し続けようと思うならば、次のような容易な方法がある。
まずノートブックを用意して、左のページには、゛非利己的想念゛゛理解に満ちた想念゛゛自分と全生命との宇宙的な一体性を思い出せるような想念゛などが起こった場合にそれらを書き記し、
右のページには゛利己的、不安、不満、他人にたいする非難、結果だけ見て原因をみない゛
想念類が起こったときにはそれらを書きとめる。

あなたは自分の想念の動きにたいする観察者となり、
右(上)の各想念をかたっぱしから記してゆく。
一日の終わりに総計を出す。この方法が一定期間行われると、
あなたの心と肉体に混乱や病気を起こしていた古い習慣的想念が消滅するであろう。



これは、「容易な方法」と書かれているが、経験のない者にとっては、実際には容易ではない。
まず、左のページに、ほとんど書くことがないのではないだろうか。
つぎに、右のページにも、具体的にどう書いていったらいいのか、自分をとらえきれないだろう。

しかし、わからないなりにでも、言われたとおりに、まずメモをとっていくといかないとでは大違い、
実際にやってみる効果は絶大なものなのだが…。

だが、もう少し、具体的なやり方を考えてみた。

まず「感情」に関わっていそうな感覚を、様々な言葉でどれだけ表現できるか、書き出す。
喜怒哀楽はもちろん、
怒り、立腹、激怒、憤り、憤慨、短気、むかっ腹、苛立ち、かんしゃく、逆上、殺意、叱責、叱咤、嫌気、嫌悪、憎しみ、憎悪、恨み、恨みつらみ、妬み、嫉妬、羨望、所有欲、執着、固執、執念、心残り、未練、凝り性、自慢、自賛、飾り気、気取り、虚栄心、うぬぼれ、思い上がり、得意げ、見栄っ張り、過信、卓越感、優越感、自己陶酔、勝気、負けん気、負けず嫌い、負け惜しみ、無念、向こう見ず、無鉄砲、無茶、侮辱感、不満、遺憾、心配、気がかり、不安、胸騒ぎ、不幸、動揺、驚き、驚愕、戦慄、不気味、怖れ、畏怖、恐怖、脅え、脅威、不信、懐疑、猜疑心、警戒心、身構え、非難、批判、差別、冷淡、さげすみ、軽蔑、軽視、ないがしろ、無関心、邪険、あざけり、ののしり、こきおろし、あら探し、もてあそび、勘繰り、詮索、隠ぺい、ごまかし、だまし、大げさ、おどけ、ふざけ、ちゃらんぽらん、ご機嫌うかがい、よいしょ、お調子者、油断、適当、いい加減、大雑把、がさつ、無頓着、無責任、でたらめ、わがまま、ずうずうしさ、図太さ、横着、意地っ張り、頑固、くどさ、軽率、浮れ、出しゃばり、威圧、威嚇、脅し、厳格、対抗心、悔しさ、挑発、虚勢、横行、傲慢、征服感、陰険、あなどり、みくびり、見返り、損得勘定、困難、困窮、困ぱい、とりこし苦労、憶測、類推、当惑、錯乱、窮屈さ、面倒、倦怠感、興ざめ、幻滅、ぶ然、潔癖、緊張、怠惰、惰性、怠慢、退屈、辛気、気抜け、妥協、呆然自失、孤独感、虚無感、空虚感、喪失感、絶望感、閉塞感、うつろ、上の空、うかつ、うろたえ、まごつき、厄介、気移り、いくじなし、臆病、気後れ、はにかみ、くじけ、尻込み、ためらい、ちゅうちょ、あきらめ、断念、見切り、脱力感、畏縮、偏屈、偏見、卑屈、卑下、自暴自棄、失望、やけくそ、傷つき、心痛、悲痛、自責、自己嫌悪、劣等感、自虐、苦痛、痛恨、苦悶、気休め、依存心、遠慮、気がね、恥じらい、羞恥心、はずかしめ、屈辱感、守護心、自己防衛、抵抗、拒絶、反発心、否認、逃避、責任転嫁、焦燥感、不足感、欲求不満、じれ、せっかち、切迫感、葛藤、ジレンマ、陰鬱、憂鬱、うっとうしさ、おっくう、寂しさ、切なさ、しょんぼり、悲観、悲愴感、悲しみ、哀悼、哀憐、憐れみ、慰め、真白、無意、虚心、神妙、平気、平静、情け、真心、いたわり、手加減、残念、後悔、反省、悔恨、不思議、疑問、禁欲、我慢、忍耐、堪忍、辛抱、根気、根性、気のり、努力、向上心、夢中、夢心地、情熱、謙遜、謙譲、謙虚、慎重、親しみ、共感、同意、協和、納得、触発、感心、感服、感銘、感嘆、絶賛、尊重、自尊、喜び、歓喜、有頂天、楽しさ、可笑しさ、楽観、気晴らし、朗らか、快楽、悦、満悦、愉悦、愉快、滑稽、軽快、壮快、爽快、弛緩(リラックス)、好奇心、了解、理解、充実感、達成感、気さく、親切、懇切、配慮、誠意、まじめ、真剣、実直、真率(正直で飾りっけのないこと)、丁重、大切、お節介、老婆心、正義感、勇気、闘魂、許容、寛容、寛大、包容力、信頼、慰謝、潔さ、満足感、気楽、安楽、安心、安堵、静心、静観、静粛、平穏、幸福、感謝、温情、思慕、好意、好き、友情、友愛、愛好、愛情、愛慕、愛憐、尊敬、畏敬、敬愛、寵愛、他愛、慈しみ、慈愛、慈悲、祈り、祈願、悲願、威厳、希求、探求心、追究心、希望、平等、分与・・・

とにかく、できるだけ、何でもかんでも、自分の「心」を揺るがすものを沢山見つけるのだ。
そして、だいたい大まかに、性質の似ているものに分類分けをしておく。
そうした手帳を肌身離さず持ち歩き、できる限りアルタイムで感じたものを選び、書く。
また、そのキッカケや事象との関連、また、自分のとった態度などが加わるといいのだが、
いちいち書いてはいられないだろうから、それを1日の終わりに思い出せるかどうか
あるいは、その時に加筆するなど試してみるのもいいかもしれない。


自己観察」は、グルジェフも勧めているが、詳細については書いていない…
と思っていたら、『奇蹟を求めて』やその他の個所に説明が載っていた。
同じようにありのままに「記録すること」が第一で、
それからはじめて「分析をする」という「自己観察」が必要だ…と説いている。

とにかく、ある一定期間、徹底的に「ノートに書く」ことが、何といっても肝要だ。
なぜそういえるかは、やってみた後になってはじめてわかるものだ。

 

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