Wes Montgomery(g) Clark Terry(tp.flh) Pim Jacobs(p) Ruud Jacobs(b) Han Bennink(dr)
B'Cast, Vara Radio Studio 7, Hilversum, Holland; Apr.2,1965
Rhythm-A-Ning Opus Caprice [8:33]
Just Friends [9:04]
In A Mellowtone [14:46]
Straight, No Chaser [8:10]
本当にヨーロッパ盤のタイトル付けには呆れてしまうのですが、本アルバムも然り、お馴染みの
ギタリスト、小泉氏からの情報をお知らせします。
セロニアス・モンク作曲の〈リズム・ア・ニング〉として記載されていた曲は、実は全くの誤りで
「ピアノのアル・ヘイグが作曲した〈オウパス・キャプリース〉という曲で、1936年アンディ・カ
ークの《ウォーキン・アンド・スゥインギン》というアルバムでマリィ・ロウ・ウィリアムスのア
レンジによって紹介されたもの」というのです。
「或る日、たまたま入った中古レコード屋でこの曲がかかっており,確認したところスタン・ゲッ
ツの《プレザーヴェーション》というプレステイジCDで、オリジナルLPには挿入されていない
未発もの」で、偶然に聴いたという訳です。
確かにこの両曲は似ているらしく「モンクがこの曲をもとネタに〈リズム・ア・ニング〉を作曲し
たものだ」ともいうことらしいです。
「クラーク・テリィは当然〈オウパス・キャプリース〉という曲を知ってのうえプレイしていたが
ヴァラ・ミュージックの制作担当者が、曲としては広く知られている〈リズム・ア・ニング〉と勘
違いしたのでしょう」と説明を加えました。
ヴァーラ・ラジオのTVガイドの掲載を本アルバムのライナー・ノーツを書いているR・ケラウェ
イはウェスのことを次のように紹介している。
「真夜中、郊外へちょとした冒険に出かけようとすると、ゾクっとするような霧が立ちこめる中を
スクーターにでも乗ってひっそりとしたハイ・ウェイを走らなくてはならない。でも、そこまでし
てでもあるギタリストのプレイを1時間でも聴きに行こうと思わせるのは、そのミュージシャンが
全く気が変なのか、或いは何か特別なのか、何れかであろう。後者にあてはまるギタリストが存在
する。それがウェス・モンゴメリなのだ。」
ヨーロッパ人て可笑しいですね。「気が変なのか」なんて表現を自分にあてはめず、他人にしてし
まうのだから。
さて、ハロルド・メイバーン等とのクウォーテットを解散したウェスは、4月2日オランダのヒル
ヴァーサムへ単独で移動した。
一方、クラーク・テリィは今夜のコンサートを控え、既に当地に滞在していた。実はこの2人の共
演が実現したからである。
プロ・モータのポール・アケットとかの有名なノーマン・グランツによる協力によるものである。
グランツは50年代にヴァーヴ・レーベルを築き、60年代にはいってその莫大な原盤をMGMに売却
し、その後スイスに移住してからはアメリカのミュージシャンをヨーロッパへ招くプロモート業に
専念していたという訳である。
|