Wes Montgomery(g) Hans Koller(as) Johnny Griffin, Ronnie Scotts(ts) Ronnie Ross(bars) M-
artial Solal(p) Michl Gaudry(b) Ronnie Stephenson(dr)
NDR (Norddeutscher Rundfunk) Studio 10, Hamburg, W.Germany; Apr.30,1965
Blue Grass [4:49] Philology(It)W 97-2
Glass Of Cool Wine Last Of The Wine [7:41] −
The Leopard Walks [6:56] −
West Coast Blues [4:10] −
omit: Hans Koller(as) Johnny Griffin, Ronnie Scotts(ts) Ronnie Ross(bars)
same dates
Here's That Rainy Day [8:13] Philology(It)W 97-2
Four On Six [6:15] −
Twisted Blues [5:11] −
Wes Montgomery(g) Johnny Griffin(ts) Martial Solal(p) Michl Gaudry(b) Ronnie Stephenson
(dr)
same dates
Blue Monk [6:23] Philology(It)W 97-2
ウェスは4月25日から30日にかけてロニー・スコットの働きでドイツ公演が決まった。
ハンブルグにある、NDRラジオ・TV局は "ジャズ・ワークショップ・コンサート" という、
ラジオやTV番組を或る時はスタジオで、或る時はコンサート・ホールでライヴ収録をこなした。
このCDのライナーノーツには【多分3月、ハンブルグでのコンサート】と記載されている。が、
ウェスは4月28日はNDRのスタジオでジャズ・ワークショップのTV収録・・と言ってもリハーサ
ル録りが行われ、4月30日にはNDR第39回ジャズ・ワークショップとしてスタジオ収録が行われ
た。
このCDは、同年6月20日に一般放送されたエアチェックからリリースされたと思う。
ただ、放送されたのはTVなのかラジオなのかはっきりしない。
録画も残されたと思うがJAZZ-625の2回録りの1回分が消し去られたように、同じ運命をたどった
可能性もある。
39回目の "ジャズ・ワークショップ・コンサート" はウェスを迎えてのスタジオ・ライヴ収録とな
った。
ウェス等一行を率いてのリーダ役、ロニィ・スコットは自分のクラブを他に任せドイツでの4月25
日からの最後の1週間を公演したようである。
当然の事ながら、この事実関係をスコットに尋ねてみた。「残念なことだが、君の役に立てそうも
ない。ウェスについてのことだが、余りにも昔のことだしそれに物忘れが激しく、つい1週間前の
ことすら覚えていない有様なんだ。」ということで、やっぱりドイツでの全ての足跡を辿ることは
できなかった。
そこで、エア・チェック・テープと詳しいレコーディング・データに基づいて、1時間45分にも及
んだ放送を再現することにする。
全17曲は、ウェスの参加していないものも含め、ドイツ訛りの強いハンス・ゲートベルグによる司
会で進められている。
第39回 "ジャズ・ワークショップ・コンサート"
司会 : ハンス・ゲートベルグ
♪ Blue Grass ♪
NDR第39回ジャズ・ワークショップより、ロニィ・ロス作曲による〈ブルー・グラス〉をお届
けしました。
ジャズ・ファンの皆様、こんばんは。〈ブルー・グラス〉の最初の6コーラスのソロは42歳のウェ
ス・モンゴメリによるものでした。
いまさらウェスとギターに関して説明するまでもないかも知れませんが、ウェスは19歳のとき以来
独自のやり方でギターを演奏しています。今やこの楽器をマスターしたと言っても過言ではなく、
すでに25枚ものLPをリリースしています。
今回初めてヨーロッパでその素晴らしい演奏を披露してくれています。ジャズ・ファンならば彼の
アルバムをすでにお持ちのことと思います。これらのLPで聴けるギターはなんらかの録音テクニ
ックを使ったに違いない、なんて言っている人を見かけることがあります。ギターで弾けるはずが
ないと言うわけです。でもウェスは弾いているのです。
技術的に信じられないような演奏をしている一方で、その音楽は喜びにあふれているというのもウ
ェス・モンゴメリのすごいところです。
ギター・フリークたちはウェスの驚異的な芸術性を認めないわけにはいかないのです。ウェスの話
は繰り返すまでもないでしょう。ウェスが独学でマスターしたことを知らない人でも、LPのライ
