ニュース速報 No.79(2006.4.4号)


パット・マルチーノに拍手

Pat Martino/Remember/A Tribute to Wes Montgomery
BULE NOTE ST-11226

パット・マルティーノのデビューは63年ですが、ジャック・マクダフなどオルガニストとのコ ラボレーションが主体と言ったところはウェスとよく似たスタイルで良かったのですが、ウェ スが亡くなった68年ごろから個人的には好きくない方向へと反れたことから聴かなくなった。 でもテクニック的には空間無き音の連発奏法を披露し "マシンガン奏法" とか "空間恐怖症" などと持てはやされた。 その中で特に印象深いのが、ウェスでもお馴染みの曲〈サニー〉です。 72年9月録音のミューズ作品《ライヴ》に挿入されたこの演奏には少々驚かされた。 テーマはオクターブ奏法を使いソロでは休む間もなく16分音符の連発連射、アル・カポネの機 関銃も真っ青・・ホントに凄いと思った。 この作品のあと80年、脳動脈瘤を患って、手術後記憶を無くしリハビリで愛弟子からギターを 教わっているとう噂を聞いたが・・定かでない。 長い活動停止期間のあと87年《ザ・リターン》で奇跡の復活を得た、やはり神様だったのか。 前述の68年以降、彼は東洋をイメージした《イースト》とかインド音楽に影響を受けた《バイ ヤイナ》、それに12弦ギターも弾いていたように思うが・・何度も言いますが好きくない・・ とは言え彼の本格的なミュージシャンとしての挑戦がそこから始まったのかも知れません。 当時、ウェスがビートルズなどポップスを採り入れたのと同じ感覚のような気がする。 やはり、ミュージシャンは絶えず何か新しいものに挑戦しなくてはならない気持ちが必要であ る。そう言う意味からパットはウェスの生き方に尊敬していのかも知れない。 その念が生じて、ここにウェス賛辞ものをリリースしたという・・こじつけですが・・とにか く感激も倍増です。 のっけから〈フォー・オン・シックス〉が入っている・・あれ、トーンが低いな・・もともと ウェスと同じ太い弦を使っているので重厚かつクリアなサウンドには違いないが、わざと絞っ ているのかな、なんて感じた。 確かに以前のサウンドに比べると低い、曇っている。彼はピツクを使っているが今回ウェスも のとあって意識しているのか、よく分からない。 でもこうしてウェスとパットを聞き比べても差は感じません。お互いの良いところが明確に聴 き取れるがサウンド的には元来指弾きのウェスに軍配を挙げてしまう・・そう依怙贔屓のウェ スファンてす、悪しからず。