Solitude/Wes Montgomery/東宝 YX-4016〜17
アルバム名 : Solitude/Wes Montgomery
アルバム番号: 東宝芸音 YX-4016〜17
リリース国 : JAPAN
リリース年月: 6/1973
メディア  : LP


Wes Montgomery(g) Harold Mabern(p) Arthur Harper(b) Jimmy Lovelace(dr)
                                    Live at "Champs-Elysees Theater", Paris; Mar.27,1965
          Four On Six                             [6:27]                  
          Wes' Rhythm  Twisted Blues             [13:35]                        
          Impressions                            [10:05]                        
          To When  To Wane                       [11:07]                          
          Mister Walker  Jingles                 [12:32]                  
          To Django  The Girl Next Door           [6:46]                    
          Here's That Rainy Day                   [8:26]   
                     
add: Johnny Griffin(ts) 
                                                                              same dates
          'Round Midnight                         [9:36]                  
 
 モンゴメリ・クウォーテットは3月27日、華の都パリにやってきた。 ジャズに関してはイタリアと違って理解の差は歴然であり、彼等のグループがパリのファンに大歓 迎をうけたことは当時のジャズ・ホット誌やメロディ・マーカー誌の記事で観ることができる。 当然このコンサートはORTF (Organisation de Radio et Television de France)、つまり "フ ランス国営ラジオ・テレビ機構" が収録・放送に係わったのはあまりにも有名な話しである。  しかし、その後アルバムとしてリリースされるまでかなりの謎を残している。 順序だてて説明すると、先ずBYG(ビィ・ワイ・ジィ)レーベルが浮かんでくる。 このレーベルは1969年フランスで設立され、 "アクチュアル" シリーズとしてアーチー・シェップ やドン・チェリーなど21枚のアルバムをリリースし注目を浴びた。 70年代になって、日本コロンビアとも契約を交わし国内リリースされたこともあったが、勢いに乗 るBYGは次にORTFに残る様々なレコーディング・テープを買い取り、アルバム化をおこなっ た。 この時、日本でのライセンス契約は今はなき東宝芸音という会社が獲得し、早速ウェスのパリ録音 を《ソリチュード/東宝芸音 YX-4016〜17》と題し、2枚組アルバムを73年6月に "日本初" とし 、リリースした。 しかし、何故か本家BYGではリリースされなかったというのだが、日本の一部ファン (恐らくど こかのコレクターか評論家と思う) から東宝芸音以前の「65年に "BYGレーベル" としてオリジ ナルがリリースされている」という噂が流れた。 そのうちの1枚は、BYGの壊滅とともに東宝芸音も自然消滅したが、オーナーは著作権を持った ままイギリスに渡り、やがてアフィニティ・レーベルとして《Inpressions/Affinity AFF 13》と 《Solitude/Affinity AFF 18》の個別に再リリースした。 更にもう1枚、ドイツのフォノグラム社は《The Paris Session/BYG 6623 952》として2枚組リリ ースしたものがある。( 本アルバムのデザインを "シンプル・イズ・ザ・ベスト" なんて間違って も褒めないで下さい。それに比べこのドイツ盤 "Paris Session" の文字がナポレオンと同じ帽子 になって、いいデザインですね。) 恐らく間違いとなったレコードはこのどちらかであるが、何故間違ったのか。 つまりいずれのレコードも【1965】と裏ジャケやレーベルに印刷されていたからである。 このマークは正確には【Phonogram 1965】となり、レコード保護条約に基づいて標記しているもの で確かにに続く年号は最初の発行年月を表すものである。が、このでたらめは上記の経緯をみて も解かると思うし、何よりライナー・ノートにはウェスの亡くなった年の事などが記載されている ことからも後年にリリースされたということが判る。 しかし特に気になる情報がフランスのコレクターからよせられた。 「私はこのパリ・コンサートでBYGレーベルでの3枚のEP盤をみた」というのである。 早速現地の中古レコード店に手紙を出したところ「売れてしまったよ」というのである。 という訳で、未確認ながらいつ頃どのような形でリリースされたのかは不明、このことで知ってい る方、もしくは知っているという人をご存知の方、是非一報ください。
Inpressions/Affinity AFF 13 Solitude/Affinity AFF 18 The Paris Session/BYG 6623 952
Inpressions Solitude The Paris Session

《ソリチュード/東宝芸音 YX-4016〜17》では挿入された曲名が随分いい加減に付けられていた。 当時のジャズ・ホット誌の記事をみて、第2部の下りで「解からない曲から始まり、次に〈Jo Wa- yne〉」 と書かれてあったが、その他の紹介は間違っていなかった。 なのに、〈トゥイステッド・ブルーズ〉を〈ウェス・リズム〉、〈Jo Wayne〉を〈To When〉、 〈ジングルス〉を〈ミスター・ウォーカー〉などと、どこからこのように付けられたのか全く理解 に苦しむ。 ウェス・ファン倶楽部の美馬篤志(みまあつし)氏からたいへん興味深い情報が寄せられた。 「実は私、ハロルド・メイバーンのファンでもあります。 もちろんウィントン・ケリィに比べてウェスとの相性はもう一つだったかもしれません。 しかしパリ・コンサートでの〈Impressions〉や〈To When〉での必死さは感動ものだと思うのです が・・・ひとつつだけ、私にも情報提供させてください。 ウェスのレコード・CDでは〈To When〉になっていますよね。でも、これ実は〈To Wane〉なんで す。 情報のソースは1991年リリースのハロルド・メイバーン《Straight Street/ DIW-608》というCD に彼自身が曲目紹介として記していました。 『ウェイン・ショーターのWAYNEと、WANE(発音はおなじ?)をひっかけて作った曲だよ 』ということらしいのです。 ちなみに、WAYNE(ウェイン)・・・意味なし、 WANE(ウェイン)・・・減少する       恐らくハロルド・メイバーンが現地でタイトルを聞かれ、ウェイン・ショーターにちなんでつけた もので、〈To Wane〉と答えたが、聞いた本人がよく似た発音から〈Jo Wayne〉と紹介している。 以上ご参考までに。」 つまり〈トゥ・ウェイン〉はショーターそのものであれば〈To Wayne〉が本当ではあるが、因んで 付けられたということで、〈To Wane〉が正確なタイトルとなる。 それが〈To When 〉、WHEN(ホウェン)とは、(いつ)ということになるが、全く意味不明、解読 困難。