ミッドナイト・トレイン(ジョードプール〜デリー)

    朝起きるもメチャメチャ体が重くて動けない。

    インドに来てからの10日間、ものすごく駆け抜けた感じがした。
    特に写真においては、充実感というのか、達成感すら覚えたくらい、写真を撮ることに関しては、大満足の旅だった。
    あと4泊5日、旅は続くのですが、メインのラジャスターンを終えることもあってか、体が全く動かない。

    これと同じ状態に、一度なったことがあった。

    昨年、個展をしたときだった。
    個展の翌日、朝目が覚めると、体が全く動かなかったのだ。

    今回も同じだ。
    充実感や達成感もあったが、体全体に気が張っていたのだと思います。
    久しぶりの海外だったこともあっただろう。
    それが、終わりが見えた途端、張り巡らされていた、糸が切れた感じだ。

    これじゃ、いかん!と思いながらも、身体が動かない。
    8時頃に目が覚めたのに、昼の12時頃まで、全く身体が動かなかった。

    何とか、気合いを入れて、外へ出るが、特に行きたいところもなく、時計塔近くのネット屋で、インターネットしたり、「あっ!サフラン頼まれていたんだ。」とお土産を少しばかり買って、バザールをブラブラする程度。

    夕方になり、部屋へ戻り、荷物を整理する。
    ジャイプール、ウダイプール、ジョードプールと3都市まわって、荷物が増えたので、日本から持ってきた要らない物をここで、捨てていこうと思う。

    Tシャツ、靴下、何で持ってきたのか分からないが、他人の名前が書いてある折り畳み傘。

    夕食は、最後と言うこともあり、宿の屋上へ。
    最後に、ここからの景色を見ておきたかったのだ。
    ついでに、不味い料理も記念に味わっておこうと、スパゲッティを注文。
    やっぱ、ここで、食べるんじゃなかった。
    前回よりも、食えない物になっていた。

    ジョードプールにて

    さてと、列車の出発は、午後10時45分なのですが、部屋にいてもしょうがないので、まだ8時半ですが、部屋を出て、駅へ行きましょうか。

    3日ぶりに、リュックを背負い、宿のオーナーに、これから列車に乗って、デリーへ行くことを告げ、部屋の鍵を渡して、宿を出た。

    夜のジョードプールの街は、まだまだ活気に溢れていた。
    日本の街の夜のように、街灯がたくさんあって、明るくはないけども、明るい人々の声やクラクションが鳴り響いている。

    オートリキシャーに乗って、駅へ。

    時間は、まだ9時にもなっていない。
    蒸し暑い、駅構内の床には、多くのインド人達が、荷物を置いて、その近くで寝っ転がっている。
    そんな人々を横目に、僕は、とある一室へと行き、そこに荷物を降ろす。

    長い机と椅子がいくつか置かれた、この部屋には、受付のオバチャンがいて、出入りする人をチェックしているし、清掃係のおじさんもいる。
    変な人や物売りやストリートチルドレンも入ってこれないし、さらに扇風機もあって、涼しいので、出発近くになるまで、この部屋で待機しておこう。

    他にも人はいるが、みな裕福そうな身だしなみをしているが、どこに悪人がいるかもしれないので、荷物からは目を離さないでいるが、一度トイレへ行き、売店に水を買いに行った。

    俺の視界には、数人のインド人がいる。
    ヒゲを蓄え、携帯電話で何か話している、男性とスーツケースから服を取り出し、何故かここで着替えているデブの青年と小さい子供を連れた、3人家族がいる。
    ここで着替えるんだったら、家を出る前から着替えておけと思ってしまう。
    それと母親と二人の子供には、荷物持ちの青年が付いている。
    母親は、どこかに電話していて、きっとこれからの段取りなんでしょうか?
    俺の前に荷物を置いた、二人の子供の荷物は、ゲームや本などが入っており、かなり多い。

