〈バンピン/パートU〉の混迷
1972年にリリースされた、《The History of Wes Montgomery / Verve 2-V6S-8813》のコンピレ
ーション・アルバムで、〈バンピン/パートU〉として記載されている真実について過去何度か触
れてきたが、ここらで決着をつけたいと思う。

Verve 2-V6S-8813 Verve CS2-5
〈バンピン/パートU〉という表現はあたかも〈別テイク〉のように感じられるが、調べるうちに
次のことが判明した。
先ず、この曲のマトリックス番号が "65VK339A+B" と記載されている。
ということは〈テイクA〉と〈テイクB〉を重ねたと考えるべきであるが、重ねるという意味は普
通はリヴァーサイドの項でも多く見られる様に、2つのテイクの "良いとこどり" を編集して完成
させたということである。
しかしこの常識と思っていたことが、実は全く違った意味での記載もあった。
この確認は、《ムーヴィン・ウェス》《バンピン》《ゴー・イン・アウト・オブ・マイ・ヘッド》
《テキーラ》の各アルバムより8曲をチョイスし《Verve Celebrity Series / CS2-5》と題し5枚
組みシングル盤ボックス入りのセンター・ラベルの記載事項で判明した。
これらの挿入曲の中に〈バンピン〉は片面に収めきれず、 "65VK339A" のA面を〈パートT〉とし
"65VK339B" B面を〈パートU〉と記載してあった。
考えられるのは、ウェスとストリングスの6分40秒の同時レコーディングが長いため、2回に分け
て行ったのだろうか ???。
シングル盤では6分50秒と少し長いが、その分B面の頭部分にダブらせて聴かせる配慮がしてある
が、リリース時マスター・テープのままプレスしたと思われる。
つまり、リヴァーサイドのようであればいくら両面に分けたとしてもマトリックス番号が同じ記載
に揃える、例えば "65VK339" のようにするはずである。
わざわざ編集丸出しのようなマトリックスは付与しないと考えるのだが。
また《The History of Wes Montgomery / Verve 2-V6S-8813》のLPでは〈バンピン/パートU〉
と単にマスター・テープのデータを見て記載しただけのもので、何度聴いても本テイクとの違いは
認められない。
と、ここまで説明したがやはり2テイクを編集したと考えるのが妥当かも知れませんが自信ありま
せん。やはり混迷のままか。
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