思い出したこと(デリー)

    やっと、インドに到着した。
    約1時間遅れの午後3時過ぎに、関空を出発し、香港を経由して、デリー郊外にある、インディラ・ガンディー国際空港に到着したのが、インド時間で、午後11時頃。
    日本時間だと、翌日の午前2時半頃となる。日本より、インドの方が、3時間半遅い。
    約11時間、機内で過ごしていたことになる。

    両替に手間取り(対応する係員が、少なすぎ)やっと空港を出たのが、12時頃。
    さすがに夜だけあって、まだ暑いという実感は、ない。

    日本で出迎えを頼んでいたので、その車に乗り込む。
    この送迎サービスは、航空券を買ったときに、デリー到着が真夜中になることもあって、途方に暮れるよりかはマシだと考えて付けたが(6000円)、ことがスムーズに進んだので、大正解だった。

    空港から、街中までは、ものすごい渋滞で所狭しと、クラクションが響き渡る。
    夜のデリーの街を眺めてみるが、メトロ(地下鉄)の工事中の真っ最中で、5年前の記憶を呼び起こすようなことは、なかった。


    日本から予約したホテルASHU PALACE(アッシュ パレス)に到着したのは、午前1時。
    やっと着いたと言うか、ここまで、あまりにも淡々と進んだので、まだインドに来た実感は、ない。
    運ばれて、連れてこられたって感じの方が強い。

    しかしこのホテル、日本円で6000円もしたのに、その割には、損した気分になれる感じの宿だ。
    日本の旅行会社で買った、格安航空券の条件が、このホテルを含めて、いくつかあるホテルの予約で、その中で一番安いのが、このホテルだった。
    まぁ、でも、旅の出鼻を挫かれるよりかは、マシだった。

    久しぶりの海外での初日は、インドに来た実感を得ぬまま、何も思い出せず、シャワーを浴びることなく、
    服も着替えることなく、眠った。

    ニューデリー駅前。メインバザールの近く

    翌朝、目覚ましを付けていたこともあり、7時に目が覚めた。
    リュックからは、ほとんど出し入れをしていないので、出発の準備はすぐに出来た。

    窓のカーテンを開け、外を眺めてみる。
    そこには、アスファルトでない道路の端には、レンガが積み上げられている。
    インド人が何人か、歩いている。
    今、俺がいる所は、日本じゃなく、インドなんだとは、理解は出来た。

    薄暗いホテルの食堂へ行き、料金に含まれている朝食を食べる。
    まるで、これから学芸会でも始まるのかと思わせるような、部屋の内装。
    朝食の内容は、トースト4枚、バター、ジャム、プレーンオムレツ、オレンジジュース、コーヒーという、オーソドックスなメニューだ。

    お腹一杯になったため、朝食を少し残して、部屋へ戻り、リュックを背負って、チェック・アウト。
    何で、こんなに荷物が重いのか。


    今回の旅は、期間が短いので、出来るだけ早め、早めに行動したいと思っている。
    いつものようにダラダラとするわけには、いかない。
    そんな理由で、最初の目的地、ジャイプール(Jaipur)には、これからすぐに行きたいと考えていた。

    ホテルの人が旅行会社へ連れてってくれるが、なんか流されているような気がする。
    とりあえず今日の列車でジャイプール行きのチケットが取れるか聞いてみると、
    今日は、もう無理だと言う返事が返ってきた。
    これが、本当かウソかは、分からないが、まず、ここを出て、とりあえずの目的地をニュー・デリー駅前のメインバザール(バハール・ガンジ)に行くことに決めた。

    ラールキラーにて

    旅行会社を出ると、オートリキシャーに乗って、「ニュー・デリー駅」と告げ、オートリキシャーは走り出した。いったい何処を走っているのかなんて、分からなかったが、久しぶりに見る、インドの風景に気持ちは、高ぶった。
    で、到着したのが、どこかの旅行会社。
    「何で、言った場所に行けへんねん!」とちょっとムカッとするが、もしかしたらジャイプールに行けるかもしれないと思い、中へはいる。
    ターバンを巻いた、胡散臭そうなオッサンが、出迎えた。
    俺は、そのオッサンに「今日、ジャイプールへ行きたい。」と告げると、600Rs(ルピー)払うなら車で行ってやる。と言うことだった。

    期間が決まってる旅の中で、1日たりとも無駄にしたくはなかったので、これで行こうと考え、オッサンに600Rsを払う。
    この時、多分、100Rs多く払わされた気がする。
    俺は、ちゃんと数えて、100Rs札を6枚、渡したのに、1枚足りないと言われ、もう1枚、渡したのだった。
    オッサンが、何処かに電話を掛ける。
    受話器を置いた、オッサンが「今日は、ない。」と言う。
    600Rsを返してもらい、「ニュー・デリー駅へ」と告げ、再びオートリキシャーに乗った。


    で、到着したのが、またまた旅行会社だった。
    今度は、中へ入ることもなく、降りることもなく、「ええから、早く行け!」とオッサンに強く言う。
    オッサンも渋々、オートリキシャーを走らせる。