ナー・ノーツやインタヴューといった多くの情報よりも、彼の音楽そのものに興味を持っていただ
きたいと思います。
こうした情報の中にはうまく作られた話もあります。しかしこれらの話についてウェスと話してみ
ると、こうした話は全部忘れることができます。「ラッキーな男ウェス」のお伽噺なんてないので
す。あるのは音楽だけのために生まれてきた男の話だけです。
そういう人間はたくさんいると言う人もいるでしょうし、それは事実かも知れません。しかしウェ
スが雷に打たれたように音楽に打たれたのは19歳の時、チャーリー・クリスチャンの〈ソロ・フラ
イト〉を聴いたときです。
ウェスの経歴を見ると、スポットライトを浴びるようになるのはこのときから16年後です。ウェス
自身はこのセッションのスーパースターだなんて思っていません。ワークショップの初めのころ、
ウェスはこの素晴らしいミュージシャンたちと一緒に演奏しませんでした。しかし数日経ってから
、ウェスは独特の雰囲気を持ったこのグループに加わりました。
さて次もロニィ・ロスの〈ラスト・オブ・ザ・ワイン〉そしてウェスのクォーテットによる〈ヒァ
ーズ・ザット・レイニ・デイ〉、そしてウェスが抜けてハンス・コラーの作曲で〈ヒ・イズ・ゴー
ン〉をお贈りします。この音楽にはまた別の話があるのです。「ラッキーな男ハンス」の話ではあ
りませんが。
♪ Last Of The Wine ♪
♪ Here's That Rainy Day ♪
♪ He Is Gone ♪
さて次は37歳のマーシャル・ソラルです。私たちが彼を初めて紹介したのは、ハンス・コラーの
TV番組 "ピクチャーズ・オブ・アン・エキジビジョン" でした。
しかしマーシャルは20年以上も前から世界中でその名を知られています。これまでにアメリカから
も何回かお呼びがかかっていますし、あらためて紹介するまでもないでしょう。
彼のことをモダン・ジャズにおけるもう一人のアート・テイタムと呼ぶ人もいます。
(訳注:以下ウェスに関係のない話なので割愛する。)
♪ On Green Dolphin Street ♪
♪ The Leopard Walks ♪
♪ No Summer, No Winter ♪
♪ Stella By Starlight ♪
このグループにはロニィが3人います。
一番若いロニィはドラムスのスティーヴンソン、28歳です。彼は他のロニィたちと同じ島 (訳注:
イギリスのことでしょう。) の出身で、JH・ダンクワース・バンド、TVハウス・オーケストラ
・ジャック・パンネル、スタン・ゲッツ、ローランド・カーク、ソニィ・ロリンズ、リナ・ホーン
、M・マーフィ・アンド・アーサ・キット等と共演してきました。
ウェス・モンゴメリは彼をアメリカに連れていきたいと思っているぐらいですから、もっと広く知
られるべきミュージシャンでしょう。
(訳注:以下ウェスに関係のない話なので割愛する。)
♪ Stephenson's Rocket ♪
ロニィ・スコットに感謝しなければなりません。彼が1週間近くもの間、多くの骨を折ってくれ
たおかげで、ウェス・モンゴメリに今ここに来てもらうことができたのです。
ロンドンのロニィ・スコット・クラブは、コマーシャルな道に走らないヨーロッパで数少ないジャ
ズ・クラブです。〈オープニング・2〉ではスコットがテナーを演奏します。
ウェス・クォーテットによる〈フォー・オン・シックス〉では彼がまさに "インクレディブル" で
あることがお分かりいただけるでしょう。
ウェスはオクターヴやブロック・コードについて何も知らず、彼のテクニックがギターでは不可能
なものと思われていたということも知らなかったそうです。
ウェスはさらにこう言っています。「僕がそのことを知っていたら、多分演ろうとしなかっただろ
うね。」これは本当の話です。ピックを使わずに指で弾くようになったのも同じだそうです。
すべて "インクレディブル" ですね。すごいテクニックと音楽性の両方を兼ね備えているからこそ
ウェス・モンゴメリなのです。
♪ Opening 2 ♪
♪ Four On Six ♪
(訳注:以下ウェスに関係のない話なので割愛するが、演奏曲名だけ列記しておく。)
♪ Blue Monk ♪
♪ No Smoking ♪
♪ We Are Standing Alone ♪
♪ Blues Up And Down ♪
♪ Twisted Blues ♪
♪ West Coast Blues ♪
このスタジオ・ライヴは1965年6月20日、1時間45分にわたりオン・エアされた模様。
【追記】2001/7/29 ニュース速報29号
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