The Unissued 1965 Half Note Broadcasts/JAZZ on JAZZ 244555
アルバム名 : Wes Montgomery and the Wynton Kelly Trio
/The Unissued 1965 Half Note Broadcasts
アルバム番号: JAZZ on JAZZ 244555 リリース国 : EU リリース年月: 7/2013 メディア  : CD

Wynton Kelly(p) Wes Montgomery(g) Paul Chambers(b) Jimmy Cobb(dr)
                                  B'Cast, "Half Note", N.Y.C.; Sep.24,1965
          Blues #2 [Closing theme]            [3:04]

Wynton Kelly(p) Wes Montgomery(g) Ron Carter(b) Jimmy Cobb(dr)
                                  B'Cast, "Half Note", N.Y.C.; Nov.5,1965
          Impressions                         [6:11]
          Mi Cosa [Unaccompanied Guitar]      [3:34]
          Blues #1 [Blues]                    [5:45]

Wynton Kelly(p) Wes Montgomery(g) Larry Ridley(b) Jimmy Cobb(dr)
                                  B'Cast, "Half Note", N.Y.C.; Nov.12,1965
          Blues #3 [Closing theme]          [1:26]


1965年のの未発表のライヴ音源が発掘され、リリースされたと聞くたびにまずどこのライヴ・ハウスか な・・というのが先にたつ。 今まで、初めて聴く曲とか、以前発掘され聴いていた曲にMCが被さったぶん長くなっているなどあった がやはりハーフ・ノート・ライヴのものであ。 理由は簡単、ライヴ放送された事によりエア・チェックされていたからである。 当時WABC−FM放送局は毎週金曜日ハーフ・ノートよりこのウェスをゲストに迎えたケリイ・トリオを初 め、コルトレーン、キャノンボール、アル・コーン等々、大物ミュージシャンの音楽番組 "ポートレイ ト・イン・ジャズ・ショー" をオン・エァし多くのファンをラジオの前に釘付けさせるほどの聴取率を 稼いだというものです。 このたび、全曲未発表と題しリリースされた《ウェス・アンド・ケリー・トリオ》もそれらに準ずるも のであるが、全11曲中、6曲は当ファン倶楽部より1994年12月に限定500枚CDのTOKOレーベル《Smokin' Guitar/Wes Montgomery/TOKO WM94-12》として既に日の目を見ているものである。 Wes Montgomery(g) Wynton Kelly(p) Ron Carter(b, #1-3) Larry Ridley(b,#4-11) Jimmy Cobb(ds) “Portraits in Jazz” Radio Show hosted by Alan Grant. Live at the Half Note, New York, February 12 and 19, 1965 1. Impressions 6:11 UNISSUED 2. Mi Cosa [Unaccompanied Guitar] 3:34 UNISSUED 3. Blues #1 [Blues] 5:45 UNISSUED 4. Birks' Works 5:41 TOKO WM94-12 5. Laura 6:46 TOKO WM94-12 6. Cariba 8:42 TOKO WM94-12 7. Blues #2 [Closing theme] 3:04 UNISSUED 8. Four On Six 8:07 TOKO WM94-12 9. Blues #3 [Closing theme]    1:26 UNISSUED 10. All The Things You Are 6:43 TOKO WM94-12 11. I Remember You 7:21 TOKO WM94-12 先ず録音月日について、この未発CDでライナー・ノーツを書いているM・レナードは、1965年の2月12 日の放送録音について、「我々がリリースしたCDに記載している2月12日は確かなことではあるが、 ディスコグラフィでは同じ日同じ場所でウェスはハロルド・メイバーン(P)、アーサー・ハーパー(b) ジミー・ラヴレース(dr) らが出演し、〈Caravan〉〈'Round Midnight〉〈Four on Six〉〈Here's That Rainy Day〉を演奏したことにもなっている。完全に異なるグループで放送録音したことは考え られないこともない」と書いている。 これはボリス・ローズのプライベート音源から海賊盤として出回ったあまりにも有名なLPレコード 《Special Broadcast Jam Sessions/Charlie Christian-Wes Montgomery/Beppo BE-KOG 14800》のこ とを指している。 