ロカビリアン ロニー・ヘイグとウェス・モンゴメリ
2010年にアメリカのあるブログで、【ロニー・ヘイグのレコーディング・セッション
〈 Don't You Hear Me Calling Baby〉 とウェス・モンゴメリの関係】が掲載されていた。
ここに、ロニー本人も投稿した興味深い話を紹介します。
ウェスが50年代にロックン・ロールのバンドで演奏したことは当サイトのニュース速報
【No.36 (2002.1.1号) 新春特報 ウェスはロックンローラー?】続いて
【No.66 (2004.1.3号) 続新春特報 ウェスはロックンローラー?】や
時代別アルバム」の「パシフィック・レコーディング」の
【10.Note Recordings / Note-10010....Note-10014】でも掲載しましたが、今年7月には
【No.130 (2020.7.11号) ウェスはロッカーの夢を見た】ではウェスがレコーディングに参加した4枚
のEP盤について詳しく掲載しました。
レコーディングに参加した事実は明々白々でロニーや関係した人の証言が何よりの証拠である。
ロニー・ヘイグ (Ronnie Haig) は1939年3月21日、インディアナ州インディアナポリスでロナルド・D・
ヘイグ (Ronald D. Hege) として生まれた。
1953年から57年まで工業高校に通い、6歳のときにギターに興味を抱き、16歳で自作の
〈Five Bucks and a Sandwich〉でギグに参加し、57年にGibson ES-295 Goldを購入し、今なおそのギター
を使っている。(本人は当時限定50本のうちの1本と確信しているようだ)
ロニー談: ロニー・ヘイグのサイトより
「僕は50年代/60年代のロックン・ロールを仲間たちとインディアナポリスの南側にあるファウンテン・
スクエア(噴水広場)のファウンテン・ルームという所で毎週金曜日と土曜日の夜に出演し、満員のファン
がストロールやツイストを踊っていたことを思い出した。
当時は特殊な効果や照明にはあまり時間をかけず、花火も必要なかった。唯一の花火はバンドの楽器と口
から発したもの(訳注: ヴォーカル)だった。これ以上のバンドは他にない、実にいい時代だった。
レコーディング契約にこぎつける活動では、派手なテクニックは必要ではなく誰も仕掛けや奇異な音を求
めていなかったということだ。
それで、僕は盗むと言えば人聞きが悪いが、聴いて良いと思ったテクニックを自分のものとして更に磨き
を掛けることで上達への道が開けたんだと思う。
それに弾きやすいギターがあれば百人力なんで、欲しいギターが見つかるまでいろいろと探した結果、
57年に月々21ドルのローンを組んで、Gibson ES-295 Goldを購入した。
アンプの選択は、僕が意図としたものではなく、チャック・ベリーやバディ・ホリーなど、当時の大物ア
ーティストの写真をチェックしてみると、誰もが使っていそうなフェンダー・ベースマン(エフェクター
なし)なんだか、何か特別なものがあるように思えたんだ。
そのアンプは、60ワットで4個の10インチのジェンセン・スピーカーなんだが、寝室の窓ガラスをビビら
せることもなかったね。
この年、僕は4人編成のトワイライターズとしてインディアナポリスのチャンネル8に出演しており、ま
だレコーディング契約は何処とも取れていなかったが、〈All day, all night, Mary Anne〉という古い
気合いの入った曲を演っていた。
Gibson ES-295 Goldは、その時点でまだ数週間しか経っていなかった頃の話だ。
そして学校や独学で得た音楽の知識やギグでの経験を活かし、まずここインディアナポリスの
"NOTE Records" に1958年2月に入ったが、この時の名前はまだロナルド・D・ヘイグ (Ronald D. Hege)
だったがのちにオーナーのジェリー・ハーマンがロニー・ヘイグ (Ronnie Haig)へと改名させたんだが、
その後30日足らずで認められて "ABC Paramount Records" に移籍した。
シカゴ、イリノイ州のミシガン通りにある世界的に有名な "Chess studios" (訳注:実際は、Jack Sheldon
Studiosです)を初期の作品に使うことができたのは素晴らしいことだった。」
ロニーは初めてとなるノート・レコードのレコーディング・
セッションのためにシカゴにあるジャック・シェルダンのス
タジオで、1958年2月18日火曜日、深夜0時から朝6時まで
に4曲を録り終えた・・ウェス等とのセッションやチャック
・ベリーとの出会いも含め以後の状況は上述のニュース速報
などに掲載しているので割愛する。
(左のEP盤 NOTE-10013 Jimmy Coe and The Cohorts
sideA:WAZOO sideB:SHUFFLE STROLL;
ロニー・ヘイグ本人から譲っていただいた。
自筆のサインと場所のメモ書きには Jack Sheldon Studios
で1958年5月録音とある)
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投稿: ロニー・ヘイグ
あの2月18日の午前3時、僕は人生で最もスリルに満ちた時間を過ごした。自身にとっては成長期と言える
が全員がレジェンドでテナー・サックスのジミー・コー、アルト・サックスのプーキー・ジョンソン、リズ
