Wes Montgomery / Live at Newport '67
アルバム名 : Wes Montgomery Live at Newport '67 
アルバム番号: PARADOX 630930
リリース国 : EU
リリース年月: 6/2014
メディア  : CD


Wes Montgomery(g) Buddy Montgomery(p) Monk Montgomery(b) Billy Hart(dr) Elvin Bunn(cga)
                14th. Newport Jazz Festival, Newport R.I.; July.3, 1967
                 Introduction by George Wein   [0:39]
                 Naptown Blues                 [7:36]
                 Goin' Out of My Head          [2:23]
                 Tquila                        [6:48]


2014年6月30日リリースと予告があったが、実際にはウェスの命日あたりで出回っていたようであ この音源はアメリカの【Concert Vault:コンサートの宝庫】なる音楽全般にわたる有料のダウンロ ード・サイトで日の目をみた。 その貴重な音源は、ロードアイランド州で恒例のニューポート・ジャズフェスティヴァルでウェス ・モンゴメリをリーダとした1967年モンゴメリ・ブラザーズによる演奏である。 時代的にはウェスがA&Mに在籍をしながらにもモンゴメリ・ブラザーズとして再結成の面々にドラ ムスとコンガを加えたもので、1968年デトロイトでの "ピープル・イン・ジャズ" というテレビ番組 に出演した映像がYou Tube で観られるが、《Live at Jorgies and More/Wes Montgomery/VGM-0008》 のレコードとも同じメンバーである。 なにより、この3曲はヴァーヴやA&Mには見られないライヴの雰囲気たっぷりにバック・グラウン ドがら解き外されたウェスののびのびとしたプレイとバックの兄弟たちとの息の合った演奏に引きず り込まれるあっと言う間の17分間である。 〈Naptown Blues〉ではバデイのソロにに続きウェス、そしてモンクへとつなぎウェスとビリーの12 バースの掛け合いの後テーマに戻る、この録音最高の出来を見せる。〈Goin' Out of My Head〉は テーマだけで終わるが最後の〈Tquila〉はレコードでは聴けないウェスの迫力あるプレイに続きエル ヴィンのコンガ・ソロも加えラテンの雰囲気を十分堪能させるライヴである。 若干ニューポート・ジャズ・フェスティヴァルの歴史に触れておくが、ロードアイランド州ニューポ ートで毎年夏に開かれ、ジャズ・フェスティヴァルの草分け的存在である、イベント・プロモーター のジョージ・ウィーンによって1954年に始められた。(注: 創始者にルイとイレーン・ロリラード夫婦 との異論もある。) 第一回としてこの年の夏フェスティヴァルは、テニス・カシノ(別名ニューポート・カシノ)芝生の テニスコートにて開催されている。 1960年、会場に入れなかったファンが暴徒化したことで1961年は開催されなかった。 1962年第8回から再開されたが、1971年のフェスティヴァル2日目、会場に入れなかったファンが 10年前と同じく暴徒化し、フェスティヴァルは中止となり以後1972年より9年間、開催場所をニュー ヨークに移した。 「ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル/ニューヨーク」となったがニューポートの名前は継承 された。 1980年になって煙草のクールがスポンサーとなり「ザ・クール・ジャズ・フェスティヴァル」に改名 されたが1986年より日本ビクターがスポンサーとなり、名称は「JVC Jazz Festival Newport, R.I.」 となった。 また、姉妹フェスがニューヨークを始めとする複数の都市でも開催されるなど、日本でも斑尾高原に てこのフェスティヴァル名を冠した「ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル・イン・斑尾」が 1982年から2003年まで開催された。 これら、初期のフェスティヴァルのほとんどは、ラジオ局のボイス・オブ・アメリカによって放送 され、様々なレーベルからリリースされた。 《Miles and Monk at Newport》や《Ellington at Newport》それに1958年の模様は、映画「真夏の 夜のジャズ (Jazz on a Summer's Day)」で1960年に公開された。 前年のエラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイ、カーメン・マクレーのパフォーマンスは、 アルバム《Ella Fitzgerald and Billie Holiday at Newport》として1958年にリリースされている。 1956年には穐吉敏子が、1965年の第12回には弘田三枝子が日本人として出場しており、この年の7月 4日にウェスはケリィ・トリオと出演していた。 その様子が写真では多くみられるが、音源は発見されていない。 ところが1967年に出演したモンゴメリ・ブラザーズのライヴ音源がこのようなダウンロード・サイト で扱われていたことは真に「瓢箪から駒」驚きの大発見となった。 放送局から流出したものか、エア・チェックされたものかは不明であるが、バランスと録音はそれなり に満足できる内容である。 この1967年のニューポート・ジャズフェスティヴァルでは、ウェスらの前日、7月2日に出演した ブッカー・アーヴイン・クウォーテットの音源が同じCDに挿入されたが、ジャズフェスは6月30日 から7月3日の4日間開催された。 初日の主な出演者は、カウント・ベイシー、ジョー・ウィリアムス、セロニアス・モンク、ディジ イ・ガレスピー、マックス・ローチ、MJQ・・。 2日目は、ディジイ・ガレスピー、ハービー・マン、ガボール・ザボ、バディ・リッチ、ゲイリー ・バートン、ラリー・コリエル、ニーナ・シモン、アール・ハインズ・・。 3日目は、面白い趣向があり "ヴァイブ・ワークショップ" という名目でミルト・ジャクソン、ゲ イリー・バートン、ライオネル・ハンプトン、レッド・ノーヴォ、ボビィ・ハッチャーソン、の競 演にビリー・テイラー・トリオが加わったのか、そして原信夫ひきいるシャープス・アンド・フラ ッツもこの日に出演している。 他にマイルス・デイヴィス・クウィンテット、マックス・ローチ・クウィンテット、ビル・エヴァ ンス・トリオ・・。 4日目にウェス・モンゴメリ・トリオとしての記録物がみられるが、ひょっとしたら今回の音源以 外にトリオでの演奏もあったのか・・どうか、それで前述のMCがそのように紹介したのだろうか。 最後に1968年にもウェスが出演するというパンフが流されたが、開催はウェスの死後になったとい う事実もある。 他にもウェスのフェスティヴァル出演記録で、1968年4月20日にカリフォルニアのバークレイ大学で "U.C. Jazz Festival (University of California, Berkeley)" ではクウォーテットで参加したとい う記録もあるが、果たして音源は存在するのか。 (注: バークレイ大学は西海岸であり、東海岸にある音楽大学のバークリーと間違わぬよう)