Montgomeryland/Pacific Jazz PJ-5
アルバム名 : Montgomeryland
アルバム番号: Pacific Jazz PJ-5
リリース国 : U.S.A.
リリース年月: 7/1960
メディア  : LP


Wes Montgomery(g) Harold Land(ts) Buddy Montgomery(p) Monk Montgomery(b) Tony Bazley(dr)
                                                                Los Angeles; Apr.18,1958
          Far Wes                          [5:50]                
          Leila                            [3:27]                            
          Old Folks                        [6:34]                             
          Wes' Tune                        [4:07]                             
note: There is another data as reference. "Forum Theater, Los Angeles; April 24, 1958" 


Wes Montgomery(g) Pony Poindexter(as) Buddy Montgomery(p) Monk Montgomery(b) Louis Hayes
(dr)
                                                                   Los Angeles; Oct.1959
          Monk's Shop                      [3:50]                             
          Summertime                       [4:49]                                      
          Falling In Love With Love        [6:12]                                      
          Renie                            [3:30]  
note: There is another data as reference. "Los Angeles; Oct. 1, 1959"                                     
                        

 《モンゴメリランド》、なんとも洒落たタイトルですね。 直訳すれば、モンゴメリ園とかモンゴメリ界となるのでしょうが、それに引っ掛けモンゴメリ兄弟 と、特に親しくしていたしていたハロルド・ランドの名前を重ね 、《モンゴメリ/ランド》という アイデアを思いついたのではないでしょうか。 ウェスの音楽的センスついて…  彼にみられる強烈な独自性はその技術にお 新たな曲を覚えるのに『曲を聴けば』、とウ いて正式な教育を受けなかったこともあるが ェスは説明する。『自分自身のスタイルに合 、一番の特徴はピックの利点を無視し、自分 わせて、全体の感じをつかむんだ。一番難し 自身のギター・サウンドを築きあげるために いのは途中で転調が自然に組み込まれている 親指を駆使したことにある。 メロディを覚えることなんだ』。ウェスがコ 弦を弾く信じがたいスピードに加え、ウルト ードを暗唱できないのは『ギターでならでき ラ級のオクターヴ奏法を交えたインプロヴィ るさ』、正統ではない音階でなら彼は演って ゼーションでの、一見簡単そうにみえるプレ みせるがというのも、ウェスは他のギタリス イに耳を傾けてほしい。 ト達とは全く違う覚え方をしているからであ そして崩落の崖っ淵まで追い詰められながら    る。  も豊富なアイディアを持ち、ちょっとした音    その彼の独学プレイが、あらゆるジャズ・ギ 楽的手腕の閃きで、彼がどれほど頻繁に自分    タリスト達に自らのスタイルの可能性を再評 自身の窮地を救ったかに注目してほしい。     価させる原因となり大きくとりざされたのも それは、機知や驚愕といった未知の領域に挑    この時代であったように思う。 戦するだけのメロディやハーモニ、それにリ ズムに対する鋭いセンスがあるのは当然なが ら、高度に発達した聴き分けることのできる 耳を充分に活用しているからである。 
         ウェス・モンゴメリについて更にいえるこ 59年からのものはサンフランシスコのベイ・ とは、ジャズ史に重要な人物となりえるのに エリアで活躍する、若きパーカー派のアルト 必要な条件‥‥耳、センス、ユーモア、熱意 奏者ポニー・ポインデクスターの見過ごされ ‥‥更に音楽的必須条件‥‥スピード、独創 ていた才能に大々的にスポットがあてられて 的サウンド、想像力、ずば抜けたスウィング いるが、彼もまた独学でニューオリンズの通 感‥‥が自然に備わっており、チャーリー・ りでクラリネットを吹いたのが出発点であっ クリスチャン以来現れた最も印象的なジャズ た。 ・ギタリストであることは明白である。 ここでは、ウェスのギターを画面であれこれ                         解説しても無駄なことで、実際自分自身の耳 このアルバムは1年以上間隔のあいた、2    で聴いて理解していただくのが最良であると 回の別々のセッションをレコーディングした    は思うが、注目してほしい曲がある。 もので、58年からのものは渋味のあるテナー    とりわけ〈フォーリン・イン・ラヴ・ウィズ 奏者ハロルド・ランドをフィーチャーしてお    ・ラヴ〉でのウェスのソロは感動的であり、 り、予想以上の好プレイである。         バラッドをブルーズのごとくこなしている奏 しかし何といってもウェスのスタイルにおい    法は、ジャズ・ギター界のニュー・リーダー て、ここに聴かれるプレイと後のセッション    としての存在を世に鳴らし示さんとするだけ を(このアルバムはウェスがリヴァーサイド    の内容を誇るものである。 へ移籍してからの1960年7月にリリースされ たため、このような表現で)比較すると彼の 円熟度に気づかされる。                         
        イギリスのギタリスト、セドリック・ウエ ルイ・ヘイズは、その衰えることのないパワ ストはクレッセンド・マガジンで次のような ーとセンスでメンバーのみんなを驚かせた。 賛美を寄せている。 彼はこのレコーディングのためにアダレイ兄 『この曲におけるウェスはこれまでのジャズ 弟から拝借したドラマーだ(何故ここでキャ 界で、ギターによって演じられたもののなか ノンボールが登場するのか、それはこのセッ で、最も美しいソロのひとつだ。 ションのレコーディング月日が問題とされる フレージング、タイミング、アイディア、サ がそのことについては後の《ア・グッド・ギ ウンド、どれをみてもこの世のものとは思え ッド・トゥゲザー》の項で詳しく説明すると ないほど素晴らしく、特に彼の親指から弾き して、私個人の考えでは10月20日前後のレコ だされるラインは他では味わえないソフトな ーディングではないかと思っている)が、モ サウンドが最高だよ』。 ンゴメリ兄弟はこの好機に素晴らしいチーム ・ワークで演れたことと、ルイと再会できた ことを心から喜んでいた。 =本アルバム・ライナー・ノーツ=参考
    このアルバムについてさらに付記すれば、エイドリアン・イングラム著『ウェス・モンゴメリ』 によると全8曲中4曲がウェスの作曲と記されてあるが実際には〈ファー・ウェス〉〈レイラ〉 〈ウェス・チューン〉〈モンクス・ショップ〉〈レニー〉が、彼によるものであり隠れた一面を覗 かせている。