5アザーズのL5 (L5 play with "Montgomery Brothers and 5 others")
ウェスが最初にL5CESを手にしたのは、恐らく1950年
中頃と思われる。
その証拠のひとつに《5アザーズ》のアルバムで弾いたと思
われる写真がジャケットに使用されている。
ピントが甘く、はっきりとは確認できないが【アルニコV/
dogear(犬の耳の形をした取付け枠)】のピック・アップら
しき影がみえる。
それが、”A・イングラム著/小泉清人訳”の【ウェス・モ
ンゴメリ】の19ページにある写真では、そのL5CESの姿がはっきりと確認できた。
写真左下はダンカン・シュイエットがインディアナポリスにある”500ルーム・エセックス・ハ
ウス・ホテル”にオルガンのメル等と共に出演した1959年の撮影である。
この写真に残るL5CESには【アルニコV】のピック・アップが取付けてある。( 写真では丸い
ものが3個見えますが、これは弦との間隔調整用の丸ねじが光っているのだ。)
これを《5アザーズ》で使用されたものと同一とする理由は、このギターに取り付けてあるストラ
ップを見ると、長さ調整された余長の端が下に垂れ下り、しかもネックからの位置もおなじである
ことから判断される。

次にこの《5アザーズ》のL5CESをレコーディングに使ったのが《ムーヴィン・アロン》で
あり、右上の写真を観るとフロントのピック・アップが【アルニコV】であることがはっきりと確
認できる。
ウェスはこのL5CESをとても気に入っており、新品を購入せずピック・アップの取り替えを
おこなっていたようだ。
写真左下、1961年にアベ氏がウェスとコルトレーと共演した時の撮影(右側にいてるはず)をキング
・レコードのジャケットに使用したピック・アップ部分を写真右下に拡大してみた。
何と、フロントに【P90】をリァに【アルニコV】を取付けている。このことで想像できるが、
ウェスは絶えずサウンドに気遣い、アンプのみならずピック・アップもこのように取っ替えひっか
え、ステージやレコーディングの環境に合わせピック・アップ・セレクタにより、時には曲により
ピック・アップを使い分けていた可能性もあるが、知られている限りウェスはたとえダブル・ピッ
ク・アップであってもフロントしか使わないので、リァは取替える必要がなかったとみるのが妥当
なところであろう。
ウェスの試行錯誤は繰り返され、《5アザーズ》のL5CESはその後《グルーヴ・ヤード》や
《ジョージ・シアリング・アンド・モンゴメリ・ブラザーズ》にも使ったと思われるが、1962年に
なって2本目のL5CESを購入し《フル・ハウス》や《ボス・ギター》のレコーディング風景に
観られるボディの切りこみが尖ったフローレンタイン・カッタウェイでピック・アップも【ハムバ
ッカー】を2基搭載したPAFモデルの新型に持ち替えている。

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