1965年の2月と言えば、ウェスが欧州ツアーにいく寸前のことであり、この頃のウェスについてはダウ ンビート誌の記事でも記載されていたことを当サイトの《Smokin' At The Half Note/Wynton Kelly Trio-Wes Montgomery/Verve V6-8633》の項で【ウェス・アンド・ケリィ・トリオの初演】としても説 明したが、「ケリィ・トリオは6月7日〜6月13日、ボストンにある "ジャズ・ワークショップ" に出演 した後フィラデルフィアにある "ショー・ボート" で6月21日〜6月26日までウェスを迎えて意義ある スタートをきった。これがウェス・アンド・ケリィの初演となった。」という事から、2月にケリィ・ トリオと出演したという可能性はほとんどないし、それらの記事も見当たらない。 勿論、ウェスとケリィはそれ以前のリヴァーサイド録音では共演はしていますが、ウェス・アンド・ケ リィ・トリオというユニットは6月まで存在しなかったと信じています。ですから、ウェスが欧州ツア ーに参加したとき当然ながらユニットを組んでいたハロルド・メイバーンらを引連れれていったという のは自然なことでもあり、もしケリィと組んでいたらなまた違った欧州ツアーの映像が観られたことに なる。 また、M・レナードは放送録音メンバーにポール・チェンバースが参加していなことについても、「こ のCDで司会のアラン・グランもロン・カーターやラリー・リドレイと言っているが、何故代わったかの 説明がないんだ」と大いに不満で不思議がっている。 このことについても、当サイトのニュース速報 No.85(2007.2.25号) 「デトロイト1966年」でも記載い たしましたが、「ポールが1965年10月にツアー先のホテルで飲酒後鏡の前で空手の練習をしていて、蹴 りの瞬間その鏡を突き破り怪我をし、足の裏に刺さったガラスの破片がもとで化膿し、11月にニューヨ ーク市内の病院で手術を受けるため年内は一線から離脱することになった」という話をいたしました。 この事実からして、M・レナードが主張する2月録音はあり得ないことになる。 ポールのエキストラとしてロン・カーターやラリー・リドレイが参加したのは正にこの10月、11月のこ ととして当サイトのディスグラフィが正当なものとして、あらためて下記にデータを示す。 Wynton Kelly(p) Wes Montgomery(g) Ron Carter(b) Jimmy Cobb(dr)                B'Cast, "Half Note", N.Y.C.; Nov.5,1965 1. Impressions 6:11 UNISSUED 2. Mi Cosa [Unaccompanied Guitar] 3:34 UNISSUED 3. Blues #1 [Blues] 5:45 UNISSUED Wynton Kelly(p) Wes Montgomery(g) Paul Chambers(b) Jimmy Cobb(dr)               B'Cast, "Half Note", N.Y.C.; Sep.24,1965 5. Laura 6:46 TOKO WM94-12 6. Cariba 8:42 TOKO WM94-12 7. Blues #2 [Closing theme] 3:04 UNISSUED Wynton Kelly(p) Wes Montgomery(g) Larry Ridley(b) Jimmy Cobb(dr)                B'Cast, "Half Note", N.Y.C.; Nov.12,1965 4. Birks' Works 5:41 TOKO WM94-12 8. Four On Six 8:07 TOKO WM94-12 9. Blues #3 [Closing theme]    1:26 UNISSUED 〈 Blues #1〉〜〈 Blues #3〉は単純にこのCDに挿入順を付けただけのネーミングですが、実際は ライヴのエンディングとしてプレーするなか司会がかぶさり、放送が終わるというものです。 先ずは11月5日放送の〈Blues #1〉ですが、MCのアランは〈Blues〉と紹介していますが、ウェス生 涯のアルバム《スモーキン・アット・ザ・ハーフ・ノート》にも収められたマイルス作曲の〈ノー ・ブルーズ〉を知っていることから何となくそれっぽく即興で弾いたことから当サイトのディスコ グラフィでは〈No Blues〉といたしました。決して〈No Blues〉と言うわけではありません、改め て〈 Blues〉に戻したいと思います。 問題は次の9月24日放送の〈Blues #2〉です。TOKOのCDをリリースするときにも話題になったこと です。これはいわゆるジュンカン(英語ではRhythm Change と言う)と呼ばれるAABA・32小節形式 のコード・チェンジでケリィ・トリオがエンディング・テーマとして弾き始めたのですが、ウェス は何故かブルース・コードで弾いているのです。 MCのアランが〈Blues〉ですと紹介していることからウェスの『勘違い演奏』になってしまったのか どうか、チグハグな演奏になっています。 ウェスは突っ走っていますが、ケリィもケリィで直ぐに分かったことでしょうからブルースに替え るという機転はなかったのでしょうかね。レコーディングなら【あり得ない】し完全消去ものです。 それでTOKOレーベルでのリリースもMCのコメントもかぶさり、なおさら挿入しないということにし ましたが、出てしまった以上説明することにいたします。 こんな恥部をウェス・ファンには知らせたくなかったと言うのが本音ですが、お互い慣れたバンド でも『勘違い演奏』と言うのはプロのライヴにも多々【あり得る】ということです。 最後の11月12日放送の〈Blues #3〉ですが『勘違い演奏』のあと彼らは話し合ったのでしょうか、 ここではジュンカンで弾いています。 ですからブルースではなく、このクロージング・テーマはケリィがユニットとして参加していたマ イルス・バンドのテーマとして弾いていたものですから何の抵抗もなく使われている。