    しばらくすると、オートリキシャーは、道端で止まった。
    「何処だここは?」と思う前に、オッサンが「オートリキシャーが壊れたから、あっちのんに乗って、行ってくれ、それに今までの料金を払ってくれ。」と言い出した。
    俺も、こいつと一緒にいたら、いつまで経ってもニューデリー駅に着かないと思っていたので、最初の言い値の30Rsを払い、向こうのオートリキシャーに行こうとすると、オッサンが「30Rsじゃ、安すぎる。60Rsだ。」と言ってくる。

    あぁぁーーー!コイツ等は、そういう奴等だった。
    何か、ちょっと思い出してきた。
    記憶が少し、思い出してきた感じだった。

    俺は、ハッキリとノー!と言って、ニューデリー駅へ行かなかったこと、頼んでもいない旅行会社へ2回も連れて行ったことを言うと、オッサンは、何も言い返さず、去って行った。

    別のオートリキシャーに乗り、もう1回、旅行会社へ連れて行かれるが、素通りして、やっと、ニューデリー駅に到着したのが、ホテルをチェック・アウトしてから、1時間半後、午前10頃だった。


    駅に着いたのは、いいが、ここが駅のどの辺りなのかが、全くわからない。
    駅に着けば、なんとかなると考えていたのに。。。
    なんとなく、メインバザールとは、反対側のような気がしたので、どうやって向こう側へ行けばいいのだろうか?

    右往左往している俺に、オッサン達が次々と寄ってくる。
    メインバザールへ行くと言うと、オッサンは、俺が来た方向を指して、あっちだと言うので、来た道を引き返すと、今度は、別のオッサンが来て、またあっちだと言う。
    みんな言うことが、バラバラで、挙げ句の果てには、メインバザールは、壊れて、もう無いんだ。
    と言うヤツまで現れた。

    あぁぁー!インドは、こういう所だった。
    「来る者は、拒め」これが、インドでの旅を快適に、スムーズに、なおかつ安全に旅するうえでの鉄則だった。特に大都市のデリーでは、これは絶対だったと、思い出した。
    知りたければ、自分から人を選び、話しかけないといけない事を。
    やっと、インドに来た実感を得た。

    メインバザールにて

    で、振り出しに戻った俺は、日本のガイドブックを持っている、カップルを見つけ、声を掛けた。
    きっと彼等は、メインバザールから来たに違いないと思ったが、彼等もまた、俺と同じように、メインバザールを探していると言う。

    警備員らしき人に、道を尋ね、反対側へ行く高架となっている道を歩く。
    俺が声を掛けたカップルは、新婚旅行で、インドに来ていると言う。
    「新婚旅行で、インドって、女性からしたら、どうなんですか?」と尋ねると、「私がインドに行きたかったので。」と言う答え。
    彼女は、元バックパッカーだったらしく、今回の旅は、彼女の希望だったのだ。

    そんな話しをしながら、やっとメインバザールへたどり着いた。
    最初、路地に入り、迷子になったが、ようやくたどり着いた。
    あぁぁー!何か思い出してきた。
    こんなんだったってことを。

    確か、日本語が通じる旅行会社が、あったはず。
    名前は忘れたが、場所は、覚えている。と言って、3人は、メインバザールを歩く。
    オートリキシャーや、人力三輪車が通ると、砂埃が舞い、道端には、ゴミが散乱している。
    旅行会社に到着し、冷たい飲み物を飲み、やっと落ち着いた。

    落ち着いたところで、俺は、旅行会社の人に、今日のジャイプール行きのチケット状況を調べてもらうが、今日は、やっぱりもう無いらしく、明日ならあるがどうする?と言うことだ。
    さらに、ここで予約をすれば、手数料がかかるが、駅で取れば、その分、安くなる。
    と言うことなので、駅へ行って、チケットを取ることにする。

    これから各行き先のチケットを取る、新婚旅行夫婦に、リュックを見てもらい。
    俺は、足取り軽く、駅へと向かった。
    もう完全に思い出した。
    5年前、ここを歩いていたこと、ここから旅をしたこと、またここに戻ってきたことを。

    列車のチケットは、ニューデリー駅の2階で外国人専用の切符売り場があり、そこで取れる。
    明日の午前6時05分発、ジャイプール行きの列車のチケットが取れた。


    よし!インドの旅が始まった。


      ※100円=約48Rs

    ●お宿情報

    ASHU PALACE(アッシュ パレス)DELHI(デリー)
    シングル(トイレ&シャワー ファン A/C TV)
    日本の旅行会社で予約していたホテル。
    ホテルで値段表を見せてもらうと、1,200Rs〜となっていたが、値段の割には損した気分になれる。
    時間、日程に余裕があるなら、メインバザールのほうがお勧め。

    HOTEL STAR PARADISE(ホテル スターパラダイス)DELHI(デリー)
    シングル(トイレ&水シャワー ファン)1泊=330Rs
    メインバザールにあるゲストハウス。

    特に不満はなく、こんなもんでしょう。