Wes Montgomery(g) With strings arr. & cond. by Don Sebesky:
Harold Coletta, David Schwartz(vla) Arnold Eidus, Lewis Eley, Paul Gershman, Louis Haber
Julius Held, Harry Lookofsky, Gene Orloff, Jos Malignaggi, Sol Shapiro(vln) George Ric-
ci, Charies McCracken(cel) Margaret Ross(hp) Roger Kellaway(p) Bob Cranshaw(b) Grady Ta-
te(dr) *add Candido Camero(bgo.cga)
Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, N.J.; May.16,1965
Musty* [4:12]
Here's That Rainy Day [4:50]
same personnel:
Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, N.J.; May.18,1965
Love Theme From "The Sandpiper" (The Shadow Of Your Smile)* [2:15]
Wes Montgomery(g) Roger Kellaway(p) Bob Cranshaw(b) Grady Tate(dr)
Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, N.J.; May 18,1965
Tear It Down [3:10]
Wes Montgomery(g) With strings arr. & cond. by Don Sebesky:
Harold Coletta, David Schwartz(vla) Arnold Eidus, Lewis Eley, Paul Gershman, Louis Haber
Julius Held, Harry Lookofsky, Gene Orloff, Jos Malignaggi, Sol Shapiro(vln) George Ric-
ci, Charies McCracken(cel) Margaret Ross(hp) Roger Kellaway(p) Bob Cranshaw(b) Helcio M-
illito(dr)
Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, N.J.; May.19,1965
Con Alma [3:25]
A Quiet Thing (aka:from "Flora,The Red Menace") [3:27]
Wes Montgomery(g) With strings arr. & cond. by Don Sebesky:
Harold Coletta, David Schwartz(vla) Arnold Eidus, Lewis Eley, Paul Gershman, Louis Haber
Julius Held, Harry Lookofsky, Gene Orloff, Jos Malignaggi, Sol Shapiro(vln) George Ric-
ci, Charies McCracken(cel) Margaret Ross(hp) Roger Kellaway(p) Bob Cranshaw(b) Grady Ta-
te(dr) Candido Camero(bgo.cga)
Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, N.J.; May.20,1965
Bumpin' [6:40]
omit: Roger Kellaway(p) Grady Tate(dr)
Mi Cosa (aka:My Thing) [3:15]
ウェスのコマーシャル軌道はリヴァーサイド時代の1963年、オリン・キープニュースのプロデュ
ース、ジミー・ジョーンズの編曲・指揮による《フュージョン》に端を発している。
ウェスの死後キープニュースは、「私はクリード・テイラーのことをあれこれと批判する気はない
が、この《フュージョン》がウェスにとっての新しい創造への第1歩であり、彼の音楽的成功への
序曲でもあったといいたいね。」とライナー・ノーツに書いている。
負け惜しみとも取られるこのコメントとは、リヴァーサイドの経営を向上させるべく大物ミュージ
シャンを集めた贅沢な編成と、ストリングス・オーケストラを配した新しい試みで望んだが、ダウ
ンビート誌は非情にも2ッ星半の評価を下し、事実売れることがなかったと言う訳である。
64年11月にウェスを迎えて、鬼才といわれたクリード・テイラーの構想はリヴァーサイドでの《
フュージョン》の失策を計算に、ブラス・セクションでの編曲・指揮をジョニィ・ペイントに依頼
した。結果ダウンビート誌の評価も3ッ星半とまあまあの評価ながら、多くのファンや評論家達が
ウェスへの批判を浴びせた。
恐らくこのことでクリード・テイラーにも少々焦りが生じていると思う。
ウェスという素晴らしい逸材を入手しながら、調理の方法が悪いのか盛り付けが良くないのか『ヒ
ットしない。売れない。』のである。
それでも彼の構想は変えられることなく、あくまでもコマーシャル路線に徹しじっくりと期を窺っ
ていた。
これはジャズ界の後退と反比例するポップス界への参入を図った生き残り作戦を賭けた、テイラー
の方針でありウェスに限らずスタン・ゲッツ等を起用しボサ・ノヴァに注目するなど、既にその鬼
才振りが徐々に発揮されようとしていた。
以下、本LPでチャック(クリード ?)・テイラーのライナー・ノーツより掻い摘んで紹介する。
『ウェス・モンゴメリについてライナー・ノーツを書こうとすることは "赤頭巾ちゃん" の子供達
について話そうとするようなものである。
そのストーリーは誰もが知っているのと同じぐらい多く話されてきた。
"赤頭巾ちゃん" と異なり、ウェスは "森林物語" に大きなパワフルな斧で入りこんできたような
ものである。
"森林を切り抜ける(成功すること)" についてのプロセスで、ウェスの斧はただ、多くの純粋ジャ
ズ・ミュージシャンが商業オオカミ(コマーシャル・ミュージック)を門外漢にすることを伐採する
だけでなく、しかも同じギター界に新風を送り込もうとする者まで阻止しようとする森林全体を伐
採してしまった。
このアルバムで好きな1曲を聴いてみなさい。あなたは私が言ったことが総て正しいということを
認識するであろう。
《バンピン》・・・ハリウッドでは「1万台のヴァイオリン」を使うとされたが、ヴァーヴもウェ
スに初めてのストリングスを付加した2枚目のアルバムをリリースした・・・ウェスがパットしな
かった現存しないレーベル (リヴァーサイド) に対して、ドン・セべスキーがあたかも温めていた
ようなアレンジを有能なクリード・テイラーに依頼され、プロデュースされた。
実のところ、スタッフが期限内に成果をあげるためにテイラーは、編曲指揮者であるセベスキーの
フル・ストリングス・セクションでのウェスのクリア・ソフトなギターの配置に関して、微妙なト
ラブルを解決させる責任があった。
音楽について、人は音楽的経験を最大限に活かし美しく語ることができるだろうか?