ム・ギターのウェス・モンゴメリ、グランド・ピアノのヘンリー・ケイン、スタンド・アップ・ベースのウ
ィル・スコット、このスタジオでは多くの演奏をしたが、このセッションが今でも一番気に入っている。
チャックとの出会いも彼が覚えているかどうかは分からないが、でも僕は100歳まで生きても絶対に忘れな
いよ。
God Bless CHUCK! そして、全てのギターピッカーが憧れるような素晴らしい経験をありがとう。
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投稿: ロニー・ヘイグ
シカゴのスタジオにいたのがつい昨日のことのようだ。
ノート・レコードのために1958年2月に4曲を録音したが、そのうち2曲は3月に移籍先のABCパラマウント
にも収録されることになった。
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投稿: ロニー・ヘイグ
友人のウェス・モンゴメリがギブソンL5を弾いていたことが、インターネット上で話題になっているが
1958年にシカゴの南ミシガン・アヴェニュー2120にあるスタジオでウェスとレコーディングしたとき、彼は
シングルのP90ピックアップをマウントしたサンバーストのギブソンES-175で弾いていました。
そのギターは、インディアナ・アヴェニューとオハイオ通りの角にある【サックス・ブラザーズ:Sacks Bros】
で購入したものだ。(訳注: オハイオと名のつく通りは何か所かあるがインディアナ・アヴェニューと交差する
場所が見当たらない)
ウェスは、寝室の窓のすぐ外にある玄関ポーチの屋根の上で練習していた。彼の奥さんが、子供たちが眠れな
くなるからストレート・ピックをやめるように言ったんだ。(訳注: 離れた奥の部屋と聞いていたが、屋根の
上・・猫じゃあるまいし)
ウェスはいつも楽しんでプレイしていた。ギターの革新に関してはマジシャンのようだった。
ギターを巧みに扱い、親指のピッキングはソフトながら大音量が出せ、オクターヴのストロークは他にはない
ものだ。絶対にね。
僕たちは、いくつかのロックン・ロールのセッションでよく一緒に仕事をした。そうジャズではなくてね。
ウェスはいつも、『僕が君と演ったことは誰にも言わないでほしい』と言っていた。彼はセッションで稼ぐ50
ドルのためだけにね。あれだけ子供がいれば、養うのも大変だったと思う。
ウェスが何を誰と演奏するかは関係なく、セッションを楽しんでいたよ。
何ならストレート・ピックの使い方を教えてやると言ったんだが、彼は『ダメだよ、ママが許してくれない
よ!』と言っていた。
僕はウェスと知り合えて幸運だった。彼が録音した〈Windy〉はとても素晴らしい、一番好きだね。
僕はここインディアナポリスのレイモンド・ストリートとチャーチマン・アヴェニューの角にある墓地に何度
も墓参りしている。墓石は東端【ウェス・モンゴメリ並木路:Wes Montgomery Blvd.】にある。
ぜひ、カメラを持って立ち寄ってみてください。
彼の有名なギブソンES-175は、そのピンクの大理石の石に刻まれている。
ウェス・モンゴメリと一緒に仕事をしたことを誇りに思う。
(訳注: ニュー・クラウン墓地にあるウェスの墓石に刻まれているのはL5です)
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投稿: Unknown
メル・ラインとの最初のアルバムでは、ES-175にチャーリー・クリスチャン・
ピックアップを付けているようなジャケットですが、ピックアップは確かだけ
ど、ギターはよくわからないよ。
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投稿: ロニー・ヘイグ
ウェスが【サックス・ブラザーズ:Sacks Bros】の質屋から中古で買ったものは
P-90ピックアップをひとつマウントした ES-175だった。
僕と共演したすべてのセッションで、彼はこのギターを使っていたよ。
アンプは1956年製のフェンダー・ベースマン・アンプ、60Wの真空管式で10イン
チのジェンソン製スピーカーが4つ付いていたものを使っていた。僕も同じよう
なものを使っていたが、チャック・べリーもそうだった。
あなたの質問に答えられたでしょうか?
写真左: 1956 Fender Bassman 5E6
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以上、興味深い部分を掲載したが、ただ、残念なのはこのEP盤4枚のレコーディングでソロ演奏はなく2nd.
ギターという立場からコンピングに徹しているが、サム・ピックだということも聞きわけはできない。
ロックン・ロールのファンでない限りCD化されていても・・・あえてお薦めはしません。
とりあえずそのCDのタイトルは記しておくが、8曲中6曲が収録されている。
Ronnie Haig / Rockin' With Rhythm and Blues / Redita RRCD-147
YouTubeで掲題の・・Don't You Hear Me Calling, Baby・・が聴ける。
エルビスのプーさんより私はロニーの声のほうが好きだな・・。
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