ニュース速報 No.81(2006.6.25号)


ハーフノートのMC
2005年02月15日にヨーロッパで発売されていた《Smokin' At The Half Note/UMG 2103476》 は【Verve Master Edition】として若干の興味をそそる内容である。 と言っても、未発や別テイクが含まれている訳ではない。 1 No Blues (12:567) 2 If You Could See Me Now (08:21) 3 Unit 7 (06:44) 4 Four on Six (06:43) 5 What's New? (06:10) 以上は《Smokin' At The Half Note/Verve V6-8633》として2曲目まではハーフノートでのラ イヴ録音(実況放送されたものではない)で、あとの3曲はスタジオ録音となんの変わりもない ものである。 6 Willow Weep for Me (09:08) 7 Portrait of Jennie (03:28) 8 Surrey With the Fringe on Top (06:12) 以上の3曲は《Willow Weep for Me/Verve V6-8765》としてウェスの死後、オーケストラを被 せられた事により大変不評を博した名物アルバムである。 3曲は、1965/6/25(6/26と言うデータもあるが)WABC-FMが"ポートレイト・イン・ジャズ・ショ ー" として毎週金曜にハーフノートでおこなわれた実況ライヴでのエア・チェック・テープを 元に発売されたものである。 冒頭で若干の興味をそそる・・と説明したのはアラン・グランツの曲間のMCがほとんど編集 されずに聴ける、そう放送されたそのままである。 これは《Willow Weep for Me/Verve V6-8765》が発売された以後、〈Willow Weep For Me〉 〈Portrait Of Jennie〉〈Misty〉の3曲でオーケストラを取り除いたオリジナルのまま再発さ れた《The Small Group Rcordings/Verve VE-2-2513》を初め、日本のポリドールでも 《Smokin' At The Half Note Vol. 2/ポリドール J28J 25117》は更にMCをも付加して 雰囲気を味わせてくてた、ファン重視のありがたいCDであった。 今回発売のCDはそう言った意味からこれ以上隠すものはない・・と言った所だが、それも MCが所々入れる「WABC-FM放送がお贈りする・・」と言った宣伝がたまたまなかったからであ る。 ですから、下記の1965/9/17に放送された〈Misty〉〈Impressions〉ではそのコメントが削除さ れているので一瞬とぎれた事が確認できよう。 9 Oh, You Crazy Moon (05:27) 10 Misty (06:53) 11 Impressions (05:03) 改めて、聴き直してみたが〈Misty〉から〈Impressions〉の流れ、とくに〈Impressions〉では あの神がかり的プレイと言われた〈No Blues〉に負けず劣らずの白熱化仕切った様子が鮮明に蘇 ってきた。 そう言えば、ギタリストの小泉氏からその〈No Blues〉について・・ケリィが途中でピアノをや めた真相について語ってくれたことを思い出したので紹介する。 このエピソードとして語られているのが「ウェスのソロの素晴らしさにケリィが聴惚れて、途中 で弾くのをやめてしまった」というものだが、これは話しとしては面白いが実際は違うという。 この事に気付いたのがギタリストの小泉清人氏で、彼はリットーミュージック出版の【ウェス・ モンゴメリ】で "完全コピー/演奏分析/曲解説" の著者として採譜分析の作業で気付いたとい う。 「ケリィが弾かなくなったのは、ウェスがコード・ソロを始めたのでお互いがぶつからないよう に抑えたのである。 ケリィは伴奏者としてズバ抜けたセンスを持ち、常にソロイストを盛り上げその演リ方に合わせ ることができるが、 特にブルーズの場合どのように展開するか予測の難しいコードをギターが弾き始めたときは、ピ アノはコードを弾かないのが普通である。 コード楽器同士のぶつかり合いはなるべく避けたいと言うのが実践的なセンスであろう。」と説 明している。

このCDではレイモンド・ロス氏によるハーフノートでのウェスが写されている。