ニュース速報 No.118(2015.4.1号)


ウェスがグレッチのギターを


ニュース速報No.99(2010.7.17号)ウェスがディアンジェリコのギターを?・・で掲載したが結果的に 確たる物的証拠はつかめなかった。しかし、このたびはウェスがグレッチのギターを抱えている写真 がある。 気づいたファンもおられるかもしれないが、実はこの3月5日にリリースされた《Wes Montgomery in The Beginning-Early Recordings from 1949-1958》に添付されていたブックレットの裏表紙に使 われた写真、これがそのグレッチのギターである。 既にこのCDを買われた方はもう一度確認して戴きたい。撮影時期はおおむね1955年か56年、ターフ・ バーでのモンゴメリ・ジョンソン・クウィンテット、横からモンクのフェンダー・エレキベースも見え る驚きのワン・ショットである。 この1955年-56年をグレッチのモデルにあてはめると仕様は以下の通りになる。
1953-61 GRETSCH #6128 Duo Jet ボディトップはマホガニーを使った厚み2インチ、幅13.5インチのソリッド・ボディのシングルカッタ ウェイ、ブラックである。 その他の特徴としてピック・アップは2PUのダイナソニック(ディアルモンド社製53年〜58年)ブリッジ はシンクロソニック(55年以降)、テイルピースはGテイルピース・クローム(50年代以降)ピックガード はジェット(50年代)となる。 何故、ウェスがグレッチのギター持っているのか・・まず最初に聴かれたそのグレッチのサウンドは、 2012年3月にリリースされた《Wes Montgomery/Echoes of Indiana Avenue》に挿入された一曲 Wes Montgomery(g) Earl Van Riper(p) Mingo Jones(b) Sonny Johnson(dr)             Live at "Hub Bub", Indianapolis; period 1957-'58 After Hours Blues(Improvisation) ライヴの合間の余興かおふざけのように聴こえる〈アフター・アワーズ〉、このR&Bのペラペラなサ ウンドがもしかしてグレッチではなかったのか、と思い起こさせた。 ウェスはこのハバブでのライヴと同時期に他でもR&Bバンドのジミー・コーやロニー・ヘイグのレコ ーディングに参加している事実がある。 ここでのサウンドはセカンド・ギター、いわゆるリズムを刻むだけのものがほとんどだが、当然ながら ぺラぺラのものである。 ウェスのギターについてモンクの証言がある。 「ウェスは自分のギターやアンプそれに技量において絶えず探究心を抱いていた。」と言う事は本当は ジャズの傍らR&Bも捨てきれないところがあり、R&Bバンドに参加する時や演奏する時はそれなり のサウンドが出なけりゃ納得できなかったのであろう。 思うに、ウェスが抱えた写真のグレッチは、人から借りたものではなくおそらくウェス自身購入したも のと思う。 モンクは「最終的にはギブソン以外に目もくれなかった。他のギターで満足できるものがなかったから だと思う」と言うが、つまりはウェスが60年代以降売れ、それにつれジャズ路線で活躍しコマーシャル 路線へと進むなかR&Bへの愛着心もあったと思うが50年代のような好き勝手なことはできず、グレッ チは二度と持つことはなかったことになる。