誤算だらけのリンシア(臨夏)
ラプラン寺をコルラした翌日、サンチュ(夏河)を後にした僕が、向かったのは、臨夏(リンシア)と言う、イスラム文化圏の街だ。
こらから先、西寧へ戻り、ゴルムドへ行き、ラサを目指すとなると、中国のイスラム文化圏の街に訪れる機会がなくなってしまうので、西寧へ戻る前に、少しだけ、チベット文化圏を離れ、イスラム文化圏へ行ってみたくなった。
サンチュ(夏河)から、リンシア(臨夏)までは、バスで約3時間。
標高が下がり、車窓の風景も、菜の花畑や色とりどりの花、そして緑の大地などと、チベット文化圏では、あまり見ることがない、春らしい風景が目に飛び込んできた。
さらに気温も上がり、ジャンパーを着ている僕は、ちょっと暑い。
「暑い。」という言葉を使うのも、なんだか久しぶりのような気がする。
バスの乗客は、白い帽子を被った男達やスカーフを頭に巻いた女性が、出発したときと比べ、多くなってきた。
ちょうどお昼頃にバスは、標高1,880mの臨夏回族自治州の臨夏(リンシア)に到着。
僕は、すぐに明日の西寧行きのバスの時間を調べるが、なんと午前6時発のバスが1本あるのみだった。
西寧で調べたときには、臨夏行きのバスがたくさんあったので、臨夏からも西寧行きのバスが、たくさんあると思っていたが、これは、大誤算である。
朝の6時は、いくらなんでも早すぎる。起きられるか不安だ。
宿は、2軒見て、2軒目の『華僑飯店』に決めた。1泊=40元で、ホットシャワーでトイレ付き。
さらに部屋は、とってもキレイ。これで、4日ぶりのシャワーにありつける。
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リンシアの街のモスク
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少しの間、部屋を堪能した後、僕は街を歩いてみた。
白い帽子を被った男や、スカーフを頭に巻いた女性が多く、街のいたるところには、タマネギの形をした屋根を持ち、なんとなく中華風にテイストされたモスクが建っている。
そして街には、コーランが鳴り響く。
このような風景を見ていると、異国情緒を感じるが、街並みは、中国のありふれたセンスのない建物が建ち並び、折角の異国情緒も半減してしまう。
そして、暑さのせいだろうか?なんとなく乾いた感じがする、街だと感じた。
それにしても暑い!
四川省の成都以来の標高2,000m以下の街は、暑すぎて、高地のチベットに慣れてしまった体には、暑さがキツク、もうバテバテでございます。
モスクも見学したし、礼拝堂の張りつめた緊張感も味わえたので、疲れた体をいたわるために宿に戻り、思いっ切り、シャワーを浴びた。
回族の街に着いた時は、異国情緒を感じていた僕だが、街を歩き、人や物を見ていると、チベット文化と比べると、何となく物足りなさを感じていた。
でも、久しぶりのきれいな部屋と熱いシャワーのおかげで、かなりリラックス出来たことは、とても嬉しかった。
翌日、僕は6時のバスに乗るために、5時に起きたが、そもそもこんな時間に起きなければならないことが、誤算である。
5時半を少し過ぎた頃に、部屋を出て、宿の前に待機していた、西寧行きのバスに乗り込んだ。
しかし、バスは出発時間の6時になっても、いっこうに出発する様子はなく、切符係の兄ちゃんが、大きな声で「シーニン!シーニン!」と叫んでいる。
乗客達は、出発しないバスに苛立つどころか、VCDを見ながら、ヘラヘラと笑っている。
僕から見れば、この人達は呑気と言うか、気楽と言うか、この国の文字と同じように、何かが足りないような気がしてならない。
それとも僕が、気が短いのか?
運転手の遅刻のため、やっとバスが出発したのは、7時。
バスは時間の遅れを取り戻すかのように、走っていたが、道が悪く、結局はのんびりと走ることを選んだようだ。そして湖の手前で、このバスは止まった。
僕は、バスを降り、湖の近くへ行くと、これは湖ではなく、ダム(水庫)ということがわかった。
それにしても、このダムは、広すぎる。対岸は見えるが、左右の岸は、霞がかっていることもあり見えない。
水面には、以前は高かったであろう木々が、まるで顔を出して、呼吸をしているように見える。
そして、バスと乗客は、大きな貨物船のような船に乗って、対岸へ。
再びバスに乗って、さぁ!西寧へレッツゴー!と思いきや、このバスはチンタラと走っては、人を乗せ、または降ろしてゆく、庶民の強い見方、超ローカルバスだった。
太陽の日差しは、とても強く、バスは砂埃を巻き上げ、走り続ける。
窓を閉めると、車内は暑く、サウナ状態。窓を開けると、砂埃をかぶり、顔と腕が、ジリジリと焼けてゆく。
そして、いつになったら西寧に着くねん!と苛立っているのは、僕だけだ。
やっと西寧に着いたのが、午後4時。10時間もかかったわけだ。
行きは確か、3時間だったはずなのに。
これは、大誤算であったため、宿は、明日のゴルムド行きのことも考えて、西寧駅近くの1泊=80元の青海龍源賓館にチェック・イン。
そして、すぐに西寧駅(火車站)へと向かい、明日のゴルムド(格尓木)行きの切符を買った。
これで一応、ゴルムドまでは行けることが決まった。
そこから先は、ゴルムドに着いてから考えることにして、僕は夕食を食べに行った。
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臨夏(リンシア)にて
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今晩の夕食は、ケンタッキーです。
旅を始めてから、僕の唇は中国4,000年の歴史を覆す、調味料アレをしています。
屋台、食堂の飯は、味が濃く、塩分も多く、しかも辛い。
いつも家では、自炊をして、自分好みの味付けをしている僕にとっては、刺激が強すぎるのです。
その刺激に絶えられず、僕の唇には口内炎というか、アレています。
そして、西寧を出ると、これでしばらくファーストフードを味わえないと思い、今夜は、ちょっと贅沢にケンタッキーなのであります。
さて旅は、前半のハイライト、ラサへ闇ルートで行くという、手前までやって来た。
ついに来たか、この時が。
今日は、移動でかなり疲れたので、白酒(中国焼酎)を飲んで、寝よう。
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