ニュース速報 No.105(2012.4.28号)


エセックス・ハウス・ホテルのウェス


"500 Room", Essex House Hotel, Indianapolis, IN 1959
3月にレゾナンス・レコードよりリリースされた《Wes Montgomery/Echoes of Indiana Avenue》は タイトルどおり、大変な反響を示しています。 リリースされた表ジャケットの写真はインディアナポリスの50年代を象徴するかのようにギブソンの "L5CES−ベネチアン・カッタウェイ/サンバースト・フィニッシュ"を抱えた若き日のウェスである。 と、言ってもすでに36歳のことである。 撮影した人はジャズ写真家、作家、評論家などで知られるダンカン・シャイトです。 ウェスをはじめ、デューク・エリントン、ルイ・アームストロング、レスター・ヤング、チャーリー ・パーカー、ジョン・コルトレーン、セロニアス・モンク等々多くのミュージシャンのモノクロ写真 が残されています。 このジャケットの写真と同じ日、同じ場所で撮影されたのであろうか、違ったアングルの写真も見ら れます。 折込ライナーノーツの表紙と、ウェス・トリオで演奏している写真(トップ)である。 下段に説明があり、左からポール・パーカー、ウェス・モンゴメリ、メル・ラインとあり、1959年 インディアナポリスのエセックス・ハウス・ホテルと書かれてある。 おそらく、発掘音源のデータ調査という事でレゾナンス・レコードのゼヴ・フェルドマンがインディア ナポリスに3回も出向き、当時のウェスの仲間や識者たちからの記憶をたどり、ようやく録音データを解 明させたという事で、その中に同じウェス・トリオの〈ラウンド・ミッドナイト〉と〈ダーン・ザット ・ドゥリーム〉の編成を参考にしたと思う。 これにちなんで、専門各誌も当然与えられたデータで同じ説明がされてある。 実は、この写真イギリスのギタリスト、エイドリアン・イングラム著『ウェス・モンゴメリ』(同タイト ル/小泉清人訳、1992年ジック出版)で既に掲載されていたもので、その説明にはウェスにオルガンのメ ル、ドラムスはソニー・ジョンソンと書かれてある。ロバート・ソニー・ジョンソンである。 それで真実を確かめるべくダンカン・シャイトに尋ねてみた。 「この写真は、1959年インディアナポリスの中心モニュメント・サークルと呼ばれている近くにあるエ セックス・ハウス・ホテルでペンシルヴァニア通りの角にあり、ヴァーモント通りかニューヨーク通り と交差するところだったと思うがはっきりと覚えていない。」"500ルーム"となっていますが・・「この ホテルの中にあったラウンジの名前だよ。ウェスのギターにオルガンのメル、そしてドラムスはソニー ・ジョンソンで出演したときのものだ。」・・3月にリリースされたCDの中でドラムスはポール・パーカ ーと書かれていますが・・「彼との接点はなかったよ。このホテルは今は取り壊されている、もう何年 もまえのことだが。」・・と答えていただきました。
( 矢印がインディアナ・アヴェニューで赤丸のどちらかの角にエセックス・ハウス・ホテルがあった) それにしても、1959年の撮影でドラムスがソニー・ジョンソンであり、メル・ラインのオルガンという 編成であるならば、誰しもリヴァーサイド初録音もこの顔ぶれでレコーディングすると思うが、何故ポ ール・パーカーに代わったのか分からない。 ポールの名前はワールド・パシフィック録音《モンゴメリ・ブラザース・アンド・5アザーズ》で初め て知ったが、インディアナポリス生まれなのに後にも先にも話に出てこない。 また下衆の勘繰りだが、今回発掘の中のウェス・トリオ、上記の2曲、ドラムスはソニー・ジョンソン ではないか? と・・いえ、レゾナンス・レコードのゼヴ・フェルドマンの間違いから・・感じただけで す。