ダイアのL5(L5 of the "diamond model")
真珠貝で【WES MONTGOMERY】の名前とトラン
プの【◆】がインレイされたこのカスタム・メ
イドのギブソンL5は、成田氏がギブソン社の
古参スタッフと親しくしているギタリスト、ハ
ル・タカウチ(高内春彦)氏から99年1月に聞い
たところによると、やはりウェスのために1台
しか製造されなかったとのことです。
巷ではギブソン社がウェスにプレゼントしたと
いうのですが、〈jazzLife〉4月号で[特集]愛
しのマイ・ギターで成田氏がインディアナポリ
スのセレーン未亡人(現在は再婚している)宅に
訪問し撮影した写真を、彼のご厚意に預かりこ
のページにも掲載させていただきました。
成田氏は実際このダイアのL5を手にとられ
ているので、彼の感想をお知らせします。
「さしあたり、現物を手にしたり弾いたりし
た時の感触を以下、記しておきます。」
1、最近の量産機種よりやや軽く、ネック部
も同様、思ったより細い。ウェスがギブ
ソン社に注文をつけたのでは、と憶測で
きます。
2、外装には目立った傷もなく、きわめて美
しい。
3、夫人は「『ロード・ソング』で弾いたギ
ターよ」と明言した。ただし、他にいく
撮影/提供 成田正
つかの勘違いが確認できたので、私自身はあまり強い表現での文章化を避けています。
「夫人の記憶によれば」といったところがベストでしょうか。
4、さらに夫人によれば、「弦を張り替えただけで、ストラップの長さはウェスが使ったままの
状態」とのこと。
私 (身長 170センチ) が背負ってみたところ、ストラップが長いため、ギターのボディが股
間のあたりまで来てしまいました。SJ誌の写真は、ボディを持ち上げて撮影しました。
つまり、ウェスの上半身が、「大きめ」「太め」だった証でしょうか。
5、取材日 (98年6月15日)、セレーヌさんは「あと1週間もしないうちに、孫がL-5を引き取
りにくる予定です」と言ってました。
これよりは私の感想になるのですが、ウェスがこのダイアのL5をギブソン
社より贈られたのは未確認ながら64年と思う。
というのは、97年出版の【ジャズ批評 No.90】ウェス・モンゴメリ大全集の1
ページに掲載された "シェリーズ・マン・ホール" での出演風景を撮った写真
にはハッキリとダイアのL5が確認される。
それ以前の写真には見られないが、64年に盤権がリヴァーサイドからオルフェ
ム、そしてウェスが亡くなった年の68年にABCに譲渡され初めて、
《The Best of WES MONTGOMERY/RS 3039》でジャケットに使用された。
ひとつだけ気になることがある。インレイの目的は装飾だけでなく指による磨耗を防ぐために行わ
れているが、〈jazzLife〉4月号でインレイのアップした写真を観て、名前とダイアはボディに直
接インレイしているのではなく、いったん菱形の大きめの硬いプレートにインレイし、それをボテ
ィに埋め込んでいるのが確認できる。
しかし、そのエッジ部分の処理がやや雑っぽく見え、塗装もつながってないようだし使って痛んで
るのかもしれないが、どうもギブソン社の仕事のように思えない。
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