ニュース速報 No.45(2002.5.6号)


ジャンルを超えた "トリビュート・トゥ・ウェス" そのU
明治百年、すぱいだーす七年/ザ・スパイダース アルバム名 : 明治百年、すぱいだーす七年/ザ・スパイダース アルバム番号: PHILIPS FS8020 リリース国 : JAPAN リリース年月: 10/1968 メディア  : LP
 次に紹介したいのがご存じ60年代一世風靡をもたらした "スパイダース" で、グループサウン ズの王者というより日本ロック黎明期の代表格というべきで、彼らの創り上げた和製ロックの功 績は余りにも大きいといえる。 しかしGSの歌謡曲化と退廃のなか、68年10月にスパイダース結成7年記念アルバムとして、ま たこの年は明治百年目に当たることから《明治百年、すぱいだーす七年/PHILIPS FS8020》とい う珍妙なアルバムをリリースした。 彼らならではのヴァラエティに富んだ内容は、当時まだほとんど日本にはなかったトータル・コ ンセプト・アルバムに果敢に挑戦し、そして自作と全員が一曲ずつ歌うという収録で単調になら ずマンネリ化を防いでいた。 そしてその挿入曲になんと大野克夫氏が作曲した〈ブルース・フォア・ウェス〉、もちろんウ ェスに捧げたものでインストではあるがムッシュかまやつ氏のスキャットを交えていてなんとも 魅力的トリビュート曲を披露している。 ウェスが去って4ヶ月後のトリビュート曲としてはおそらく世界第一号ではないかと思う。 このアルバムはビートルズの《Sgt.Peppers》の影響というか対抗のもとにリリースされたと聞 くが、ビートルズを上回るサイケなアイディアを出すかまやつ氏の日本初一人多重録音に関する ライナーコメントから、当時の録音システムが6chだったことが発覚した。 (ちなみに《Sgt.Peppers》は4ch2台のピンポン録音) ストリングス用に2chが割り振られていたり、ベースが確実に1ch持っていたりと当時にしては トラックの多い豪勢な録音事情を持っていたという。 なお、このアルバムは当然廃盤ではあるが下記CDが再発されている・・だけど廃盤近し。 《明治百年、すぱいだーす七年+ザ・スパイダース・アルバム No.5/テイチク TECN-20390》 ここでちょっとジャケットの解説: このイラストに描かれているのは当時、明治時代としては画期的な12階建てエレベーター付きで いちやく名所となった通称浅草12階こと<、陵雲閣である。 残念ながらこの建物は、関東大震災で倒壊し再築されることはなかったが、よく見ると陵雲閣の 窓からスパイダースの面々の顔がパロディ化されている。