Bags Meets Wes!/Milt Jackson And Wes Montgomery/Riverside RLP-407
アルバム名 : Bags Meets Wes!/Milt Jackson And Wes Montgomery
アルバム番号: Riverside RLP-407
リリース国 : U.S.A.
リリース年月: 1962
メディア  : LP


Milt Jackson(vib) Wes Montgomery(g) Wynton Kelly(p) Sam Jones(b) Philly Joe Jones(dr)
                                                Plaza Sound Studios, N.Y.C.; Dec.18,1961
          Stablemates (take 4)                  [5:39]                 
          Stairway To The Stars (take 6)        [3:34]                
          Blue Roz (take 4)                     [4:43]                 
          Jingles (take 9)                      [6:56]                 


same personnel:
                                                Plaza Sound Studios, N.Y.C.; Dec.19,1961
          S.K.J. (take 7)                       [5:14]                 
          Sam Sack (take 3)                     [6:03]                 
          Delilah (take 4)                      [6:07]                 
 
Milt Jackson And Wes Montgomery  1961年暮れのある夜、 ミルト・ジャクソン    ミルト・ジャクソンの賞賛は簡単に得られる はこれからレコーディングしようとする2枚    ものではない。 のアルバムについて語った。           彼はジャズ・シーンにおいて非常に率直な意 1枚は≪Statements/Milt Jackson Quartet/    見ををするひとりとして知られているからだ Inpulse A-14≫のアルバムについて、ベテラ    。次の仕事がどこからくるのか、次に自分の ンの貫禄を示しながら突っ込んで話してくれ    サイド・プレイヤーになるのは誰だろうか、 た。                      といったことを気にしている多くの者はどん 「でも、もう1枚のほうは」と、ごく親しい    なプレイヤーについてのどんな質問にも決ま 友人な場合だけ彼がみせる驚いたような喜び    りきった応え方をする。 の笑顔で「ウェス・モンゴメリとなんだ。」    「ああ、彼は上手だよ。」と、しかしジャク この "バグスとウェス" の出会いはレコード    ソンは違う。 では初めてだが、バグスは数年前からウェス    いいも悪いもはっきりとした確固たる意見を のことをを知っていた。             持っており、誰もがジャクソンの基準での価 2年ほど前、ジャクソンがしばらく入院して    値観に従って評価される自分の位置を見出そ いる間、上手く電話を活用していくうちに、    うとしている。 彼の病室は "ウェス・ファン・クラブ" の本    ミルトは、勿論世界でも間違いなく最高位の 部のようになってしまった。           ヴァイブ奏者という説得力ある地位から眺め モンゴメリが "Amazing Jazz Guitar"の称号    ているもので、もし、ウェスが昨年の "New を貰い、数々の賞を勝ち取ったのはウェスの    Star Poll" で3位にでもなっていれば、多 才能もさることながらミルト・ジャクソンの    分もっとウェスのことをいっていただろう。 支援によるものが大きかった。          彼のモンゴメリへの支援はジャクソンという                         名のもとに、より一層の重みをましている。
 ミルト・ジャクソンのプレイは、例えば最    ジャクソンの音楽的本流はブルーズにあり、 も複雑で独創性に富んだディジィ・ガレスピ    今までプレイしてきたブルーズの曲を思い浮 ーと近い関係にあっても、率直さというのは    かべてみると、それぞれのソロが高度で斬新 ジャクソンの信条である。            かつ独創的であることに驚かされる。 彼は "MJQ" のメンバーで音楽的観点から    それが彼とウェスとの間にある、お互いに対 みれば、たぶん主要メンバーである。       する尊敬と愛情の基盤を形成しているのだ。 くどいようだが、 "MJQ" は最も高度で複    2人とも並外れた技術は全くの独学であり、 雑で形式的なグループである。がジャクソン    一番大事なことはフィーリングであると考え はこの編成の総ての試みが必ずしも自分好み    ている。 ではないという事を隠そうとはしない。      この共通性が本アルバムの7曲中、3曲がブ あるいは、ジャクソンと "MJQ" の楽曲担    ルーズの形態をとっている。 当のジョン・ルイスとの意見の相違そのもの    オープニングの<S.K.J.>はジャクソンによ が、永遠に魅力的なグループとして続けさせ    るものだが妻のイニシャルがタイトルになっ る緊張感を創りだしているのだ。         ている。 それがこのアルバムのように形式的なスタイ    <ブルー・ロズ>はウェスの作で、リヴァー ルから離れた、ほとんどジャクソンの息抜き    サイドのあるスタッフの名前がつけられてい と思わせる、ある種ジャクソンの二面性を創    る。 り出しているような作品といえよう。       
 他の曲はともかく、何といっても本アルバム中の逸品は<ステアウェイ・トゥ・ザ・スター>で ある。ジャクソンはジャズ界で数少ないバラッド・プレイヤーの一人でもあり、それは多分彼が本 当にロマンティックな人物だからだろう。 そしてここでは、彼がバラッドに精通していることを十分証明しおり、ウェスはジャンゴ・ライン ハルトを思い出させるような素晴らしいものを持っており、一番のムード音楽を共に創り出してい るのだ。 ところでこれはジャクソンのリヴァーサイドでの初アルバムではない。彼は1958年にキャノンボー ルとのレコーディングを残しており、ジャクソンが言うところの「かなりユーモアのあるアルバム 」だった。そして彼は将来的に興味深いプロジェクトの案を持っていた。 しかし目下の関心はこのアルバムにある。それについてはプロデューサーのキープニュースがこう 語っている。 「我々は最高のブローイング・セッションをレコーディングしたかったんだが、正しくその通りに なったと思う。」控えめな意見だといえるだろうが、少し違うと感じる。 何でもかんでもブローイング・セッションといえばいいように聞える最近の傾向だが、ジャズ・フ ァンの人気レコードの殆どがキープニュースのカテゴリと合致していると指摘したい。 個人的な相互の影響と才能という形の無いものに依存する最高のブローイング・セッションのよう なものは、論議するよりも聴くことに意義がある。だからこれ以上語るのはやめよう。                           =本アルバム、ライナー・ノーツ=参考