アルバム整理
先ずこの《12枚組CD》、コレクターへのトドメを宣言したような発掘者キープニュースの誇ら
しげな手法に驚いた。
そういえば1980年にリリースされた《イエスタデイズ/Milestone M-47057》のライナー・ノーツで
彼は、「ウェスのオルガン・トリオを含めまだ2〜3ダースのテープが眠っている。」と締めくく
っていたことを思い出した。小出しにしないところは男らしい。
それはウェスのリーダおよびサイドを含み、リヴァーサイドとジャズランド合わせて15枚のアルバ
ムより構成されている。
この15枚のアルバムをオリジナルで数えると 113曲となるが、《12枚組CD》ではオリジナル、オ
リジナル再編集、別テイク等合わせると 158曲の収録となる。
その内訳は次の表による。
| オリジナル・テイク | オリジナル再編集 | 別テイク | 既発表テイク | 既発テイク再編集 |
| 105 | 4 | 16 | 32 | 1 |
〈オリジナル再編集 (re-edited)〉とは、オリジナルとしてリリースしたものが編集されていたこ
とから編集前のものに復元したもので、具体的に説明する。
ディスク5 :〈 Movin' Along (take 5/re-edited)〉は、イントロのテーマが1コーラスだったの
を2コーラスに戻している。
ディスク9 :〈 Blue 'N 'Boogie(take 2/re-edited)〉は、ウェスのソロの最後2コーラスが復元
されている。
ディスク10 :〈 Tune-Up(take 5/re-edited)〉は、セカンド・リフが復元され、エンディング・テ
ーマも2コーラスに戻されフェイド・アウトが長い。
ディスク11 :〈 Fride Pies (take 2/re-edited)〉は、ウェスのオクターヴ・ソロのあと、コード
ソロが2コーラス復元されている。
〈別テイク16曲〉、これが本来の意味からいう今までに発表されず初めて陽の目をみたもの。
つまり、前ページで記載した曲。
〈既発表テイク32曲〉、これらは既に別テイクとして発表したものを再度挿入したもの。
〈既発テイク再編集 1曲〉とは、既に別テイクとして発表したものの編集されていたので、改めて
復元したもの。
最後に〈オリジナル・テイク〉の話をするが、先ほども説明したがオリジナル全アルバムは 113曲
なのに、本《12枚組CD》では 105曲となっている。
それは〈オリジナル再編集〉4曲を挿入したことで編集されたオリジナルは外されている。
問題は残り4曲だが、思い出してください。《ポートレイト・オブ・ウェス》の項での経緯で、キ
ープニュースが〈NGにした曲〉が外されているんです。
〈イエスタデイズ・チャイルド〉〈デインジャラス〉〈ロリータ〉それに《ギター・オン・ザ・ゴ
ー》より〈ブルース・リフ〉これらのテイクは彼の拘りがここに強く現れており、OKとされた別
テイク(デイスク12)に差し替えられているからです。
〈ブルース・リフ〉は〈ムーヴィン・アロン〉と記載されているので注意してください。
しかしキープニュースの拘りもおかしなところがある。ライナー・ノーツでもギタリストの小泉氏
が指摘するように、「《フル・ハウス》のセッションからの〈ボーン・トゥ・ビ・ブルー〉、とく
に今回陽の目をみた〈テイク1〉はウェスのソロは素晴らしいもののコード進行を捉えていないポ
ール・チェンバースが全体をぶち壊していて、あげくは尻切れトンボのエンディング。さらに〈テ
イク2〉でも彼はまだコードを覚えきれず、完全なものではない。」という。
オリジナル《フル・ハウス》では時間的制約の中で挿入しきれなかったというが、本来なら《オル
タネイティヴ》や本《12枚組CD》では外すべきではなかっただろうか。
でも我々ファンにとっては、このような〈ハプニング・テイク〉はなかなか聴けるものではないた
めたいへん貴重なテイクとなった。
最後にもう1曲挿入漏れになったテイクがある。《ギター・オン・ザ・ゴー/ Riverside OJCCD-48
9-2》でボーナス・トラックとして発表された〈ミ・コサ〉である。
でも、《12枚組CD》はコンプリート・リヴァーサイド・レコーディングとの触れ込みで、現在権
利を得ているファンタジよりリリースされているのですが、ならばファンタジの2枚の《モンゴメ
リ・ブラザーズ》も挿入して欲しかった。と手前勝手な理屈。
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