    やっと出発の30分ほど前となり、リュックを背負って、プラットホームへ向かうが、どこに行って良いのか、分からないので、駅員や身なりの良さそうな人に、ここでも人に聞きまくりです。

    待っていると、列車がやって来た。
    これに乗っていいのか、悩み、近くにいたオジサンに切符を見せた。

    オジサンは、切符を手に取り、列車の入口に張り出されている紙を見つめる。
    その紙には、乗客の名前が書かれている。
    僕の名前もスペルがTとYが入れ替わって、書かれているが、確かに僕の名前だった。
    こうして、この列車のこの車両に間違いないことを確認して、僕は列車に乗り込んだ。

    列車内にて

    3段ベッドが向かい合わせで、並んでいる。一番上が、僕の場所のようだ。
    リュックを1番下のベッドの床下に押し込み、チェーンをかける。
    ハンズで買ったチェーンが、このとき初めて役に立った。

    3段ベッドの2段目ともう一つの3段目には、少年と小さな女の子を連れた家族。
    この家族、見た感じは、ものすごく裕福そうなのに、何で一番安い車両に乗っているのだ?

    1番下のベッドには、荷物が少ないオッサン二人。
    そのうち一人は、何で、ファンタのペットボトルしか持ってへんねん。

    列車が動き出す前には、3段ベッドの一番上で横になっていた。
    そして列車は、予定より45分遅れの11時30分に、ジョードプールを出発した。

    夜の車内で、見るものは何もなく、ただ音楽を聴きながら、横のなっていた。
    寝返りを打つと、向かいで寝ている、少年と目が合い、少年が目をそらす。

    いつしか眠っていたようで、5時間ほどしてから目が覚めた。

    深夜に乗った列車は、朝7時にもなると、深夜急行から通勤電車へと様変わり。
    乗客もめまぐるしく入れ替わり、更に、乗客の人数も増えていた。

    3段ベッドを降りた僕は、一番下のベッドへ。
    僕が降りた一番上のベッドには、あっと言う間に、3人の青年が陣取って座っている。
    「よーあんな狭いところに座るわ。」って感じで見上げる。
    僕が座っている所も、すでにギュウギュウ詰めで、ちょっとでも隙間が出来れば、「ちょっと、詰めて、どいて」なんて言い、混雑具合は、御堂筋線並み!?

    降りるときは、混み合った車内からは、荷物を出入り口に運べないので、そんな時は、窓が出入り口になったりしていました。

    デリーに近づくにつれて、乗客が減っていき、外の風景は、スラムがたくさん見えだした。
    地震や台風が来たら、ひとたまりもないような、家が集まっている。

    そして昼の12時頃、やっと列車は、終点のオールド・デリー駅に到着した。

    メインバザールにて

    オールド・デリー駅は、初めてだったので、ここからどう行けば、メインバザールへ行けるのだろう?
    とりあえず、オートリキシャーに乗ることに決めて、ジュースを飲みながら、ボッたくられそうもない感じの人を探す。

    なんか、11日前にデリーに来たときよりも、暑さが和らいでいる感じだ。
    それとも慣れたのか?

    オールド・デリー駅から、メインバザールまで、オートリキシャーで100Rsでした。
    80Rsくらいで行けると思ってましたが、まぁ、良い。

    10日ぶりに戻ってきた、メインバザールは、すっかり自分の中で、テリトリーとなっていた。
    素早く、宿を決め、リコンファームを終えると、完全に脱力感に覆われた。

    今後、こんな旅は、いつ出来るのだろうか?

    そう思うと、動かなくてはと思うが、今日だけは、脱力感に浸りたい。


    ●お宿情報

    ROYAL Guest House (INN)
    シングル(トイレ&シャワー ファン TV)=450Rs
    メインバザールを入ってすぐに看板が出ています。
    部屋は、とてもキレイで申し分ありません。
    エアコンは、あったかどうか忘れました。
    4464,Main Bazar Pahar Ganj