とりあえず、キープニュースのライナーも紹介しておく。
「ウェス・モンゴメリが活動したある時期はジャズ歴からみて最も偉大なギタリストだといわれ
たが、当然のことのようでもあり、反論もある。
でも偉大であることには違いなく全てのギター・プレイアーの中でもずば抜けていることがある。
その上とても豪華なオリバー・ネルソンのアレンジがタレントとしてのモンゴメリの "叙情的で旋
律的" な様相を強調しているが、本アルバムはその両方のポイントを証明している。
もしかすると、ギターも色んな表現方法があるようにジャズそのものが多様なスタイルと状況を伴
うから、偉大といわれるほどではないかも知れない。
誰かがウェスと対抗するには、チャーリー・クリスチャンのような独創的な閃きの天才か、あるい
は大掛かりなリズム・セクション・サウンドを用いるしかなく、エディー・ラングと並んでどのよ
な条件の音楽の上にでもウェスを評価することは本当に難しいと思う。
同様にテクニックに関しても重要な問題がある。
もしも、モンゴメリが正統でないスタイリストであって、彼のインストゥルメンツが公式に支持さ
れ支配していたら、私はそれより他にもっと素晴らしく機械のように完璧にトレーニングされたギ
タリストを多く知っている。
しかし、彼の力量が非正統派音楽の模範者であると感じている人もいる。
(それは今までにウェスのギターが本当に【不可能】なことをするという決まり文句である。
けれども事実であり変わりないが、彼が全て承知の上でそれを商業的に演ったことにより非買され
たことがあったら、まず第一にこのようなことを試みはなかった可能性が高い。)
全般的に何が【最も偉大である】かという決め手がない話しはやめて通常的な話をしたいと思う。
次に言ういずれの場合、ウェスが最も感動的なパフォーマーであるか?
文字通りそれらは【指はじけ装置 finger-poppers】と【つま先テンポ取り装置 toe-tappers】が
いつの場合もリスナーを物理的にそして感情的に乗せているが、全てのリスナーもそれらがバラッ
ドやブルーズであることを認識していた。
そもそも、ウェスは彼を知らない人から【大袈裟な】といわれてきた奥地伝説のひとりであった。
その1950年代後期、あらゆるジャズ・ミュージシャン(極めて少数派)の中でほとんど故郷を離れ
ることなく(彼は音楽以外の日雇い仕事の他にナイト・ギグ、深夜ギグなどのクラブ出演で働き、
妻と6人の子供達がいたため)素晴らしい独学で得た、それは信じられないほどのブロック・コー
ドとオクターヴ・ソロで他のギタリストが決して真似る事の出来ないことについて話すことにしよ
う。
私が初めてウェスの噂を聞いて1959年彼の出身地インディアナポリスで見たことは、(彼がその日
仕事を断念することを強いられていたこと以外)すべて本当であったことに驚いた。
私の視力は左右とも2.0にもかかわらずウェスの右親指の早い動きに焦点が合わせられなかった。
よく観るとピックなしで親指で弾いていたという驚くべき事実であった。
そして、そのことがまもなくそうなるであろうと(ウェスはプロとしてレコーディングし、他のギ
ター・プレイアーを打ち負かすためにデヴューするよう説得された)思うことにギター・ピック産
業での利益破壊を引き起こすことである。
それは、【半端】に終わるかあるいは【仰天】するような売上を残し続けることができるかという
ことで、ある例として、彼のスタイルにおいて無名からトップの座としての国際的な認識まで、前
例がない敏速さである。
もうひとつは、それによってジョン・レスリー少年が排他的に "ウェス" として知られるまでのは
っきりしない経緯である。
目下そのことにに取りかかるため、このミュージシャンはブルースとファンクの達人だけではなく
同じように素晴らしいメロディストであるということがこのアルバムで証明されるはずであり、つ
まりは【仰天】すべき事実を残すことであった。
編曲者オリバー・ネルソンは、『ソロイストとしてより、むしろメロディ楽器として自分の根本的
な目標であったウェスを見せたかったんだ。』と言明した。
ギターはそのバンド・アンサンブルでリード・ヴォイスのように思われるべきであると、ネルソン
は時々感じており、『もし他の機会にウェスが色んなカウンター・メロディーをプレイするバンド
で、君達はギターがそのプレイに徹すると思っているかも知れないが、とんでもないことでありメ
ロディ・ラインを弾くべきである。』と強調した。
ここ最近までこのような課題をリズム楽器に託せる適者がいなかっただけのことである。
今一流とされている多くのギタリストがやっている何かと、ウェスは全く別のものである。
彼は豪華なストリングスをバックにしても、いかなるセッティングにしても美しくスウィングし即
興することができる正にリズム・セクションに乗って激しくドライブすることができる男である。
従って大部分は、強烈で素晴らしくメロディックな創造力のためにジャズ・ギターを手段として用
いることについての特別の課題は、特に驚くことではない。
が、もしかするとそれは驚くような "ウェス物語" の中で最高のものだったかも知れない。」
オリン・キープニュース
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