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10/06/03 Fijeac(7:52)〜Cajiac(17:18) 30.5km 快晴

「続四国遍路との違い」 
 昨夜、市川さんとお遍路について体験を話し合った。市川さんは四国八十八ヶ所をこの冬40日かけて徒歩で巡拝されている。そのとき、それぞれのお寺で3回真言と般若心経を上げられたそうだ。また、道端に地蔵さんがあれば、必ず3回南無阿弥陀仏ととなえて回ったそうだ。わたしは、徒歩で3回、バイクで2度回ったが、いまだ、真言も般若心経も上げることができない。お寺に着いたとき、本堂と太子堂の前で手を合わせて『歩かせて(参らせて)頂いてありがとう』というだけだ。
こちらへ来てからも市川さんは教会があれば丁寧に見て回る。道端の十字架にも丁寧にお辞儀をしている。彼には祈りがあり、私にはない。(言い切れるかな?)
 Figeacには大きな教会が2つある。一つは川の側にある11から13世紀に出来たもの。もう一つは丘の上にあり、その基礎は13世紀にできたEGLISE NOTRE-DAME DU PUYである。市川さんは教会に入ったきりなかなか出てこない。出てくると、教会に正面の絵に最後の審判を見て何かを感じたという。私も再度入って正面の大きなスクリーン(説明書では17世紀の制作)の下部には男たちが言い争っている図、上部にはマリアの像が画かれているらしいことは分かるが、私には何も感じない。それよりも、正面に大きなスクリーンがあることに驚いた。
 市川さんが、この巡礼の道で何を感じ取っていくか興味深い。 蛇足ながら、私がこの旅に枕の友に持ってきた本は、梅原猛の「空海の思想について」と紀野一義の「般若心経を読む」である。
 きょうは標高194mから391m間を淡々と歩く。9時を過ぎると日差しが強く夏真っ盛りと言う感じだ。木陰に入っても涼しくならない。昼食が喉をと通らない。そんなとき(14:22)快晴の空の1条の雲が金色に輝くのを見た。
きょうのGITEは熟年夫婦と私たち2組だけ。1人9ユーロー。

11/06/03 Cajiac(7:20)〜Limogne(13:15) 18km 快晴

 朝、出発準備をしているとGITEの前をNasbinalsからConquesの間で見かけた青年がわれわれに気がつき、近寄って挨拶をしていった。きょうは2人連れだ。
 きょうも暑い。朝食が喉を通らない。 40分ピッチで歩く。低地は森林地帯が多く木陰があるのがせめてものすくい。6月がこんなに暑いとは。早々に予定を変更し、Limogne泊まりとする。
 夕食は手作りでやっと喉がとおる。
 GITE7ユーロ、食料22.46ユーロ。
 食堂で食事をしていると、またまた、聞かれました。宗教は?なぜ歩いているのですか?
二人とも仏教徒です。わたしはスポーツと答え変な顔をされました。市川さんはORAISON(神への祈り)と答え納得してもらえたようだ。

12/06/03 Limogne(7:08)〜Vayalte(11:42) 15km 快晴

 あすの日程のことを考え、きょうの泊まりは巡礼道から1.5kmほどずれるが、Vayaiteにする。宿泊地の情報は昨夜のGITEのおばさんにMonastere(修道院)なら泊めてくれるでしょう、という一言を頼りにやってきた。村の近くにきたところで、パトカー私たちの側に近づいてきたにで何事かと身構えると。髭を生やした男の人の写真を見せて知らないかという。フランス人の男の人で髭を生やした人はたくさんいるし、巡礼道で挨拶を交わした人もいるが、自信がなかったので、よく分からないと答えた。パトカーも人がほとんど歩いていない道なのでわれわれにも聞いたのだろう。
 修道院は簡単に見つかった。最初に受付してくれた方が親切な方ですぐOKしてくれた。荷物を担いで受付へ行くと予約のない方はだめだという。最後は院長らしき人がこられてOKしてもらえた。しばらくして、気がついたのですが、ここは、女性の修道院で広い庭の風のよく通る大きな木陰の下で2組女性たちが、静かに談笑をしていた。
 夕食の時間まで部屋にいたがほとんど物音がしない。心しずかに過ごすにはこんな場所かな。と思った。
 7時前に小さな木彫の食堂へ行くと、8人が座っていた。いずれも旅行者風である。(後ほど、2名の巡礼者が食堂に入ってきた。)夕食は、ポタージュ、トマトと米のサラダ、ハム、ワイン、そして、パン。デザートはチーズにサクランボ。すべて自家製でしょう。味もよくて大満足でした。朝食も含めて、一人16ユーロとはもし分けない。

