トリビュート・トゥ・ウェス
プロジェクトG7≪トリビュート・トゥ・ウェス≫に参加したギタリストに「ウェス・モンゴメ
リを語る」として、JAZZLIFE誌が1992年8月で特集しているので一部を紹介する。
日野皓正氏の表紙で飾られたこの号は、他にもウェスの記事が載せられたいる。探して読む価値あ
りますぞ。
ケニー・バレル:
「ウェスは実にいいやつだった。彼とは家族ぐるみの付合いをしていたので思い出はたくさん
あるんだが、あまり知られていない話に彼がクラブでプレイするとき、お喋りばかりしていて
音楽を聴いてくれないお客さんをいやがっていた。
でもそんなファンにも、ウェスがCTIでの成功により浸透したことはよかったことだと思う
ね。私自身はウェスの音楽はどの時期のものも好きだ。」
ロドニー・ジョーンズ:
「僕がウェスを敬愛する理由は3つある。先ず創造力、オリジナリティ、そしてスピリッツ。
僕は彼のウォーム・サウンドに近づきたいとは思ったが、コピーはしたくなかった。
コードとかラインをね。彼からは彼の持つ精神を学ぼうと練習に没頭した。親指といえば、今
回のアルバムでレコーディングした<セレーナ>(ウェスが妻のために書いた<セレーヌ>に
ならい、ロドニーが愛娘セレーナのために書いた曲)は親指で弾いてみたんだ。」
ジャック・ウィルキンス:
「ウェスの凄い曲がある。クラブ ”ツボ”でのライヴ盤≪フル・ハウス≫だ。
僕はこれを10万回も聴いた。すべての音が思い出せるぐらいだ。ウェスは演りたいように、
感じたままに、演っていた。そのように僕も自分の思うように演ったんだ。
結果として、それがウェスと同じになってしまってもいいとおもった。それでもかまわないし
それがウェスに捧げる意味のあるプレイと思うよ。ウェスは今でも生きている。」
この記事で一番気になることがある。「ウェスの再来?!」と呼ばれた1971年生まれ(当時
20歳)のウィリアム・アッシュである。
ウェスを徹底研究しNYでデビューしたとあるが、それ以後話題にあがらない。
ウィリアム・アッシュ:
「この企画が僕の初レコーディングなので、他の6人の先輩ギタリスト達とは一緒に演らせて
もらえなかったけど、僕はまだまだこれからなんだ。ウェス・モンゴメリにスタイルが似てい
るといわれるのは分かるけど、もっと自分のスタイルを追究していきたいと思っている。」
テッド・ダンバー:
「ウェスとは1958年に初めて会ってからの友人だった。
ある日、私がギブソンのL−5が欲しくて探していることを彼に話すと、後日、いいのがあっ
たよ、と電話をくれた。ウェスは私のために見つけてくれたんだ。ウェスが使っていたわけで
はないが、彼と私の思いでのギターなんだ。
ウェスは練習の鬼で、いつもアンプにつないで演っていたのを覚えている。共演者には誉め上
手で連中の個性を尊重していたね、とに角ギターに関してはどんなプレイも完璧だし、ウェス
以上のギタリストはいないね。」
ジーン・バートンシーニ:
「ウェスに会いたくて、彼がジミー・スミスと共演していた1966〜67年の”ハーフ・ノ
ート”で、目の前で観てても信じられなかった。
パワー、スウィング、コード・ソロ、シングル・ライン、信じられないテクニックが次から次
へ溢れてくるんだ。
そしてライヴのあとで会いにいった。すごく紳士だった。親切で控えめで礼儀正しかった。
彼は偉大なギタリストなのにそんな素振りもなく、初対面の私をさも大事なギタリストかのよ
うに接してくれたんだ。その印象が忘れられない。偉大なのは音楽だけではなかった。」
「プロジェクトG7」にヒントを得たインディアナポリスに住む新進ギタリスト、ロイス・キャ
ンベルはウェスの敬愛の念から「プロジェクトG5」を結成した。
もちろんキングレコードがその企画に乗ったのですが、これが嬉しくもリリースされた1993年
はウェスの25回忌にあたっていたのです。
アルバム名 : Project G-5/A Tribute To Wes Montgomery
アルバム番号: Paddle Wheel(king) KICJ-146
リリース国 : Japan
リリース年月: 4/1993
メディア : CD
これは "スーパーサックス・プレイズ・バード" ならず "スーパーギター・プレイズ・ウェス"
といったところの、5人のギタリストがウェスの曲をユニゾンで弾いている。
趣旨はウェスへのトリビュートと言うが、リーダのボブ・ウォルドは時折オクターヴも見せるが
他のものも含めほとんどはピック奏法である。
しかし、タイトル曲の〈4 On 6〉は《ハーフ・ノート》LPのウェスのソロを完全コピーした
というユニゾン・プレイは実に素晴らしい。
アルバム名 : The New York Jazz Guitar Ensemble/4 On 6×5
アルバム番号: Choice CRS6831
リリース国 : USA
リリース年月: 1985
メディア : LP
2001年の2月頃に日本のレーベルで AMJ(アブソード・ミュージック・ジャパン)からCDがリリ
ースされている。AMJ ABCJ-151
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