小泉清人サード・アルバム
合奏の原点・・センスのない言い方ですが戦後生まれの子供が昭和20年代後半から教育を
受け小学校の何年生だったかはよく覚えていませんが、縦笛を学んだことがありました。
学校によっては日本で改良された複音式といって縦に2穴横に21穴並んだハーモニカを教材
にした学校もありました。
私は縦笛が気に入らず、ハーモニカの生徒が少ないことだけの理由で勧められ譜面も読めず
丸暗記で〈上を向いて歩こう〉を必死で覚えた記憶がありす。
それで高学年になってからか、中学に入ってからか縦笛とハーモニカでよく合奏させられま
した。
社会に出てから酒場でのカラオケ以前はギターといってもガットギターかスチール弦の今で
言うアコースティク・ギターやアコーディオン、風流な場所では三味線なんかが下手な歌に
伴奏してくれたり、流し自慢の喉を聴かしてくれたりしていました。
職場や同好会では専らアコーディオンが主流でコーラス部と言うのがそこここで持てはやされ
ていました。たしか歌声喫茶という健全な若者が集まり全員がコーラスを楽しむ、といったもの
まで電気的な機器・装置を使わず楽器本来の響きで楽しんでいた時代風景は、総じてアコー
スティク・サウンドだったのです。
前置きが長くなりましたが、小泉さん自身のリーダとして三枚目のアルバムは、ガット・ギター
とハーモニカの合奏・・いや、粋な言い方ですとデュオというのですか。
2009年8月、モーション・ブルー・ヨコハマで行なわれた小泉さんのガット・ギターと続木さん
のハーモニカのライヴ録りをCD化にし《小泉清人&続木力/デュオ・ライヴ/kk-003》とタイトル
され2010年1月21日にリリースされました。
ジャンルに拘ることなく、幅広く誰もが楽しんで聴いていただくという趣旨から、選りすぐりの
10曲に絞り込まれています。
エリントン・ナンバーからボサノヴァやアルゼンチン・タンゴのピアソラ、果てはアメリカ民謡
から陽水まで、どれもがナイロン弦独特の優しさと哀愁感を響かせそしてハーモニカの持つ艶
やかで郷愁感を誘う、この、ほどよくブレンドされたサウンドをなんと表現したらよいのか、当然
ながら洗練された現代的センスで演奏されていますが、これぞ私の脳裏に刻まれている合奏
の原点なんです。
聴いていて熱くなります。年をとったのだ・・と言われても熱く蘇らせてくれます・・忘れていた
ことと久々に出会いました。
聴きどころ、と言いますか聴き比べていただきたいのがファースト・ソロ・アルバムの《ダブル・
レインボー/小泉清人/KK-001》にも挿入されていました小泉さん作曲〈満天の星空〉は、
また違った味わいを聴かせてくれます。
ここ最近、小泉さんの活動でガット・ギターでの演奏が目立ちますがそのことでウェス・サウンド
から遠ざかっておられるように感じますが、そのことで「ウェスは僕にとっての音楽的な閃きの
ミナモトです。
ガット・ギターであれ、ハーモニーを鳴らすとき、ウェスが教えてくれた響きがいつも僕の中に
あります。そして暖かい音色もです。」と、答えられました。
楽器が変われど曲は変われど気持ちは変わることなくウェスは忘れていないと言う気持ちが
伝わってくる、誠に素晴らしい作品です。
《小泉清人&続木力/デュオ・ライヴ/kk-003》の一般販売は行なっておりません。購入
希望の方は彼のライヴ会場で求めていただくか、公式ホームサイトよりお求め下さい。
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