Further Adventures Of Jimmy & Wes
アルバム名 : Further Adventures Of Jimmy & Wes
           Jimmy Smith and Wes Montgomery
アルバム番号: Verve V6-8766
リリース国 : U.S.A.
リリース年月: 3/1969
メディア  : LP


Jimmy Smith(org) Wes Montgomery(g) with orchestra arr. & cond. by Oliver Nelson:
Clark Terry(tp.flh) Jimmy Maxwell, Joe Newman, Ernie Royal(tp) Jimmy Cleveland, Quentin 
Jackson, Melba Liston(tb) Tony Studd(btb) Bob Ashton(ts.fl.cl.afl) Phil Woods, Danny B-
ank(bars.bcl.fl.afl) Jerry Dodgion(as.cl.fl.) Jerome Richardson(tfl.afl.cl) Richard Da-
vis(b) Grady Tate(dr)
                                 Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, N.J.; Sep.23,1966
          Milestone                               [4:06] 

Jimmy Smith(org) Wes Montgomery(g) Grady Tate(dr) Ray Barretto(per)
                                 Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, N.J.; Sep.28,1966
          King Of The Road                        [4:05]                   
          Maybe September                         [6:22] 
          O.G.D. (aka:Road Song)                  [5:15] [6:05] 
          Call Me                                 [3:12]
          Mellow Mood                             [8:35] 

 このアルバムは《ダイナミック・デュオ》での残りテープとして、ウェスの死後リリースされたも のであり、〈O.G.D.〉の演奏時間の訂正については次の項《レオナード・フェザーのジャズ百科事典 / Verve V6-8677》で詳しく説明する。
 ジャズ批評90【ウェス・モンゴメリ大全集】でオルガニストの高野氏は "ウェス・モンゴメリとオ ルガン" という係わりを懇切に分析されている。
「オルガン・コンボ全盛期の60年代にギターは不可欠ですね」とした上で、「ウェスとのレコーディ ング話しは山ほどあったと思うが、成立したのは2人だけであった」という理由について、「先ず何 と言ってもウェスの音楽性があまりにも偉大過ぎる。 彼のバッキング・ソロにおけるコード・ワーク、テクニック、独特のコード解釈、ダイナミズムは他 のギタリストにはないものであり、真にオルガンで対等できるプレイアーは当時いなかったように思 う」と語り、「60年代は "オルガン・ジャズ" イコール、ジミィ・スミスのスタイルしかなかった」 と断言している。 更に、追求するならば、「ジミィ・スミスはオルガンにジャズの輝きを与えたジャズ・オルガンのヴ ァーチォーゾであり、ジミィの編出した "オルガン+ギター+ドラムス" の編成は、オルガンがリー ダでこそ活きるスタイルである」と説いている。 つまり "OGD" の原型というものですか、なるほどジミィ・スミスがリーダであったからこそ、対 等アルバムといえる《ダイナミック・デュオ》が誕生したわけですね。 じゃあ、メル・ラインとの比較は?。そのことは後に語っていただきますが、ウェスがレギュラー・ バンドをオルガン・トリオにした理由について、「ウェスは初リーダ作品の《ダイナミック・ニュー ・サウンド/リヴァーサイド59年》というアルバムで、このオルガン・トリオでのサウンドを相当気 に入っていた。自分のサウンドとマッチし、表現するのに最も適していたのがオルガン・トリオと考 えていたからで、ウェスはどんな曲も瞬間的にコード・チェンジし一音一音を和音で弾くというハー モニィ感覚を持った天才ギタリストであった。 だから、ウェスの持つ音楽理論とサウンドをよく理解し、ウェスの演奏に即座に対応できるプレイア ーこそ最高のサイドメンであり、その適任楽器こそオルガンであったと思う」、との見方はサウンド 面からの相性とすれば実に解りやすい。そして、音色という見方では次のように分析している。 「ウェスのギターとオルガンの音色は太くてダイナミック、それでいて甘くも奏でられているという 共通点があり、音域的にもとてもマッチしている」と言うが、全くの同感であり前項で私の屁理屈ど おり・・とにかく管楽器よりも何よりも合うんですよ。 でも決めては、耳の利くウェスにとってオルガンが一番のお気に入り楽器だった理由して、「オルガ ンはチューニングが狂わないことです」とは流石、高野氏の豊富なオルガニストとしての経験から納 得のできる分析です。 では気になるジミィ・スミスとメル・ラインの違いについて分析していただく。 結論から先にいうと、「乗りですよ」という。リズムに乗るのも電車に乗るのも同じ「乗り」なんで すが、要は同じ揺れ、つまり同じスウィング感に成るということだと思うのですが二人の違いは「オ ルガンで奏でるベース・ライン奏法の違いである」という。 「ジミィのあのサウンド、あのうねり、グルーヴ感をあみだし、オルガンの持つ独特のダイナミズム を最大限に表現させることのできるプレイアーである。 彼の左手、左足、下鍵盤、ペダル・ベースを駆使して奏でる独特の乗りのベース・ラインはジミィの 独壇場のもので、彼によってオルガンのベースがジャズのベースとして市民権を得たようなもので、 左手のみでベース・ラインを奏でているメル・ラインは乗りという点では適わない」という。 ではジミィの何処がどう凄いのかというと、「左足は、ベース・ライン、アタック、ペダル・ポイン ト、左手とのユニゾン他、いくつものテクニックを駆使してあの乗りを出している」と強調する。 二人の違いは他にもあり、「ジミィ・スミスはアドリブ・プレイアーで彼の手にかかれば、どんな曲 も黒っぽくなってしまうほどのブルーズ・プレイアーだが、メル・ラインはもともとピアニストでま るで白人ミュージシャンのように繊細である」とは既に周知のことである。 メルの特徴はウェスが次のように評価している。「彼はまるで温かい毛布のように僕のサウンドを包 んでくれるんだよ」、とその繊細さを十分生かした、でしゃばる事のない奏法でウェスのお気に入り となった訳だ。 これを一言でまとめると、ウェスとジミィとの対等アルバムは "OGD" で成功、ウェスがメルを従 えての成功は "GOD" だったからと結論づける。 参考までに書いておきますが、リヴァーサイドの《ダイナミック・ニュー・サウンド》のサブタイト ルの最後には、 "uitar/rgan/rums" とあります。確認してみてください。 ん、現 "OGD" で活躍中の小泉氏のギター・トリオ、では高野氏のオルガンがメインなの???。 こんな野暮は深く追求しません。