Wes Montgomery(g) Harold Mabern(p) Arthur Harper(b) Jimmy Lovelace(dr)
Live at "Champs-Elysees Theater", Paris; Mar.27,1965
Four On Six [6:27]
Wes' Rhythm Twisted Blues [13:35]
Impressions [10:05]
To When To Wane [11:07]
Mister Walker Jingles [12:32]
To Django The Girl Next Door [6:46]
Here's That Rainy Day [8:26]
add: Johnny Griffin(ts)
same dates
'Round Midnight [9:36]
モンゴメリ・クウォーテットは3月27日、華の都パリにやってきた。
ジャズに関してはイタリアと違って理解の差は歴然であり、彼等のグループがパリのファンに大歓
迎をうけたことは当時のジャズ・ホット誌やメロディ・マーカー誌の記事で観ることができる。
当然このコンサートはORTF (Organisation de Radio et Television de France)、つまり "フ
ランス国営ラジオ・テレビ機構" が収録・放送に係わったのはあまりにも有名な話しである。
しかし、その後アルバムとしてリリースされるまでかなりの謎を残している。
順序だてて説明すると、先ずBYG(ビィ・ワイ・ジィ)レーベルが浮かんでくる。
このレーベルは1969年フランスで設立され、 "アクチュアル" シリーズとしてアーチー・シェップ
やドン・チェリーなど21枚のアルバムをリリースし注目を浴びた。
70年代になって、日本コロンビアとも契約を交わし国内リリースされたこともあったが、勢いに乗
るBYGは次にORTFに残る様々なレコーディング・テープを買い取り、アルバム化をおこなっ
た。
この時、日本でのライセンス契約は今はなき東宝芸音という会社が獲得し、早速ウェスのパリ録音
を《ソリチュード/東宝芸音 YX-4016〜17》と題し、2枚組アルバムを73年6月に "日本初" とし
、リリースした。
しかし、何故か本家BYGではリリースされなかったというのだが、日本の一部ファン (恐らくど
こかのコレクターか評論家と思う) から東宝芸音以前の「65年に "BYGレーベル" としてオリジ
ナルがリリースされている」という噂が流れた。
そのうちの1枚は、BYGの壊滅とともに東宝芸音も自然消滅したが、オーナーは著作権を持った
ままイギリスに渡り、やがてアフィニティ・レーベルとして《Inpressions/Affinity AFF 13》と
《Solitude/Affinity AFF 18》の個別に再リリースした。
更にもう1枚、ドイツのフォノグラム社は《The Paris Session/BYG 6623 952》として2枚組リリ
ースしたものがある。( 本アルバムのデザインを "シンプル・イズ・ザ・ベスト" なんて間違って
も褒めないで下さい。それに比べこのドイツ盤 "Paris Session" の文字がナポレオンと同じ帽子
になって、いいデザインですね。)
恐らく間違いとなったレコードはこのどちらかであるが、何故間違ったのか。
つまりいずれのレコードも【 1965】と裏ジャケやレーベルに印刷されていたからである。
このマークは正確には【Phonogram 1965】となり、レコード保護条約に基づいて標記しているもの
で確かに に続く年号は最初の発行年月を表すものである。が、このでたらめは上記の経緯をみて
も解かると思うし、何よりライナー・ノートにはウェスの亡くなった年の事などが記載されている
ことからも後年にリリースされたということが判る。
しかし特に気になる情報がフランスのコレクターからよせられた。
「私はこのパリ・コンサートでBYGレーベルでの3枚のEP盤をみた」というのである。
早速現地の中古レコード店に手紙を出したところ「売れてしまったよ」というのである。
という訳で、未確認ながらいつ頃どのような形でリリースされたのかは不明、このことで知ってい
る方、もしくは知っているという人をご存知の方、是非一報ください。
Inpressions Solitude The Paris Session
《ソリチュード/東宝芸音 YX-4016〜17》では挿入された曲名が随分いい加減に付けられていた。
当時のジャズ・ホット誌の記事をみて、第2部の下りで「解からない曲から始まり、次に〈Jo Wa-
yne〉」 と書かれてあったが、その他の紹介は間違っていなかった。
なのに、〈トゥイステッド・ブルーズ〉を〈ウェス・リズム〉、〈Jo Wayne〉を〈To When〉、
〈ジングルス〉を〈ミスター・ウォーカー〉などと、どこからこのように付けられたのか全く理解
に苦しむ。
ウェス・ファン倶楽部の美馬篤志(みまあつし)氏からたいへん興味深い情報が寄せられた。
「実は私、ハロルド・メイバーンのファンでもあります。
もちろんウィントン・ケリィに比べてウェスとの相性はもう一つだったかもしれません。
しかしパリ・コンサートでの〈Impressions〉や〈To When〉での必死さは感動ものだと思うのです
が・・・ひとつつだけ、私にも情報提供させてください。
ウェスのレコード・CDでは〈To When〉になっていますよね。でも、これ実は〈To Wane〉なんで
す。
情報のソースは1991年リリースのハロルド・メイバーン《Straight Street/ DIW-608》というCD
に彼自身が曲目紹介として記していました。
『ウェイン・ショーターのWAYNEと、WANE(発音はおなじ?)をひっかけて作った曲だよ
』ということらしいのです。
ちなみに、WAYNE(ウェイン)・・・意味なし、 WANE(ウェイン)・・・減少する
恐らくハロルド・メイバーンが現地でタイトルを聞かれ、ウェイン・ショーターにちなんでつけた
もので、〈To Wane〉と答えたが、聞いた本人がよく似た発音から〈Jo Wayne〉と紹介している。
以上ご参考までに。」
つまり〈トゥ・ウェイン〉はショーターそのものであれば〈To Wayne〉が本当ではあるが、因んで
付けられたということで、〈To Wane〉が正確なタイトルとなる。
それが〈To When 〉、WHEN(ホウェン)とは、(いつ)ということになるが、全く意味不明、解読
困難。
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