Wynton Kelly(p) Wes Montgomery(g) Paul Chambers(b) Jimmy Cobb(dr)
B'Cast, "Half Note", N.Y.C.; Jun.25,1965
Willow Weep For Me [7:42]
Portrait Of Jennie [2:45]
note: from 《Willow Weep For Me/Verve V6-8765》
original form without brass and woodwinds
same personnel:
B'Cast, "Half Note", N.Y.C.; Sep.17,1965
Misty [6:45]
note: from 《Willow Weep For Me/Verve V6-8765》
original form without brass and woodwinds
問題作《ウィロウ・ウィープ・フォー・ミー/ ウェス・モンゴメリ》の真相が明らかになったの
も1997年1月発刊の【ジャズ批評90、ウェス・モンゴメリ】でのことだったが、本アルバムでの3
曲がオリジナル・フォームで、つまり被されたクラウス・オガーマンのオーケストラが除去され、
リリースされたのが《ウィロウ・・・》より8年後のことだった。
とは言ってもケリィのソロが大胆にカットされていた〈フオー・オン・シックス〉や〈飾りのつい
た四輪馬車〉の復元テイクは挿入されておらず、やはりシコリの残るリリースにファンは諸手を揚
げ喜んだわけでもなかった。
考えてみるに、私がこの完全テイクを探し始めたのもこのころだったと記憶している。
ずいぶん無駄な投資と時間を潰していると気付きながらも、やっと探し当てたときの感激は他人に
も言えず一人で馬鹿笑いするしかなかった。
そしてそのカラクリが分かったとき、復元させる事の出来ない落胆的な気持ちと当時へタイムスリ
ップさせてくれるライヴ放送の魅力とが合い混じり複雑な心境であった。
| 曲 名 | Willow Weep/ V6-8765 | Small Group/ VE-2-2513 |
| Willow Weep For Me | 7:42 | 7:42 |
| Impressions | 5:01 | 5:01 |
| Portrait Of Jennie | 2:45 | 2:45 |
| Surrey With The Fringe On Top | 5:20 | |
| Oh! You Crazy Moon | 5:27 | |
| Four On Six | 9:29 | |
| Misty | 6:45 | 6:45 |
赤数字演奏時間はクラウス・オガーマンの編曲指揮がかぶさったもので
本アルバムで〈オー・ユー・クレイジ・ムーン〉は未挿入であった。
《ウィロウ・・・》がリリースされたのは1969年1月、当然ウェスは他界していたがそのアルバ
ムでのヴァーヴの【思惑】は前頁でも紹介したとおりであり、本アルバムのライナー・ノーツ( ク
リス・アルバートソン) を参考に更に加筆すると------
「1968年6月、ウェスが45歳で亡くなる2日前、ダウンビート誌は年間ギターマガジンを発刊し
た。カヴァーにはウェスの様々なイメージの写真が掲載されており、ある事が質問されていた。
【成功がウェスを駄目にしたのか?】と。そうではないが心得違いのレコード・プロデューサー(
クリード・テイラーは既にヴァーヴを辞めCTIを設立させていたので、ここでは倒産寸前の生き
残りを賭けていたエズモンド・エドワーズのこと) がウェスの音楽を駄目にするため、【ベストを
尽くした】のである。
それがこのオーケストラを被せた3曲であったがというのだが、どこまで本当かは知れない。
《ウィロウ・・・》がリリースされたそれ以前の過程において、ウェスをポップ路線に乗せる計画
をしたクリード・テイラーも2度と私達に無意味なコマーシャル・サウンドでない本当の音楽を聴
かせてくれなかったが、勿論ウェスも何の気にも留めていなかった。
ウェスの幅広い人気ポップ・ミュージックの境界を越えて、MUZAK(有線音楽放送) によくある【万
人受けする中途半端】なテリトリーに危険なまで近づいていた。
文字通りのトップ・ミュージシャンをとりあげた美味しいアレンジではあるが、ウェスにとっては
大衆が好む音楽を演奏するほか残された道はなかった。
《ウィロウ・・・》自体、内容的には素晴らしいと思うが、ウェスのスウィングを聴いてきた私達
にとっては、このようなポップ系のアルバムはホロビッチがチョップ・スティックを演奏している
のとおなじような価値しかないと思う。」
クリス・アルバートソンもやはり保守系でガチガチのようですが、如何なもんでしょう。
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