13/06/03 Varaire(7:40)〜Cahors(15:12) 23km 

 今朝の食事は昨夜と同じ食堂。やはり他人の作ったものはおいしい。
 きょうの道もあまり高低差のない森林の中を歩く。1000年前もこんなだったかと思わせる道だ。
 道中、ルクセンブルグから来た人と挨拶をかわしたり。GolinhacのGITEで一緒だった人と再会したり。ドイツの2部のサッカーチーム(Spvgg-Unterhaching)に勤めるフランス娘と言葉を交わした。ここに来て初めて日本人の巡礼者を見かけた。単調な道をあるいているとこんなことがうれしい。
 Cahorsに近づくとわくわくしてくる。丘の上から見下ろすと、U字型に街を囲んで川が流れ、鉄道の線路も見える。赤い屋根が対岸のなだらかな丘の上の方までせり上がっている。教会の建物、橋の上の3つの大きな塔。
 この日のGITEはひょんなことから決まった。GITEの場所を聞いた人がそこに泊まっていた人で、坂をどんどん上がり、道を何回も間違え、路地の奥まったところにあるのが本日にGITEだ。受付の人が2年前に日本のテレビ局が取材に来たそうだ。ここのGITEは希望者に夕食が用意される。(食事つきで17.5ユーロ)
 シャワーを浴びて街へ出た。ビールが飲める。トラベラーチェックが換金できる(銀行はあってもしまっている場合の方が多い)。この街も丘の上と下に大きな教会があり、下の方はひっきりなしに人の出入りがあり、背後の頭の上から聞こえてくるパイプオルガンの音に圧倒される。
食事中に例の質問がでた。フランス人の男性はスポーツと答え、ほっとした。

14/06/03 Cahors(6:20)〜Labastide-Marnhac(13:59)  快晴

 今朝も食事が喉を通らない。とにかく、出発する。
ピッチが上がらない。涼しいうちに距離をかせごうと早立ちしたのに何にもならない。市川さんはいつもと変わらない。そんな時、道を間違えてしまって2時間もロスをしてしまった。昼食の時、次の村からバスがありそうだから、バスで行くので先に行ってもらった。万一、バスが動いていない場合は2日後にMoissacのGITEで会うことを約した。
 2時前に村の公民館のバスストップの前に着いたが、バスの時刻表が消えてしまっている。近くでたむろしていたバイクに乗っている少年たちに自分たちは朝、学校へ行くためにバスに乗っている。というので、帰りのバスがあるはず、と7時過ぎまで待ったが、バスは来ない。きょうは土曜日、ひょっとして明日も、と思いながら公民館の軒を借りて野宿する。この写真は、村の教会で結婚式を挙げるために公民館に集まってきた花嫁さん。この日、唯一の写真。

15/06/03 Labastide-Marnhackara〜Cahors〜Toulouse 曇りのち晴れ

 6時過ぎ、寝床を片付けているともう通りかかる巡礼者がいる。先日、出会った顔見知りの人だ。
 近づいてきて、しきりに、気をつかってくれる。大丈夫だからと言って、行ってもらう。しばらくすると少年たちも集まってきた。きのう見かけた少年たちだ。女性もひとりいる。近づいてきて軽口を交わす。もちろん電子辞書がたよりだ。そうしてるうちに、きょうは日曜日なのでバスは動かない。車でCahorsまで送ろうという。7時過ぎにはCahorsに戻ることができた。     Moissc方面行きのバスの便を調べて見たが分からなかったので、きょうは列車でToulouseまで行き、明日、Moissacに行くことにする。
Toulouseは大きな街だ。さっそく、St. Serninへ向かう。途中、Jeanne d'Arcが甲冑を着て馬に乗り槍を構ええいる像があった。St.Serninの近くに来ると、建物のすきまから写真で見たことのある塔が見え、気持ちを高めてくれる。この日は縁日が立ち、教会の周りに幾重にも露店が並び、なかなか正面入り口にはたどりつくことができなかった。St.Serninはフランスで最も古い教会の一つだということを読んだ記憶がある。来ている人も色んな国の人がおり、アフリカ系の人も多かった。聖地という雰囲気がただよう。夕方、再度、訪れると露店は片付けられ、広い教会の中はミサのために集まってきた人達でいっぱいで、賛美歌らはじまるミサは荘重なものだった。
 向かいのミュージアムの遺跡類の展示物も見ごたえがあった。

16/06/03 Toulouser〜Moissac 晴れ

 いてる、いてる。いてるじゃないか。1時過ぎにToulouseを列車で出発し、2時前にここMoissacに着き巡礼道で市川さん待ち伏せをし、驚かせようとしたところ、ゆうゆうとレストランで食事をしている。しかも、フランス人と仲良く。不安が一気に吹き飛んだ。今朝、6時に出発し、12時にはもう着いてたそうだ。このフランス人はLimogneのGITEで見かけた方で一昨日から一緒だったそうだ。思わず彼に感謝の言葉がでた。"Merci beaucoup."
 私の健康も回復したので明日は予定の休息日をとらずに出発することを決める。
Moissacは落ち着いた街だ。商店も休んでいるところが多く、活気がないとも言える。ここにも大きな教会がある。教会の中に入るまでにドームがあり、柱の上部の彫刻が見事だ。中に入ると壁面が黄色い模様のタイルのようなものが貼り付けられているのに驚かされる。アラブ風と言った感じだ。人によって好みの分かれるところだろう。
 今夜の泊まりは、Labouneeさんの案内で教会だ。朝食込みで11ユーロ。
(写真は、ホームページのアップ・ロードを気持ちよく承諾してくれたMoissacの教会の人)


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