ウェス承継派ギタリスト
(wes side guitarist)
ウェスのオクターヴ奏法はジャズギタリストとして「巨人」の地位を築いただけではなく、その 後のジャズ界を大きく変えてしまった。 彼は現役時代、前人未踏といわれたオクターヴ奏法で多くのファンだけでなく、同じミュージシャ ンからも敬愛された。 その魅力は彼の人柄にもよるのですが、完成された親指により放たれる魅惑的なサウンドにあった といえる。  ウェスはギタリストの系譜で、チャーリー・クリスチャン派の直系として図式化されているが、 クリスチャン自身はオクターヴ奏法を演っていたわけではない。 ウェスはクリスチャンのレコードを聴いて練習しただけで、彼の「影響」を受けたというだけのも ので、このことは何もウェスだけに限らず、源を辿ればジャズギタリストの殆どがクリスチャン派 ということになる。 ですからオクターヴ奏法に関していうならば、ウェスこそ開祖、家元、頭首なのである。 そのウェス派の直系ギタリストの筆頭に、ジョージ・ベンソンが挙げられているようですが、彼も またウェスに魅せられてギタリストになったというだけで、絶えずオクターヴ奏法を演っているわ けではない。 つまり、本来の意味する「ウェス承継派ギタリスト」として図式化すると殆どいないということに なるが、多くのギタリストはオクターヴ奏法を単なるテクニックとして自分のレパートリーに採り 入れているだけのもので、その「サウンドの響き」がたいへん快い音楽を創り出しているというだ けのものである。 このことがウェスの「影響」による、ジャズ・ギター界の変遷であるといえる。 現在では「オクターヴ奏法=ウェス」というよりも「ギタリスト=オクターヴ奏法」、プロにな るための必須技、できて当たり前ということであ。
ウェス・モンゴメリ系譜図