漓江とムーン・ヒル・ビレッジ

     昨晩は早く起きなければ、というプレッシャーからなのか、なかなか寝付けず、万が一と思って頼んでいた、モーニング・コールで起床。
    僕は楽しかった梧州に別れを告げて、次の目的地の陽朔に向かうために、宿の目の前にあるバスターミナルへ行き、8時40分発の桂林行きのバスに乗った。
    中国の田舎町では、珍しく英語を話す、かわいいバスガイドと共に、約6時間バスに揺られた。

     バスから眺める景色はとても素晴らしく、田んぼの側に、山水画にでてきそうな、ニョキニョキした岩が、ボコボコと突起しており、水牛がノロノロと歩いていて、これぞ中国って景色が続いた。
    「おっ!中国らしいと言うか、また別世界へ来たようだ。」
    ほぼ満席状態のバスも陽朔で降りたのは、僕一人だけ。
    陽朔は、外国人旅行者が多いと聞いていたので、客引きがすごいのだろうか?と覚悟していましたが、僕に声をかけてきたのは一人だけ。

     汕頭から、安ボロホテルが続いたので、僕は陽朔では、久しぶりに贅沢をしようと思っています。
    広州で出会ったタビフーフに教えてもらったゲストハウスに行く予定です。
    客引きの人に、そのゲストハウスまで連れて行ってもらうことになりました。
    バスターミナルから、少し歩くと、石畳の道が現れ、その通りを見て僕はおもわず「ここって中国?」と思わず疑ってしまうほど、陽朔の西街は、中国らしくない。
    ”どこでもドア”で扉を開けると、目の前には!?別世界!って感じなのでしょうか?

    陽朔西街の通り

     限りなく東南アジアの雰囲気に近い、陽朔西街は、以前東南アジアに行った僕にとっては、とても懐かしく感じることが出来る場所だった。
    なんかラオスのルアン・パバーンに来てしまったような感じです。
    僕は、あまりの懐かしさに中国にいることも忘れ、おもわずゲストハウスめぐり。
    僕が泊まっている『未来恩飯店』は、とっても良いですが、他にはどんな宿があるんだろう?
    シングルでは30元の部屋(ベッドのみ)があったりと、ドミトリーが20元だったりと、旅行者のニーズに合わせた部屋が数多くありました。

     ちょっと遅めの昼食も西街のカフェで高額なチキンカレー(16元)。
    お味は、いまいちで中国屋台の方が、美味しいと思うが、こんな雰囲気で飯を食うのもたまには良いかも。
    さすが、何処へ行っても価値観を変えない欧米人観光客を”とりこ”にしているだけあって、西洋料理を中心としたカフェがずらりと建ち並んでいます。
    それと、旅行代理店やお土産屋、インターネットカフェ。それぞれの店の人達も英語を話すことができます。
    それにしても、どっから沸いて出てん!というくらい欧米人だらけです。
    上海、広州ではたくさん見ましたが、その他の都市では、ほとんど見ていません。
    さすが欧米人、英語の通じないところには、出没しません。

    陽朔の街。西街方向と陽朔の宿。

     僕は西街を中心に陽朔の街を歩いてみましたが、奇峰に囲まれた陽朔は景色が良い。
    どこからでも、あのニョキニョキ岩(山)を見ることが出来ます。
    そして西街から離れるにつれて、西洋文化も薄れていき、いつもの中国が現れてきます。
    西街も東南アジアを彷彿することが出来て、好きですが、中国は中国でないと。

    西街を歩いていると、オバチャンが「明日、ボートに乗って漓江上りをしないか?」と言ってきました。
    これって、もしかして、ウワサで聞いていた、無許可のツアー?
    大丈夫かな?と思いつつも、おもしろそうなので行くことにしました。
    前金の20元を渡し、「See You Tomorrow!」オバチャン明日、絶対来てね。

     翌日、朝から雨という、最悪な天候。ボートに乗る気が、半減。
    少し早めの昼食を、食堂で桂林米粉(1元5角)を食べ、ゲストハウス前で、昨日のオバチャンを待っていると、約束通りやって来て、2人でバス停まで。ここで残りの30元を支払い、僕一人でここから少し離れた村、『興坪』行きのバスに乗り込んだ。

