エセックス・ハウス・ホテルのウェス

"500 Room", Essex House Hotel, Indianapolis, IN 1959
3月にレゾナンス・レコードよりリリースされた《Wes Montgomery/Echoes of Indiana Avenue》は
タイトルどおり、大変な反響を示しています。
リリースされた表ジャケットの写真はインディアナポリスの50年代を象徴するかのようにギブソンの
"L5CES−ベネチアン・カッタウェイ/サンバースト・フィニッシュ"を抱えた若き日のウェスである。
と、言ってもすでに36歳のことである。
撮影した人はジャズ写真家、作家、評論家などで知られるダンカン・シャイトです。
ウェスをはじめ、デューク・エリントン、ルイ・アームストロング、レスター・ヤング、チャーリー
・パーカー、ジョン・コルトレーン、セロニアス・モンク等々多くのミュージシャンのモノクロ写真
が残されています。
このジャケットの写真と同じ日、同じ場所で撮影されたのであろうか、違ったアングルの写真も見ら
れます。
折込ライナーノーツの表紙と、ウェス・トリオで演奏している写真(トップ)である。
下段に説明があり、左からポール・パーカー、ウェス・モンゴメリ、メル・ラインとあり、1959年
インディアナポリスのエセックス・ハウス・ホテルと書かれてある。
おそらく、発掘音源のデータ調査という事でレゾナンス・レコードのゼヴ・フェルドマンがインディア
ナポリスに3回も出向き、当時のウェスの仲間や識者たちからの記憶をたどり、ようやく録音データを解
明させたという事で、その中に同じウェス・トリオの〈ラウンド・ミッドナイト〉と〈ダーン・ザット
・ドゥリーム〉の編成を参考にしたと思う。
これにちなんで、専門各誌も当然与えられたデータで同じ説明がされてある。
実は、この写真イギリスのギタリスト、エイドリアン・イングラム著『ウェス・モンゴメリ』(同タイト
ル/小泉清人訳、1992年ジック出版)で既に掲載されていたもので、その説明にはウェスにオルガンのメ
ル、ドラムスはソニー・ジョンソンと書かれてある。ロバート・ソニー・ジョンソンである。
それで真実を確かめるべくダンカン・シャイトに尋ねてみた。
「この写真は、1959年インディアナポリスの中心モニュメント・サークルと呼ばれている近くにあるエ
セックス・ハウス・ホテルでペンシルヴァニア通りの角にあり、ヴァーモント通りかニューヨーク通り
と交差するところだったと思うがはっきりと覚えていない。」"500ルーム"となっていますが・・「この
ホテルの中にあったラウンジの名前だよ。ウェスのギターにオルガンのメル、そしてドラムスはソニー
・ジョンソンで出演したときのものだ。」・・3月にリリースされたCDの中でドラムスはポール・パーカ
ーと書かれていますが・・「彼との接点はなかったよ。このホテルは今は取り壊されている、もう何年
もまえのことだが。」・・と答えていただきました。
( 矢印がインディアナ・アヴェニューで赤丸のどちらかの角にエセックス・ハウス・ホテルがあった)
それにしても、1959年の撮影でドラムスがソニー・ジョンソンであり、メル・ラインのオルガンという
編成であるならば、誰しもリヴァーサイド初録音もこの顔ぶれでレコーディングすると思うが、何故ポ
ール・パーカーに代わったのか分からない。
ポールの名前はワールド・パシフィック録音《モンゴメリ・ブラザース・アンド・5アザーズ》で初め
て知ったが、インディアナポリス生まれなのに後にも先にも話に出てこない。
また下衆の勘繰りだが、今回発掘の中のウェス・トリオ、上記の2曲、ドラムスはソニー・ジョンソン
ではないか? と・・いえ、レゾナンス・レコードのゼヴ・フェルドマンの間違いから・・感じただけで
す。
|