アルバム名 : Wes Montgomery Anthology 1959-1968
アルバム番号: ビクター VICJ-60183
リリース国 : JAPAN
リリース年月: 8/1998
メディア : CD
「ウェスがわかる」CD
未発テイクはもう無いのか ?
ウェスが残したレーベルから、リヴァーサイド、ヴァーヴ、それにA&Mの各レコーディングから
13曲をピックアウト "SJ名盤蒐集CLUB" 第95弾とし、互いの権利を超えたCDが先ごろビクタ
ーエンタテイメントからリリースされた。
うたい文句は「不出世のギタリスト、ウェス・モンゴメリの初リーダ作から遺作までの決定的名演を
録音年代順に収録。」、さらに「ウェスがわかる。」というアピールで確かに1枚のCDの中にウェ
スを凝縮しているといえるが、どうせならパシフイックも仲間に入れてほしかった。
ウェスをこれからという初心者対象にしてはやや不満の残る企画ではなかったろうか。
せめて〈未発テイク〉でも盛り込めないないのかとも思ったが、リヴァーサイドにはもう一切〈未発
テイク〉は無いとキープニュースは言明しているし、ヴァーヴは無関心だし、あるとすればA&Mに
薄い期待が持てる程度だから殆ど無いということである。
しかしこの不満の残る企画を援けているのが、同梱の「ウェス・モンゴメリによせて」を成田正氏が
ウェスの故郷だったインディアナポリスを訪れ記事にし、SJ誌9月号と同時に載せていることであ
る。
とくに未亡人 (現在は再婚している) セレーヌへのインタビュー記事や "モンゴメリ・パーク" のこ
と、なかでも数年前まで "チルドレン・ミュージアム" に飾られていた筈のカスタム・メイドのギブ
ソンL−5、そう "WES MONTGOMERY" の名前を真珠貝のインレイで刻印したモデルが突然消えてしま
ったのだが、その後の消息記事で無事セレーヌが保管していたことに一安心といったところである。
キープニュースの勘違い ?
インディアナポリスへの訪問は成田氏に「やられた」という感ですが、ウェス・アァンなら一度は
憧れ、行ってみたいと思うのは私だけではあるまい。
それがゆえにこの記事は益々抑えていた気持ちを昂ぶらせるものとなった。
他のことには一切目もくれず読んでいるうち、いきなり「えっ !」と声が出、「そんなバカな」と思
うことが書いてあった。疑いの眼で「活字ミスではないのか」と何度も読み返した。
それは「1965年のヨーロッパ・ツアーまで、ウェスが飛行機に乗ったことがないという話は本当だっ
た。」と書いてある (82ページ頭) 部分。
ウェスと飛行機の関係は、過去何度となく幾人ものライターにより書かれてきたが、決定的と思われ
る記事をウェス育ての親とも言えるオリン・キープニュースが、《ザ・コンプリート・リヴァーサイ
ド・レコーディング /ビクター VICJ-40060-40071 》12枚組CDのライナー・ノーツで回想してい
るように、「キープニュースの証言」、「ケニー・バレルの証言」からウェスの初搭乗はリヴァーサ
イドでの初レコーディング時、つまり1959年10月とある。
誰がみても信ぴょう性も説得力も十分兼ね揃えていると感じるが、これを覆すというのであればキー
プニュースとケニー・バレルの「勘違い ?」ということになる。
読者率最高を誇る老舗、SJ誌にこのような不明確な記事を掲載してしまうと、過去の悪い事例に小
さな間違いか゛具体的にはウェスの生年月日のようにいつまでも大きな間違いとして残ってしまうこ
とになる。
何が「本当だった。」のでしょう成田さん。
|