多分、このアルバムについて最も上手く説明するなら、ウェスは想像以上の完璧主義者であると言
う事と、20世紀最高のアレンジャーを信じたという事が他のミュージシャンやファンを驚かせた謙
虚な大物であったということに、ポイントを置きたい。
そのポイントについて、ウェス自身強く認めることが出来た時こそ、このアルバムが極めてまれに
達成された完璧なジャズであるということである。
例えば〈ミ・コサ〉を聴いてみなさい。
この曲はウェスがイタリア・タイトルの〈マイ・シング〉を聴いて思いのままイメージしたもので
あり、この "アルバム・タイトル" に、とも考えた。
「〈ミ・コサ〉はミュージカル・ストーリーか演劇なんだ」と説明してくれた。
それは解っていたが、ソフトでいい曲だなと思ったのはウェス・モンゴメリの特徴がよくでていた
からである。
官能的なストリングスのバックに対してデリケートに仕掛けられたクラシック的な指使い、そして
ウェス自身の言葉、「パーフェクトだったよ」。
と自信の言葉について、「そりぁ、僕ひとりじゃできなかったさ。独特の暗い感じ、今までにない
編曲、独特のフィーリングがパーフェクトにさせたんだよ。」と言及した。
注意深くこの曲に耳を傾けると、更にまた違った何かを発見するであろう。
ウェスの神秘的な【感触】の〈ヒアーズ・ザット・レイニ・デイ〉は他においても例証され、殆ど
のトップ・ヴォーカリスト、シナトラ、ベネット、 エラ 、サラ・ヴォーン等々のレパートリーで
も聴くことができる。
ウェスはそれら偉大なヴォーカルを聴いてプレイしようと感じたが、インストゥルメンタルとして
新しく新鮮な何かを必要と感じ、長い間考えていたようである。
その結果〈雨のボサ・ノヴァ〉と表現されるかもしれないが、数ヶ月前に初めてNYのグリニッチ
・ヴィレッジにある "ハーフ・ノート" でしかも春雨の夕方、偶然にも聴くことができた。
それで、彼がその夜プレイしたとき聴衆に受けたことを思い出して、クォーテットにバックグラウ
ンドをアレンジすることを手がけることにした。
〈コン・アルマ〉--【魂】でプレイすることについて自分のスタイルに対するディジィ・ガレスピ
ーの発言--は数ヶ月の間、近くのメキシコ人レストランの経営のことを考えて最初からラテン色豊
かにアレンジされていた。
それから同僚の達人(ドン・セベスキー)が見事なギタリストのためにソフトなスウィングへとアレ
ンジした。
このアレンジでのウェスの迅速な右手の動きからは、驚くほどの音符が機関銃のようにあなたへ向
けて発射されるのではと思う。
私はガレスピー氏がこのアレンジに対し確実に承認するであろうことを聞くのが楽しみである。
〈ティア・イット・ダウン〉は唯一ストリングスを必要としないウェスのオリジナルである。
ウェスはかつて私に、もし自分の指が動かなくなったらというのが最も大きな心配であると語って
くれた。
そう言えば、ギタリストのジム・ホールが「サンフランシスコでの午後からずっと、私はウェスの
親指を車のドアで挟んでやろうと待ち構えていたことがあったよ」というコメントを思い出さずに
はいられなかった。
ウェスの正確な親指は一般には解らない部分があり、あなたがウェスを観にに行ったことが無けれ
ば私の言わんとする意味が理解できないであろう。
それは誰もこのような正統でない奏法は使わないし、西部から東部を見回してもその最も速い親指
に匹敵するギタリストは見当たらないのである。
彼は〈ティア・イット・ダウン〉で十分にこの不思議な才能を実証している。』
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