    田園風景が広がる、デコボコ道を走り、約1時間で興坪村に到着。
    バスを降りると、興坪のカフェの人が、待っていてくれたので、ちょっと不安だった僕は安心した。
    「ボートは3時頃なので、それまで待っていて。」ということですが、あと45分もある。

    璃江の川下り風景

    少し村をぶらついたりし、カフェへ戻り、他の外国人観光客達と一緒に、船乗り場まで行きました。
    小さな船に外国人観光客十数人を乗せて、船はゆっくりと進みだした。
    さっそく絶景です。目の前には、芸術作品のような、奇峰が静かにそびえている。
    来て良かったと、思える瞬間です。

    僕は船の前へ行き、気分爽快。奇峰の連なる景色を堪能。
    陸から見るのと、川から見るのとは、やっぱり違いますねー。こっちの方が迫力があります。
    このクルージングは、約1時間半で折り返し地点へと、そして帰りは流れに沿って、40分ほどで出発地点に到着。
    いやー!景色良かったし、楽しかった。

    陽朔に帰ってくると、またまたオバチャンに出会ってしまい、「明日は?」と聞いてきます。
    「サイクリング、ベリー・グッド!」とオバチャンも必死に勧誘してくるので、僕は小さな陽朔を1日中散策しても、すぐに飽きてしまいそうなので、半日のサイクリングに参加することにした。

     翌朝。昨日と同じように、ゲストハウス前でオバチャンを待っていると、オバチャンがやって来て、「市場であなた達の昼ご飯の材料を買ってくるから。」と今日のお客は3人なので、オバチャンもうれしそう。

    しかし数分後、アクシデント発生。

    今日のサイクリングに一緒に行くはずだった、USA夫妻の旦那がやって来て、「実はワイフがゲリゲリなんだ。だから今日のサイクリングはキャンセルするよ。」だって。
    とても張り切っていたオバチャンにはショックなニュース。僕はまたもや一人です。
    マウンテンバイクに乗り(10元/日)オバチャンと一緒に出発。

    サイクリング風景と高田鎮

     今日の天気は、時折晴れ間がのぞく、暑くもなく、サイクリング日よりです。
    奇峰がおりなす田園風景を自転車でゆっくりと走ってゆく。あー気持ちいい。今日も来て良かったです。
    通りすがりの地元の人達の写真を撮ろうとすると、「1元。」などと言ってくる。
    さらに、どこからともなく絵はがき売りもやって来て、買わないか?と言ってくる。
    人がせっかく気分良く過ごしているのに、これは気分悪いです。
    僕は「不要!」と言って、断っていった。

     寄り道をたくさんしながら、約2時間半で高田鎮(ムーン・ヒル・ビレッジ)のオバチャンの家に到着。
    ここが、今日のサイクリングのゴール地点です。
    オバチャンは「今から、昼食の準備をするから、その辺ブラブラしといで。」って感じで、せっせと昼食を作り始めた。僕は村散策。
    この村で有名なのが、月亮山。英名でムーン・ヒル。
    その麓の村が高田鎮(村)なので、ムーン・ヒル・ビレッジと呼ばれています。
    何も観光地はありませんが、素朴な村です。
    ツアーとはいえ、こういう村に来ることができ、しかも家にも行くことができるのは、僕としては、とてもうれしいことだ。


     オバチャンの作った料理もとてもおいしくて満足。
    帰りは天候が悪く、あいにく雨でしたが、途中で止んでくれた。
    こうして1時間弱で陽朔に到着。謝謝オバチャン楽しかったです。と最初に交渉した金額の30元を渡した。
    1人だと、50元なのですが、当初3人の予定だったので、オバチャンも「しゃーないな!」って感じです。

     こんなツアーがあるのも、外国人に人気があるからでしょうか?
    陽朔って、外国人専用ツアーがあったりと、西街があったりと、中国らしくなく、ほんと東南アジアそっくりです。