ニュース速報 No.43(2002.4.29号)


異端児ジョシュア・ブレイクストーン
Tomorow's Hours / Joshua Breakstone アルバム名 : Tomorow's Hours / Joshua Breakstone plays the music of Wes Montgomery アルバム番号: Capri 74054-2 リリース国 : USA リリース年月: 2002 メディア  : CD




Joshua Breakstone(g) Earl Sauls(b) Keith Copeland(dr) New York City; Aug. 30, 2001 Twisted Blues (W. Montgomery) Missile Blues (W. Montgomery) Leila (W. Montgomery) Doujie (W. Montgomery) Jingles (W. Montgomery) Tomorow's Hours (J. Breakstone) S. O. S. (W. Montgomery) Mi Cosa (W. Montgomery) Dangerous (W. Montgomery)
 ジョシュア・ブレイクストーンなるギタリスト諸兄はご存じ? 興味がなかったのでよく知らないが、インターネット検索で集めた情報を整理した。 ここで紹介のCD、彼の自作を一曲はさんでいるがあとはウェスの曲で埋められている。 それだけで満足しているが、演奏はウェスほど豪快ではなくどちらかというと繊細な感じも受け るがジム・ホールまでは届かない。うーん、なんと表現すればよいのか。 系列的に並べるとグラント・グリーンで、魅力的なシングル・トーンはウェスよりグリーンに近 いかな。 しかし分からないのが彼の素性、あるCDでは《ジャズ・ミーツ・ザ・ビートルズ》と題しまさ にビートルズものを演ったり《ウォーク・ドント・ラン》ではヴェンチャーズを聴かせたりはた また、バド・パウエルのピアノ・トリオをギター・トリオで演ったりと、ポリシィがなくふざけ ているのか、全くのおとぼけのように思われる。 あるサイトには、彼の本領はライヴでこそ発揮され特に日本はお気に入りとか、その公演先もビ ッグな東京や大阪以外の地方で、それらしき場所でないところが多いらしい。 ところが、97年4月に "JAZZ at LAKE TAZAWA" ではオルガンの宇多慶記氏等と共演したという 記録もある。 あとで彼のインタヴュー記事を紹介するが、とにかく有名ミュージシャンへのトリビュートもの を演ると公演先で一番受けるらしく、レコーディングもそれにこだわっているいることから今回 ウェスへのトリビュートCDがリリースされた。 喜ばしい限りではあるが、何かいたぶられているような・・それはともかく彼のプロフィールを 紹介する。 1955年ニュージャージィ州エリザベス生まれ。14歳でジャズに目覚め、ギターをはじめた。 サル・サルバドールに師事しフロリダのカレッジを卒業後、バークリィ音楽院に学び、77年にサッ クスのグレン・ホールで正式なプロ・デヴューを果たした。 レコーディングはソノーラに2枚、コンテンポラリーに4枚のリーダ・アルバムを残し、その後 キングレコード、ダブルタイムなど色んなレーベルに関わっている。 そのなかでは、バリー・ハリス、トミー・フラナガン、ペッパー・アダムス、ケニー・バロン等 数え切れないほどのグレートなミュージシャンと共演している。 -------------------------------------------------------------------------------------- 2001年の終わりにモンテ・バッツ(MB)がジョシュア・ブレイクストーン(JB)におこなったイ ンタヴュー: MB:ジャズのきっかけは? JB:はじめはロックン・ロールを聴いていたが、14〜15歳の頃に姉とジャズを演っていた友人 たちに教えられたよ。 ロックと違って聴くこと自体難しかったが、リー・モーガンのエキサイティングなプレイ を聴いて感じたね。 MB:誰の影響を受けギタリストになったの? JB:ギタリストではなかったと思う。主にホーン・プレイアーとピアニストで、バリー・ハリ ス、リー・コニッツそれにチャーリイ・パーカーが好きだったね。    そういえば、グラント・グリーンはよく聴いたかな。 MB:グラント・グリーンについて語り、彼のトリビュートをレコーディングしたんじゃなかっ た。最近のレコーディングの多くがグラント・グリーンをはじめ、セロニアス・モンク、 バド・パウエルらのトリビュートものですが、何がそうさせたの? JB:プロ・デヴュー後順調で、年に2回は日本でプレイしていたことからキング・レコードと いう日本のレーベルと契約したとき、何らかの "テーマ" をもってレコーディングするこ とを決めたが、それがトリビュート・レコーディングだった。    好きなミュージシャンの音楽をトリビュートすることは、自分にも合ってたし、楽しめな がら売れたという感じかな。     MB:2回のトリビュートがピアニストでしたが、両方とも難しい選択であるように思わない。    ギザギサのメロディとコードを演るモンク、そしてバド・パウエルの速いビ・バップ・ラ インは他のギタリストなら挑戦しないでしょう。 JB:モンクは、ハーモ二ィ的にもメロディ的にも非常に難しかった。コード演奏でも8本ある いは全ての指を使っていたので6弦楽器では当然不可能なことながら、その雰囲気は十分 つかんだつもりだ。    でも、バド・パウエルはずっと演り易かったね。 MB:ジャズ・ファンには多くの敬意を得たが、問題は評論家の大部分がマーク・ホウィットフ ィールドやラッセル・マローンのような、いわゆる "ヤング・ライオン" に引き寄せられ た事に対してどのように取り組むの? JB:今まではたいへん幸運だった。    若いときは、サイドメンとしての仕事もあり、リーダとしてのレコーディングもあり結構 名前も売れたと思う。    マネージャーを持ったり、あるいは外に出て自分を売り込むことはしなかったが、仕事は 忙しかったね。まあ、一生懸命やっていれば必ず誰かが認めてくれると信ずるよ。 MB:次のレコーディングはなにをするの? JB:忙しいので考えていない・・大変結構なことなんだが・・本当にスタジオよりライヴでプ レイする方が好きでね。    今はカプリ・レコードで3月にリリースされる《Tomorrow's Hours/Joshua Breakstone Plays the music of Wes Montgomery》のレコーディングを終えところだ。    4月にはニューヨーク市に帰省するが、それまでキーウエストでプレイし、夏が終わるま で日本とヨーロッパへの旅行はしないことに決めた。 MB:ジョシュア、今後もトリビュート・レコーディングを計画するの? JB:今までギター・トリオで、偉大なピアノ・トリオへのレコーディングを楽しんだが、次は エルモ・ホープへのトリビュートを考えている。 MB:ビ・バップ時代からピアニストは正当に評価されてきた。 JB:そう、ホープ、モンク、そしてパウエルはビ・バップ・ピアニストのビッグ3だね。    で、大きな影響を受けたバリー・ハリスへのトリビュート・レコーディングもしたいな。