ニュース速報 No.46(2002.5.6号)


ジャンルを超えた "トリビュート・トゥ・ウェス" そのV
福田進一ギタリスト伝説/ジミ・ヘンドリックス賛歌 アルバム名 : GUITAR LEGENDS/SHIN-ICHI FUKUDA アルバム番号: Denon COCO-80634 リリース国 : JAPAN リリース年月: 8/1997 メディア  : CD
 最後にクラシック界からの "トリビュート・トゥ・ウェス" だ。 その筆頭に挙げたいのがジャズ・ファンであっても名前は聞いたことがあるかと思いますが、ギ タリスト福田進一氏である。 「大阪生まれの彼は・・・  78年パリ・エコール・ノルマル音楽院にて、A.ポンセにギターを学び、また音楽学、和声楽、    楽曲分析をN.ボネに師事する。  80年イタリア・キジアーナ音楽院にてO.ギリアに学び、最優秀ディプロマを受賞する。  81年パリ国際ギターコンクールで優勝。 一躍注目を集め、さらに内外で輝かしい賞歴を重ねた。すでに、ほとんど全ての欧米各国の主要 都市に招かれリサイタルを開催。 デュトワ指揮NHK交響楽団などのメジャー・オーケストラとの協奏曲、ジャズの渡辺香津美氏 などジャンルを超えた一流ソリストとの共演はいつも話題を集め、絶賛を博している。 19世紀ギター音楽の再発見から現代音楽まで、福田氏のボーダレスな活動は世界的な評価を獲得 している。」 その彼が、97年8月に《GUITAR LEGENDS/ Denon COCO-80634》サブタイトル "福田進一ギタリス ト伝説/ジミ・ヘンドリックス賛歌" なるCDをリリースしていた。 一見ヘンドリックスだけかと思われたが、きっちりギタリストとしてのケジメを心得ておられる のかウェスも含めジャンゴやルイス・ボンファ等へのトリビュートも忘れていなかった。 ウェスに言及すると〈SUA COSA op.52 "To the memory of Wes Montgomery"〉邦題〈スア・コー ザ op.52 "ウェス・モンゴメリの思い出に"〉と言う曲は、イギリス・ギター界の重鎮であるジ ョン・デュアート(John W.Duarte) が作曲したものを、クラシックの人とは思えない鋭いリズム 感とビートで、福田氏は「最後の2小節はウェスを讃える気持ちで親指のみで弾いてみました」 と語っている。 デュアートはセコビアに捧げた "イギリス組曲" 等のクラシカルな佳品を多く書いているが、元 来ジャズの分野でも活躍したギタリストでもあり、現在は作曲家・教育者としての活動に専念し ているようである。 彼はクラシック・ギターの為のジャズ・バラッド、〈スア・コーザ〉を若くしてなくなったウェ ス・モンゴメリへの賛歌として72年に作曲した。ちなみに〈スア・コーザ〉とはイタリア語で彼 の流儀という意味で流儀とはウェスのオクターヴ奏法を指している。 ここまで説明すると、ピンときましたね。 そう、ウェスの曲で〈Mi Cosa〉と思った人はエライ! 〈Mi Cosa〉はイタリア語で〈ミ・コーザ〉と発音するらしく、私の流儀という意味である。 つまりウェスからすると私の流儀とはオクターヴ奏法を主張したものである。 〈スア・コーザ〉は中間部でリズムを変え〈ミ・コーザ〉を間奏風に織り込んでいる。 これが何とも言えぬコンビネーションで全く違和感がない。 そしてもう一作品、やはりクラシック・ギタリストの柴田杏里(ANRI SHIBATA)氏の 《エル・メスティーソ/Fontec FOCD3450》での〈スア・コーザ〉も熱演しているので是非とも 聴いて頂きたいと思う。 エル・メスティーソ/柴田杏里 アルバム名 : EL MESTIZO/ANRI SHIBATA アルバム番号: Fontec FOCD3450 リリース国 : JAPAN リリース年月: 5/1999 メディア  : CD
その他にも下記のアルバムで〈スア・コーザ〉が聴ける。 ・Neil Smith Plays Duarte/GUITAR MASTERS GMR-1006  ・Ernest Bitetti/Hispabox HHS10-450  ・Vladislav Blaha/Americana-Works by John W.Duarte  ・Arne Brattland/VEPS 013-87  ・Masayuki Kato(加藤政幸)/Discocenter 6622130  ・Vladimir Mikulka/日本コロンビア OX-1253-S  ・Alexander Tchekhov/Faraway-Popular 20th Century Music/kreuzberg KR-10013 情報提供:「GUITAR & MYSTERY HOMEPAGE」の山崎治氏